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『2030年、私たちの生活が60年代頃のスタイルに戻るって本当?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.10.6


■2030年、私たちの生活が60年代頃のスタイルに戻るって本当?

私たちの生活は人工衛星に支えられています。気象衛星がなければ今のように天気を正確に予測できなくなるだろうし、測位衛星がなかったら信号やGPSが正常に動かなくなるし、クレジットカードも使えなくなるし飛行機も飛ばない。通信衛星がなければインターネットもできません。

この生活に慣れている私たちには、想像できない不便さじゃないですか? でも、もしスペースデブリ問題を放置し続けたら、6年後には人工衛星がなかった時代の生活が待っているかもしれないんですって。

「テクノロジーによるイノベーションで社会や生活がより良くなることを目指す」ことがモットーな私にとって、生活が60年代頃のスタイルに戻ることは悪夢です。

1960年代といえば昭和35年~44年。このころはスマホもインターネットもありません。そんなころの生活スタイルに戻るのはイヤです。

しかしそれが、かなり現実味を帯びているようなんです・・・
「AIが暴走して世界征服する」よりはずっと高い確率で、あと7年以内という超現実的な時期に起きる可能性があると。

原因は「宇宙ゴミ増えすぎ問題」なのだそう。
人工衛星に増えすぎた宇宙ゴミが衝突して機能を失い、地球上のテクノロジーが停止してしまうことが、2030年という超目の前に迫った時期に予想されています。

人工衛星に宇宙ゴミが衝突して使えなくなったら、スマホもインターネットも多くの機能を失います。通信の一部が失われるとクレジットカードや電子マネーの決済も、SaaSサービスも止まります。クルマもこれまで通りには走れず、飛行機もまともに飛べません。

この話題は昔から言われていましたが、何も手を講じないと、もうすぐ起きそうなのです。


スペースデブリの連鎖衝突で人工衛星が使用不可能になるのが2030年

地球の周りを飛ぶ人工衛星の数は60年代以降、加速度的に増えています。

それに伴って、役目を終えた人工衛星や、打ち上げに使ったロケットの一部といった「宇宙ごみ」や「スペースデブリ」も増えています
(中略)
2026〜2027年には人工衛星の群れ(コンステレーション)の世代交代が集中的に発生します
(中略)
人工衛星は秒速7〜8キロメートルの速度で移動するので、人工衛星同士のニアミスも多発。何もしなかったら、スペースデブリが連鎖衝突を起こし、宇宙は使用不可能になってしまいます。

しかも、その時は2030年。想像しているよりかなり近い未来なんです。

2026年~2027年に、いまは現役の人工衛星がまとめて世代交代を迎えます。

使えなくなった数ぶん、またはそれ以上の数の人工衛星を、新たに打ち上げる必要があります。

これが地球上の話ならふつうは「入れ替え」をするわけです。古くなったものは撤去して、新しいものに置き換えます。

しかし、宇宙に打ち上げられた人工衛星は、寿命を迎えても回収することなく放置されます。そんな中に新しい人工衛星を多数一気に投入するわけですから、大混雑に拍車がかかります。

スペースデブリがこのまま増え続けると人工衛星に衝突して使えなくなる、とは昔から言われていましたが、3年後に人工衛星の世代交代がまとめて一気に起きることがわかり、「人工衛星全滅(※)、60年代の生活スタイルに」がにわかに現実味を帯びてきたわけです。

※人工衛星のすべてが破壊されなくても、主要な数基失うだけでシステムとしては停止してしまう可能性がありますし、破壊された人工衛星が新たな宇宙ゴミとなって他の人工衛星を破壊する連鎖が起きることも予想されています。

創業者兼CEOである岡田光信氏によると、2026〜2027年の大混乱は「残念ながら止められない」けれど、2030年に向けて動けば「改善傾向にまで持っていける」のだとか。

残念ながら、2026年~2027年は多数の人工衛星が現役引退することを避けられませんし、代わりの人工衛星を新たに投入せざるを得ないことも変えられません。そうしないと宇宙ゴミにやられなくても60年代の生活に逆戻りです。

これに対処しようとしているのが、日本発の宇宙ベンチャー企業、アストロスケール社です。


機能停止している人工衛星は見つけるのが大変

信号を発していない元・人工衛星は発見が難しい

すでに機能を停止していて何の信号も発していない、役割を終えた元・人工衛星などを「非協力的物体」と呼んでいます。

稼働している人工衛星どうしなら、いまどこにいて、このままだとぶつかりそうなので軌道修正する、なんてこともできそうですが、ぶつかってくる相手は信号の発信が止まった「モノ」です。位置がわからず、軌道修正の信号も受け付けず、動く出力も失っています。

スペースデブリ問題を解消しようとしているアストロスケール社は、この「非協力的物体」にアームのついた人工衛星で近づき、捕獲して軌道を離脱させるというプロジェクトをやっています。

「非協力的物体」は見つけること自体が大変ですし、超高速で飛んでいるのでアームで捕獲するのも至難の業。おまけにターゲットは無数にあるのです。

困難なプロジェクトではあるものの、この宇宙のお掃除を成功させないと本当に2030年には連鎖衝突で地球大パニック!が起きかねないのだそう。


イノベーションを続けるために

「三丁目の夕日症候群」という言葉があります。

高度経済成長期の古き良き昭和を懐かしみ、現代(現実)を否定的に見てしまう人々のこと。
高度成長期の昭和30年代を懐かしむ言葉。経済学者の飯田泰之氏が命名。

人工衛星が宇宙ゴミで破壊され60年代の生活の生活に戻るとされる「60年代」とはちょうどこのALWAYS三丁目の夕日の時代です。

とすると、懐古主義な人たちはむしろ喜ぶかもしれません。

しかしその昭和30年代当時の人たちは、その時なりのイノベーションを求めていたはずなんです。

昭和30年代は今から見るとスローライフかもしれませんが、当時は数か月単位で道路が舗装されビルが建つような激動の時代で、新しい技術が海外からどんどん入ってきて生活が一変することを日々目の当りにしていたはずです。景気が伸び盛りだったこともあって、今よりも雰囲気はエキサイティングだったかもしれません。

いま人工衛星が使えなくなって昭和の生活に戻らざるを得なくなったとしても、きっと懐古的に古き良き時代にはなりません。単にイノベーションが止まった時代になるはずです。

2030年60年代生活スタイル説を聞いた私としては、一刻も早く「ADRAS-J」を打ち上げて、どんどん調査して結果を出してほしいところ。でも、もう少し待たないといけないみたい。

というのも、ADRAS-Jは、今年11月にLocket Labの「Electron(エレクトロン)」で打ち上げ予定だったのですが、Electronが9月の打ち上げに失敗したため延期になってしまったんです。今現在、Electronの次の打ち上げ日は未定。

人工衛星が使えなくなった2030年に本当に突入してしまわないよう、まずはアストロスケール社の「ADRAS-J」を載せた「Electron」ロケットの打ち上げが、次回は本当に無事成功してほしいとお祈りします。

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