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『レディ・プレイヤー1がメタバース化。ガンダムバースIP競合やオープンワールドゲームを超えられるか?』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.1.8

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■『レディ・プレイヤー1』がメタバース化 ─ 2030年までに13兆ドル規模となる可能性

VR世界でのアドベンチャーを描いた映画『レディ・プレイヤー1』が、実際にメタバース化を果たすことがわかった。『レディプレ』の世界が実現するかもしれないということだ。

『レディ・プレイヤー1』は大好きな映画です。
それが2024年内にもメタバース化されるのだそう。

ちょっと楽しみな反面、2022年に一瞬来たメタバースブームの悪い印象から「人気漫画の実写化」くらい不安になるのは私だけでしょうか(笑)

ちなみに、タイトルの「2030年までに13兆ドル規模となる可能性」は完全にミスリードです。後述しますが、この『レディ・プレイヤー1』メタバースが13兆ドル規模になるとは言っておらず、メタバース市場全体が2030年に13兆ドル規模になるとシティ銀行が予想を出している、ということを指しています。


さまざまなIPが共演する世界観をどこまで再現できるか?

劇中には古今東西のIPキャラクターやアイテムが登場し、映画版ではメカゴジラやガンダムたちが夢の共演を繰り広げたことで人気を博した。

スマブラやアベンジャーズのように、いろんなIPキャラクターがひとつの作品内で共演する賑やかさとワクワク感がたまらない作品です。

まったく独自のアバターしかいない多くのメタバースよりは、知っているキャラクターがいる、馴染みのキャラクターアバターになれる、という方が取っつきやすいし注目も集めやすいと思いますので、『レディ・プレイヤー1』を再現するという手法でメタバースサービスを立ち上げるのは悪くないと思います。

しかし、実際にどこまでのIPを幅広く集められるのかが勝負でもあり、心配事でもあります。


バンダイナムコ公式の「ガンダムメタバース」もある中で

バンダイナムコグループは2022年3月29日、「ガンダムメタバースプロジェクト」の概要を公開した。ガンプラやアニメ、音楽などジャンルごとのコミュニティー「スペースコロニー」を作り、ファンやパートナー企業をつなぐ。25年に売り上げ1500億円を目指すガンダムIP事業の足がかりともする。

ガンダムというキラーIPを使って独自のメタバースを作ろうとしている中で、『レディ・プレイヤー1』メタバースは競合にあたるはずです。

森崎ウィンさんがTBSラジオ「アフター6ジャンクション」にゲスト出演した際、「俺は、ガンダムで行く。」の名台詞はアドリブだったというエピソードも紹介されていました。

『レディ・プレイヤー1』がメタバース化されたら、多くの人がガンダムで行きたがるはずです。ガンダムがいないレディプレなんてありえない!

IPの垣根をどこまで乗り越えてひとつのメタバースにキャラクターを登場させられるのか、ユーザーがアバターとして使えるのか、二次創作やカスタマイズなど著作者隣接権をどこまで緩やかに運用できるのかが気になります。


箱モノ系メタバースにならないでほしい

そんなバンダイナムコが昨年10月に実施した「ガンダムメタバースプロジェクト」のテストアクセスは、正直残念なものでした。

ガンダムアニメの作品の世界観に入れるという方向ではなく、モビルスーツのガンダムを展示してあるだけのミュージアム的なもので、よくある「箱モノ系メタバース」なのが残念な設定です。

これでは「大阪城を3Dで作ってみましたメタバース」と同じです。

ユーザー同士のチャットは、ちゃんと設計しないと活性化しづらいですし、AIチャットボットも使われません。

唯一、ユーザーが作ったガンプラを3Dスキャンして展示しているのは「ガンプラが巨大化して動いたらいいな」という作り手の空想を実現させるという点で興味深いと思いましたが、ガンプラを展示するだけだと10分もすれば飽きます。

オープンワールドゲームなら少なくとも30時間くらいは遊べます。


2030年までに13兆ドルの経済規模なら「住める」が

メタバース経済圏のTAM(Total Addressable Market:獲得可能な最大市場規模)は、2030年までに8兆ドル(980兆円)〜13兆ドル(1600兆円)、ユーザー数は最大50億人に達する可能性があるが、一方でかなりのインフラ投資が必要になる。シティは30日、レポートで述べた。

メタバース市場は2030年には13兆ドル(13兆「円」じゃないですよ)の規模にするというシティ銀行のレポートはありますが、これは相当楽観的だと感じます。

任天堂のスーパーIPである「マリオ」は、40年以上かけて1,000億ドル(約13兆円)を稼ぎました。ゲームソフトはシリーズ累計で7億5800万本を販売、映画やグッズなどさまざまな横展開もすべて合計して、40年超で1000億ドルです。

今からたった6年で、マリオの100倍以上の経済規模になる、というのはにわかには信じがたい数字ですが、もしこれが実現されるなら、箱モノ系メタバースでは当然ダメですし、30時間遊べるオープンワールドゲームが年間数本出るような規模でもダメです。

まさしく「住める」レベルの機能が整っている必要があります。

メタバース内で働ける、稼げる、消費できる、という経済機能はもちろん、50億人が参加できるシステムインフラ、国をまたいだ法律の整備、メタバース端末の技術的進化も必要です。

何より、メタバースに住む必然性が必要です。

世界人口の半数以上が「住む」わけですから、老若男女問わずになります。今のところ、箱モノ系メタバースが大半ですし、PCやスマホでブラウザベースで閲覧するタイプのものは3Dである必然性が感じられません。単に操作しづらいだけ、移動が面倒くさいだけです。そんなものに老若男女がこぞって集まるとは思えません。

まだ、リッチに作られたPlayStation5やSteam向けのゲームのほうが「メタバース」感があります。

今後、クラインが手掛ける全てのプロパティのWeb3版権利は、Readyverse Studios社が独占保持する。

Web3という言葉を使っていますので、独自通貨やNFTを導入するのは間違いないと思います。しかし、人々が住む必然性を用意する前にメタバースの土地をNFTで売ったりメタバース内通貨の独自トークンを売ってガンダムのアバターを買わせるようなことだけを目指すのなら、多くの人は参加しないでしょう。メタバース土地NFT売買商法はもう飽き飽きなのです。

もし『レディ・プレイヤー1』の中に入り込んで住む体験ができるなら興味深いとは思いますが、実際に住めるレベルを実現するなら、メタバースの概念をリニューアルするくらいの大変革が必要そうです。


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