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『耳音響認証ヒアラブルデバイス』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.11.28


■NEC「耳音響認証」対応ヒアラブルが約5000円オフ。Amazon ブラックフライデー セールに登場

RN002 TWは、NECの生体認証技術の1つである耳音響認証を搭載したイヤホン型ウェアラブルデバイスです。

セール情報ではじめて、この「耳音響認証」デバイスのことを知りました。パスワード認証がなくなってほしいと強く強く願っている私としては、顔認証や虹彩認証などの生体認証のニュースにビビットに反応しがちです。

この「耳音響認証」は特に、ラジオを1日10時間、年間3000時間以上聴き続けている習慣の都合、耳にワイヤレスイヤホンが常に刺さっている状態で生活している私にとっては好都合のデバイスになるんじゃないかと妄想が広がります。

今回「耳音響認証」デバイスが販売されていることをはじめて知ったこともあり、少し調べてみました。


耳音響認証とは

図1

顔に個人性があるように、頭部の空間構造にも個人性があります。NECが開発した耳音響認証では、図1に示すようにイヤホン型の認証デバイスを使って耳穴(外耳道)方向に検査音を送出し、反射した音を測定することで、頭部の空間構造の個人性を測定することが可能です。

つまり、イヤホンから耳の内側に向かって検査音を出し、外耳道のかたちによって異なる反響音の個性をもとに認証するという技術とのことです。

すでに製品化されているので認証の精度も十分なんでしょうけれど、ベタベタ系の耳垢で詰まりやすい私でも毎回ちゃんと認証できるのかが気になります。

また、顔認証や虹彩認証と同じようにサーバに生体データを集約するかたちなのか、認証自体はスマホとイヤホンの間だけで完結して「認証OK」だけを返すトラストレスな仕組みなのかも気になります。

サーバ登録型だとサービスごとに生体データを登録しなければならず面倒で、生体認証全般の問題点だと感じています。


ロボット操作など業務用が念頭

耳音響認証以外の各種センサーも搭載

本デバイスは、マイクとスピーカ、モーションセンサー、地磁気センサーを備えています。マイクとスピーカを利用して、耳音響認証による本人確認、体内音を活用したバイタルセンシング、音声ユーザーインタフェースを実現できます。モーションセンサーにより活動量や姿勢把握が可能であり、更に地磁気センサーを活用した屋内位置測位が可能となっています。このように一つのデバイスで「誰が」「どこで」「どのような状態か」を特定できるデバイスは他に例がなく、現在さまざまなパートナー企業とともに社会実装に向けた検証を進めています6)。

「耳音響認証」以外にも9軸モーションセンサーなどを搭載し、認証以外にも使えるようにする構想が示されています。想定されている主な目的はロボットの操作なのだそうです。

そのため、B2B市場向けの製品だと位置づけられています。

今回セール販売されている実機も、このコンセプトに則って非常に多様なセンサーを搭載しています。

主な機能として挙げられるのが、9軸センサー(3軸加速度センサー、3軸ジャイロセンサー、3軸コンパス)によるヘッドトラッキング機能、人の耳の穴(外耳道)を含めた頭部の空間構造の個人差を利用した「耳音響認証」機能、温度センサーなどを用いた生体情報モニタリング機能、通話アクティブノイズキャンセリング機能など。

加えて一般販売製品では、新たに生体情報(外耳孔表面温度、脈関連情報)を取得する機能を搭載しました。


個人利用も書かれているがメインはB2Bのよう

音楽ストリーミングサービスでのパーソナライズレコメンドや、ショッピング時の認証など個人ユースも書かれていますが、主にはB2B、つまり業務用が想定されています。

工場や病院などでは、耳音響認証を使うことで、手袋やマスクをしていても認証を実施できます。手袋やマスクをとる必要がないため、作業効率を落とさず、また、衛生面でも優れています。

例に挙げられている工場や病院などは、確かにマスクと手袋をしがちです。顔認証や指紋認証が使えない環境で、特定の人しか使ってはいけない機器の利用認証をするなどに使えそうです。


シンプルな民生機が欲しい

現在開催中のAmazon ブラックフライデーセールにて、NECの完全ワイヤレス型ヒアラブルデバイス(イヤホン型スマートデバイス)「RN002 TW」が5%オフの4万524円で販売されています。さらに2725円オフのクーポンも発行されており、こちらを適用することで約5000円引きとなる3万7799円で購入可能となります。

今回セールになっている「RN002 TW」は業務用に対応できるセンサー類がてんこ盛りです。初期はフル機能のものを出して実験したい意図もあるのだろうと思います。

その都合、セールとはいえ、割引しても3万7799円もします。対応しているサービスもまだないでしょうから、認証部分も含めて開発するためのキットと捉えるのが良いのかもしれません。

「耳音響認証」でログインできるWebサービスが今後増えてくれば、耳にイヤホンをしているだけでIDやパスワードを入力する必要がなくなるのはとてもありがたい。そのためにはデバイス自体が普及しないと対応サービスが広まりません。

9軸センサーを用いて頭の動きに合わせてロボットを遠隔操作する

みたいな機能を省いて、耳で認証できるだけのシンプルな民生機を出してほしいと思います。3万7千円以上するイヤホンを買うなら、多くの人はAppleやSony、Boseなどのハイエンドイヤホンを買うでしょうから・・・

最終的にはどのイヤホンでも標準で「耳音響認証」が使えるようになるとよいのですが、イヤホンはスピーカーはついていても反響音を拾うマイクはついておらず、物理的に無理なのでしょうかねぇ。

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