見出し画像

『数秒で充電できるナトリウムイオン電池が誕生』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.4.23

先進テックで未来の生活はもっと良くなる!」と信じて、Web3・AI・ガジェットなどのデイリーニュースから毎日ひとつピックアップしてご紹介しています。

新規ビジネスのアイディアのタネがほしい方、未来を想像してワクワクしたい方、読んでちょっといいなと思った方、ぜひフォロー・高評価よろしくお願いします!


■数秒で充電できるナトリウムイオン電池が誕生

韓国科学技術院(KAIST)の研究者が、数秒で充電可能なナトリウムイオン電池を開発しました。
(中略)
新たに開発されたSIHESは247Wh/kgのエネルギー密度と3万4748W/kgの出力密度を達成しており、市販のリチウムイオン電池のエネルギー密度を上回る性能を示したとのこと。

リチウムイオン電池はスマホなど電子機器を圧倒的に進化させましたが、課題と限界も見えてきました。

・リチウムという金属が希少で採れる場所が限られる
・そのためにコストが高い
・エネルギー密度がもう大幅には上がらない
・充電スピードが遅い
・充電回数に限界がある
・暑い、寒い、で性能が落ちる
・衝撃で爆発する

これらを解決するための、リチウム以外の素材がいろいろ試されています。

アルミニウムイオン電池、リチウム空気電池、亜鉛空気電池など、関連コンテンツにはズラリとリチウム以外の素材を使った電池技術が並んでいます。

中でも今回のナトリウムイオン系電池はこの中でも早めに実用化される可能性が高いと言われています。


ナトリウムイオン電池は実用化が早い

フッ化物イオン電池はリチウムイオン電池よりもはるかに高い性能が出ると期待されていますが、電極の最適な材料が見つかっておらず、実用化は35年以降ともいわれています。

トヨタが力を入れているフッ化物イオン電池は実用化にあと10年以上かかる見込みですが、ナトリウムイオン電池はそろそろ実用化され市販製品に採用され始めます。

研究開発だけでなく既に量産化、市販化が進んでいるのがナトリウムイオン電池です。


ナトリウムイオン電池の優位性と課題

ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池と比べて
(1)資源量が豊富
(2)使用温度範囲の広さ
(3)急速充電のスピード
(4)コスト
にメリットがある反面、

(1)低いエネルギー密度
(2)重さ
(3)安全性
に課題があるとされています。

今回の韓国科学技術院(KAIST)の研究によると、もともとナトリウムイオン電池が持っていた急速充電のスピードは維持したまま、エネルギー密度をリチウムイオン電池以上にすることができたとのことです。

まだ重さと安全性(特に、ナトリウム金属が水に触れると爆発する性質)の課題は残っていますが、重さや大きさが問題になりにくい自動車や家庭用蓄電池などの分野では、リチウムイオン電池と同等程度の安全性の確保がされれば順次市販される段階にあります。

ただしエネルギー密度を高める技術が発見されたという発表が今研究所から出されるような段階ですので、市販以後もどんどん性能が上がるはずで、初期型は手が出しにくいでしょう。


「数秒で充電」が実現されたら

充電スピードが圧倒的に上がって「数秒で充電」ができるようになればできることはたくさんあります。特にモビリティ関連に与える影響は非常に大きいと考えられます。

たとえば「走りながら充電するEV」は実現しやすくなります。道路側に埋め込む電磁誘導型の充電器の出力が相応に上がる必要はありますが。

スーパーやコンビニに止めるだけでEVを充電するサービスも海外で試されていますが、コンビニでコーヒーを買って帰ってくる間に満充電になっていれば、ガソリン車より遠くに行きやすくなります。

トルクがあり静かに走れ排気ガスを出さないEVの特性は本来は物流に向いています。

最近クロネコヤマトのEVトラックをよく見かけるようになりましたが、航続距離と充電時間の長さ、車両の価格と寿命の短さは大きな課題でした。

ナトリウムイオン電池で充電時間を圧倒的に短くでき、車両価格が下がるのであれば、トラックのEV化は進みやすくなるはずです。先述の「走りながら充電」や「駐車するだけ充電」とセットで、物流の電動化が進みやすくなります。

もっと身近なところで自転車の例を挙げてみます。

回生充電の性能を大幅に上げた、1回の充電で1000km走れる電動アシスト自転車も5月に発売されます。

今は100kmにも届かないものが多いなかで1000kmというだけでも驚異的ですが、充電性能を受け止めるバッテリーがもっと進化すれば、電動アシスト自転車はもっと航続距離を延ばせるでしょう。

今は充電時間が長すぎて一般的でない「外出先での自転車用バッテリー充電スポット」も、5分で満充電できるとなれば普及する可能性は大いにあります。

E-Bikeと呼ばれるスポーティな電動アシスト自転車はロングライドに向いていますが、電池が切れればただの重たい自転車です。100kmを超える長距離ライドをするなら電動アシストなしのロードバイクが選ばれがちですが、出先で手軽に充電できるならE-Bikeに乗る人も増えるでしょう。

東京~箱根間が100kmなのだそうですが、箱根山の登りも電動アシスト車であれば初心者でも行けるでしょう。そして坂を上りきったところで充電スポットのカフェがあれば最高。帰りも満充電で走れるのは安心です。自転車乗りが集まるライダースカフェが、電動化がきっかけで普及するとしたら興味深いと思います。


小型デバイス向け素材の進化も楽しみ

ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池と比べて大きく重くなりがちなのでスマホなど電子機器には向いていないと考えられますが、ナトリウム以外の素材で小型化や軽量化に向いた素材も研究されています。

いずれスマホも秒速充電できるようになるとすれば、ちょっとテーブルに置いておくだけで満充電になったり、スマートウォッチも腕から外さずに数秒で充電できるようになるかもしれません。

さらに言えば、もっとエネルギー密度を上げて充電不要に近づいたり、離れた場所から空間充電できる技術で充電することを意識しなくなるようになる未来もあり得ます。

電池の進化で生活がどのくらい変わるのか、まずは今年からちらほら製品が出てきそうなナトリウムイオン電池に注目していますが、スマホにリチウムイオン以外の電池がいつから搭載されるのかが本丸です。いつになるのかわかりませんが、10年以内には出てほしいものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?