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『熱海・伊豆山「ハコスコ」メタバースECは地方商店と相性がいい』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.3.22

■熱海・伊豆山の「ハコスコ」がメタバース空間に新オフィス メタストア積極展開へ

メタストアは、メタバース上のバーチャル空間に店を開設したり、作品などを展示したりして、実際にその場を訪れているような臨場感とコミュニケーションを図りながら買い物や鑑賞などの機会を提供するサービス。

地方の商店はメタバースECと案外相性がいいんじゃないかと、この記事を読んで改めて思った次第。

メタストアはこちらです。


メタバースECは基本むずかしい

「メタバースでECやろう!」は概ねうまく行かないと思ってます。

1.メタバースの3D空間である必要性がない。
2.メタバース内の移動に意味がないうえ面倒、操作も難しい。
3.3D空間では商品の一覧性が低く探しづらい。
4.通常のECサイトの方が検索や絞り込み、クチコミの閲覧などがしやすい。
5.VRゴーグルを持っている人が、いないに等しい人数規模。
6.ユーザーの多いスマホやPCで3Dはますます必然性がない。
7.メタバース空間はSEOに弱い。検索で見つからない。
8.独立ECサイトは集客が難しい。メタバース独立店も同様。
9.メタバースに躊躇がないユーザー層と相性のいい商品に限定される

挙げ始めたらキリがないのですが、3D空間である必然性と、ユーザー数の少なさの2点がいわゆるメタバースの最も致命的なウィークポイントです。


地方の商店とメタバースECは条件が似ているぶん相性がいい?

メタバースのネガティブポイントをたくさん挙げましたが、地方の商店はリアル店舗でもメタバースECと同じ問題を孕んでいます。

まず、来客数が少ないことが共通点です。

観光都市でもない、路面店でもないというお店であれば1日の来客数が100人未満、日商3万円未満というのもザラです。

であれば、メタバースECに来場する人数が少なくてもリアル店舗と大差ありません。むしろ、ネットで全国・世界中どこからでもアクセス可能なぶん、リアル店舗よりも来客人数が増やせる可能性すらあります。

次に、店舗にお金がかけられないというのも共通点です。

地元に競合店がないという1点だけで成立しているお店が多く、古い店構えのまま営業しているところが多数です。本音では入りやすく綺麗にしたいのでしょうが、お金がありません。

また住居を兼ねているケースも多く店を移転したり拡張する自由度もありません。

対してメタバース店舗であれば、建築自由度が高く維持費が低くなります。メタバースECであれば広いお店も作れますしデザインを時々のトレンドでリニューアルすることも比較的簡単です。

最後に、ECをやるのに3Dである必然性がない、というのも地方商店には問題になりません。リアル店舗自体に「そもそも話題性がない」という問題点があり、普通のECサイトを立ち上げてもまったく耳目を引きませんが、メタバース店舗を構えたこと自体が話題にできるメリットの方が上回ります。

もちろんメタバース店舗で注目されるのは一瞬なので営業努力は引き続き必要です。


メタバースECに必要なのは「会話による購買」

メタストアの利点について、藤井さんは「通常のECサイトとの違いは、販売者から直接話を聞きながら商品を購入できること。販売者と消費者とのリアルなつながりをオンラインで再現している。商い、コミュニティー、展示の3テーマを設定している」と話す。

商品を並べて無人販売するECサイトでは会話は要りません。むしろECサイトにチャット機能は邪魔だと感じるお客さんも多いでしょう。

対してメタバースECに必要なのは「会話による購買」です。
ちゃんと店員さんがいて、会話を通じて買うものを選び、買うと決断する。この流れと相性がいいお店・商品・店員がいればこそ成立します。

「メタストアといっても一般的な店と一緒で、出店すれば勝手に売れるものではない。業態や目的によって運用の仕方は異なる。伴走しながらメタストアの成功事例を作っていきたい」

ECサイトも出展すれば勝手に売れるものではありませんが、生で会話をすることを前提にしやすいメタバースECの方が、地方の商店が取り扱う商材を売るのに向いている場合は多いと思います。

地場で獲れた魚や山菜にストーリーを乗せて売るのは地方物産ECの王道スタイルですが、そこに「人の声」を乗せられるメタバースECは優位です。

数を売らなければならない大手店舗や大手ECだと、1人1人に丁寧な会話の接客をやって購買につなげるのは非効率で労力をかけられないと考えるかもしれません。しかし地方商店にとってお客さんとの会話を通じて販売することはいつも通りの営みをメタバース店舗でもやっているだけにすぎません。


損益分岐点が低く過剰な来客数が要らないことが強み

会話を通じて売るので手間もかかりますし、人が捌ける量の上限までしか売れないデメリットはあります。1分で1000個売るようなことはできません。

しかしその規模感を目指さなくていい、リアル店舗程度かそれ以上売れればいい、ということであれば、購買人数もそれほど多くなくてよく、商圏も全国に広げられ、リアル店舗の家賃も不要になるのは大きなメリットです。

集客も、地方の商店に実際に来店してもらうように呼び込むよりもネット上の来店の方がやりようがあります。

東京のような大都市の店舗をイメージすると損益分岐点が高すぎますが、地方の商店がメタバース店舗を持つという規模感というのは案外ちょうどいいように思います。

メタストアには現在、アパレルショップ、ギャラリー、大学のキャリアセンターなど約200件の事業が登録しているという。

それぞれの店舗にお客さんが付き、メタストアというモールで共有されれば来店誘致もしやすくなります。

ここに大規模店舗が入ってくると現実世界と同じく小規模店舗が駆逐されてしまう恐れがありますが、地方の商店が集まっていることが特色のECメタバースなら勝ち筋はワンチャンあるかもしれません。

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