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ワシントン取材を終えた峯村健司氏の台湾有事・米中関係・日米同盟に関するコメント(2023年10月6日 ニッポン放送)

峯村健司氏の台湾有事・米中関係・日米関係に関する示唆に富むコメントを、個人メモ的に記事にしました。
*見出しPHは、『中国「軍事強国」への夢』(劉 明福 著:峯村 健司 監訳)(文春新書 1424)の帯をトリミングさせて頂きました。

飯田浩司のOK!Cozy up! 2023年 10月6日(金)
コメンテーター: キヤノングローバル戦略研究所 主任研究員 峯村健司  (以下要旨+記事)
9:43~ 峯村氏登場
22:10~米議会 政府閉鎖 瀬戸際回避 マッカーシー下院議長(共和党穏健派) ウクライナ追加支援(共和党強硬派が反対)を民主党との交渉の切り札として妥協し、45日間の追加予算を取り付けた。
そのマッカーシー下院議長自身が、共和党強硬派により解任された。
一度、共和党強硬派により議会がジャックされたことにより、今後はどんどん強硬路線に向いて行く。
ウクライナ支援に影響が出るのは間違いなく、国防総省は議会にその旨の文書を送っている。
今日のウクライナは、明日の東アジア(日本・尖閣・台湾)と考えなけれならない
米国は、ウクライナ支援を、議会の取引材料程度にしか思ってないんじゃないかという疑念が同盟国にも広がる。
議会のごたごたを見て、中露は米国は大したことないと思えば手を出してくる。中国は台湾に手を出すかもしれない。
いつ抑止が崩れるかというのは、米国の内政の揺らぎから起こる可能性が高い

32:44~ 日本の反撃手段トマホーク  1年前倒しで2025年に配備
台湾有事は、2024年1月の台湾総統選以降、混乱必死の11月の米大統領選辺りの権力の空白期(24~25年)が危険

2021年 デービッドソン 前インド太平洋軍司令官が「中国が、習近平国家主席の3期目の任期が終わる2027年までに台湾を侵攻する可能性がある」と指摘。

2023年1月、米空軍・航空機動司令部のミニハン司令官(19年9月から2年間にわたってインド太平洋軍副司令官を務めており、中国軍の動向に詳しい)の「台湾有事が2025年に起こると予測して準備を急ぐよう指示する」内部メモがリーク。24年の米大統領選で、習近平に隙を見せることになるからだ。(米国が大統領選に気を取られている間に、中国が台湾に侵攻する隙が生じる可能性がある)

これらの見立てを受け、トマホークの配備を1年前倒しに。

日米と中国との最大の差は、陸上配備型のミサイル中国は、1500・1600発以上持っていて、日米はゼロ。このギャップは埋めなければならない。
前倒しされるのは、ブロックⅣという少し前の型(飛距離は同じ)だが、それ位事態は切迫している。

36:32~
今回のワシントン出張の最大の目的は、台湾有事に関する米国の発言が減少している理由を探ること
国防総省や米政権の取材で分かったことは、台湾有事の危機が高まっているので、中国を刺激してはまずいとの認識から、抑制的な指示が出されている
例は、米政権から戦狼エマニュエル大使に自制する指示が出たのは本当だった。
このままだと習政権が暴発しかねないので、それをどう抑えるかということに焦点が移っている
戦争は起こる起こるという時には起こらず、逆に静かになった時が危ない。今は、嵐の前の静けさというのが、ワシントン取材の印象

38:50~
米中対決がリアルさを増したのは、昨年2月の核を持ったロシアのウクライナ侵攻。
米国から見れば、プーチンも習近平も同じ独裁者(何をするか分からない)何があってもおかしくない状況、だから抑止力を高める必要があるというのがワシントンの共通認識
その流れの中でのトマホーク配備の1年前倒し
ただ、200発というのは圧倒的に足りない。ブロックⅣは、地上目標が対象だが、破壊したとしても3~4ヶ所。
飛距離も1600~1700kmなので、能力も数も足りない。
中国は弾道ミサイルも持っている。不均衡な状況は、まったく解消されていない

41:08~
2024年1月の台湾総統選で、中国から見ると面白くない民進党が勝利して3期連続となると、台湾進攻の最高の口実となる候補者の頼清徳 氏を、中国は独立分子と認定している
頼清徳 氏が勝つと、中国は手を出しやすい環境となる
中国「軍事強国」への夢』(劉 明福 著:峯村 健司 監訳)には、台湾有事は、我々(中国)が最も有利なタイミングで行うと書かれている
現状、中国の方が軍事的(ミサイル等に関して)に有利であり、口実も付けやすいので、24~25年が危ない

42:43~
24年11月の米大統領選で、ウクライナ侵攻を即解決すると言っているトランプ氏が当選した場合は心配
米軍がウクライナ支援をしないのを見た習近平氏が、台湾に手を出すのではないかという恐れがある。

49:43~
米議会超党派議員、日中韓を訪問。
バイデン政権の危機感の裏返し。メインは中国訪問米中緊張緩和の切っ掛け中国側も歓迎
議員団訪問はホワイトハウスと協調した動き
台湾有事の現実味があるからこその対話
ワシントンの政権側の人間は、「ガードレール(米中間の安全柵)を敷かなければならない」と何度も言っていた。それぐらい緊張が高まっている
中国軍の演習を見ていると、非常に危ない状況。過去最多の戦闘機が連日 台湾近辺に飛来し、台湾南東近くに空母山東が来て、島の東側に艦載機を飛ばしてプレッシャーをかけている。台湾は、島の東側に戦闘機や武器を隠しているので東側から攻められるのはまずい状況。

52:40~
今回のワシントン出張で感じたのは、10年前のデジャブ。
2013年、北京特派員からハーバード大へ移った時、オバマ政権で、中国との対話モードが盛り上がっていて、オバマと習近平のサニーランズ会談が実現。
その中にまずい合意があり、その中の1つが、「新型大国関係」の合意。これは、世界のことは米中の2ヶ国で管理しようというもの西大西洋のことは中国が管理するというコンセプトが混じったもの
この合意を米側が飲んでしまった雰囲気に、現状がとても似ていると感じた。
米側は、中国との対話が目的化している。「ガードレール」は大事だが、それをどう作るか、どうやって中国の台湾進攻を抑えるのかという中身がないまま、取り敢えず会ってから考えようモードになっている。
今の流れを見ていると、11月米国開催のAPEC(アジア太平洋経済協力)に習近平が参加して、米中会談という流れになるように見える。
米側の最大の失敗例は、先般のブリンケン国務長官の訪中。国務省に確認すると、この時は習近平に会うことが目的になっていた。ブリンケンは屈辱的にも下座に座らされた上に、戦争回避の対話の提案も、習近平にあっさり断られた
トップに話したところで、中身がないと意味がない。
やはり外交と共に、軍事力で対抗していかないと、力しか信用しない中国とは、良い話し合いにはならない
バイデン政権には、10年前の過ちを繰り返さないように求めたいし、日本も梯子を外されないように注意しなければいけない。
政府、特に外務省は、よく「日米同盟があるから」というが、日米同盟は梯子を外されてきた歴史であり、日米同盟に甘んじていてはダメ。日米同盟は常にアップデートをしていかなければいけないという考え、そして、いつでも梯子を外されるかもしれないという考え2つのラインが重要
日米同盟は、片思いのように信じるものではないということを日本政府には自覚してもらいたい

【参照】




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