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『ICカードをピッはもう終わり? 時代は「タッチレス改札」 案外ローテクでいける?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.11.13


■ICカードをピッはもう終わり? 時代は「タッチレス改札」 案外ローテクでいける?

幕張メッセで開催された「鉄道技術展2023」では、様々なタイプの駅改札機が出品。交通系ICカードのみならずQRコード、クレジットカードのタッチ決済と多様化していますが、もはや「タッチ」することすら過去のものになるかもしれません。

Apple Watchの普及で、改札でタッチも不便に感じている人は多くいるでしょう。体をひねったり、慣れない右手に時計をつけたり、改札に合わせて自分を変えることに違和感を感じていた人も多かったと思います。スマートウォッチ普及以前も左利きの人がスマホを改札にかざしづらくて困っていました。

タッチしないで入退場できる駅の改札ができれば最高ですが、今回幕張メッセで開催された「鉄道技術展2023」で展示された「案外ローテク」なタッチレス改札はBluetoothを活用して実現しているのだそうです。


ローテク=QRコードの紙チケットではない

以前ご紹介しましたが、現在普及しているSuica系の非接触IC認証はさまざまな問題があり、JR各社ともに、早くやめたいようです。

やめたい一番の理由は、改札設備と運用システムにかかるコストが高額なこと。利用者が少ない地方の駅ではタッチ改札の導入自体が進んでいません。

代替として当初考えられていたのが紙に印刷したQRコードでした。ローコストですし、スマホやスマートウォッチの画面にQRコードを表示させてペーパーレスにもできるかもしれません。

しかし、認証が遅いことが問題です。オフィスビルでQRコード入場が採用されているところが多くありますが、ひとりひとり丁寧に読み込ませないといけません。このスピードだと朝のラッシュアワーに対応できません。


大阪で導入済みの顔認証は事前登録が必要

「タッチレス改札」は、文字通りICカードや携帯端末をリーダーにタッチしなくても改札を通過できるシステムです。このうち顔認証のシステムは、すでにJR大阪駅の一部や大阪メトロなどでも導入されていますが、事前に顔を登録する必要などがあり、広く普及するには課題もあります。

関東在住の私は体験したことがありませんが、顔認証で通過できる改札が大阪駅の一部や大阪メトロで導入されているそうです。

文字通り顔パスですが、事前の顔登録が必要で面倒です。日本全国共通で使えるなら良いかもしれませんが、個人情報セキュリティの問題などで普及しづらそうです。

駅に顔認証がつくなら、警察防犯面できっと犯罪捜査との連携も検討されるでしょう。それ自体は有用な面もありそうですが、社会的議論を呼んで導入が遅くなることは必至です。


Bluetoothはもう枯れた技術

 そうではない、もっと単純(?)なシステムが、今回の鉄道技術展ではいくつか出品されていました。

それがBluetoothを使った改札です。複数の事業者からBluetoothを使った改札技術が展示されていたとのこと。

 ひとつは日本信号のブースにあった、ユーザーの携帯端末のブルートゥースと連携することで改札を通過できる新型の改札機です。大人のお腹の高さほどの改札機に、ブルートゥースのシステムが内蔵されています。ICカードリーダーなども別途あり、非常にシンプルでスマートさが感じられるデザインです。

スマホはほぼ全員が持っている昨今、スマホを持っていればタッチ操作しなくても入場できるのは便利です。

 この改札機はゲートに搭載された複数の無線機で、端末の角度情報を組み合わせて位置を測定するシステムだそうですが、例えば“歩きスマホ”状態のように携帯端末が改札機より高い位置にあると、エラーが出てしまいました。

ただ、Bluetoothは10mほど離れても届いてしまうので、改札を通過する時だけ認識するように調整しようとすると持ち方によって認証に失敗するという問題もまだ起きるようです。

 東京メトロのブースでも研究中のタッチレス改札が出品されていました。こちらは駅でよく見るタイプの従来型改札機です。これ以外に、改札付近に設置されたブルートゥースのビーコン(電波を発信する装置)と、改札機上に設置されたブルートゥースの“ロケーター”を活用します。

 有効な乗車券データが含まれる携帯端末が近づいたことを察知し、改札通過を認可する電子的なトークンを送信し端末を指定、その端末をロケーターで位置測位しながら改札を通過させます。このとき、改札通過タイミングを予測してゲートを開くシステムだそう。端末がズボンのポケットやカバンの中にあっても通過できます。

東京メトロが出品していたのはBluetoothのロケーターという位置情報技術を利用したものだそうです。「改札通過タイミングを予測してゲートを開く」というのはなんだか難しそうですが、先述の日本信号が出品していたもののようにスマホの持ち方や位置に関わらずポケットやカバンの中にスマホがあっても大丈夫というのは実用性が高そうです。

 東京メトロのタッチレス改札は、既存設備を活用し、既存の乗車券方式とQRコードなど新たなタイプの乗車券に対応しつつ、もろもろ後付けでタッチレスも実現しようという狙いです。

QRコード乗車券も、今回のBluetooth乗車券も、技術的には枯れたものです。案外早く実際に使える状態になりそうです。


普及スピードと仕様統一が課題

今後の課題は、駅や路線、鉄道事業者、そして地域ごとに広く普及できるか、そして仕様を統一できるかになります。

先述の顔認証改札も「大阪駅の一部の改札」だと、同じ大阪駅でも使える出入口が限られるとなると不便ですし、関東~関西などエリアが変わると使えないのも困ります。

Suica、ICOCAなどバラバラに展開して後から統一する面倒をすでに体験している交通各社が、今回は最初から足並みを揃えられるか。Bluetoothという枯れた技術を使っている以上、技術の問題よりヒトの問題のほうが大きいかもしれません。


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