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Be yourself〜立命の記憶I~⑮

◆第10章:憧れの人との再会

昔から、私は思い込みが激しいタイプ。昔むかしに言われた事がある気がする。
いや、社長の私はそんな事なかったと思うんだけど。いや、人に聞かないと分からないな。

ADHDとアスペルガー症候群(現在は自閉症スペクトラムというらしい)の特徴は沖田X華先生(代表作は「透明なゆりかご」)の漫画を全て読んだからなんとなく理解してる。
(私、ウチの近所で2,3回、沖田先生とはお会いしてるんだよね。その時はこんなに有名な人だとは知らなかったんだけど。引き寄せの法則?)

この時は、「思い込みが激しい」っていう特徴は、思い出せなかったから、彼に関する事は、自分の思い込みだとかって事は、全く思わなかった。

でも、さっき書いたメッセージは、明らかに私の思い込みとか、私の気持ちじゃない。何かに突き動かされて書いたものだという自負があった。


だって、私、彼に対して、そんなお母さんみたいな事、まったく思った事無いもの。


まぁ、いいや、彼にあのメッセージを見せた時に、本当は誰の声なのか判明するでしょ。

私は、ベンタイン市場の建物に入った。


大きな倉庫のような建物の中に、所狭しと店が並んでいる。
広い通路でも、大人が3人並んで通れるくらい、狭い通りだと、1人で歩くのがやっとの通路。
ベトナム雑貨や、宝飾品、洋服、靴、バッグ、なんでもアリのお土産市場だ。


私は、建物に入ると、迷うのが怖くて、分かりやすい道を通った。
左右を見ると、それぞれ細かいものがたくさん売っている。見ているだけでお店の人が話しかけてくるから、集中力をそがれるというか、買おうと思って考えているのに、邪魔される感じがして、なかなか買う事が出来なかった。

そもそも、誰向けのお土産を買おうと思ったんだっけ?
あぁ、主人に子どもたちの洋服を買ってきてあげたら?と言われていたんだった。

いつもの社長の私だったら、多めに買って余った分はメルカリで売ってー、とか、日本に輸入出来るように、お店と仕入元をさり気なくチェックしてー、とか、色々考えたと思う。
でも、この時はまったく出来なかった。
値段の交渉すら、出来ないんだもん。

とりあえず、子供服から、と思って、細い通路に入った。
右手の5軒目に、子供服を扱う小さな店舗があった。
ワゴンのような入れ物に、洋服が雑多に乗っている。私の目線くらいの高さまで。私身長158cm。
どんだけ積むねん、ってくらい、山のように積んであった。
店舗を仕切っている壁にかかっているワンピースを見つけた。2歳の女の子用。
ベトナムの気候だから、夏服ばかり。日本は今、冬に入るとこだから、ママ友へのお土産に洋服は不向きだな、と思った。
とりあえず、自分の子供にだったら、来年着せればいいでしょ、と思って、2歳児用のワンピースを見た。これ、カワイイな、でも袖が無いのはダメだな、と思っていると、店員の女性が、これは?これは?と次々に持ってくる。

まずは形。保育園で着れるような物か。袖があったほうが脇の汗を吸収するから好ましい。
形がOKだったら、次に柄。
うん、これだな、とたぶん3分くらいで決めた。
質感とデザインから言って、500円しか出したくない。
西松屋だと1200円くらいで売っているであろうワンピースだった。
私は、スマホを取り出すと、通貨計算アプリに、500円を入力した。10万ドンくらい。
そして、ドンを入力する欄に、100000を入れ直した。469円くらい。
それを女性に見せると、女性は入力し直そうとした。


あー、めんどくさい。それがイヤだからこの金額だって言ってるじゃん。と思って、いいよ、じゃぁいらね、って帰ろうとした。
そしたら、引き止められた。この金額で良いと。
なんだよー、じゃぁ交渉してこないでよ。私、高く買ってるほうなんじゃないの?

お金と物の価値って、本当に判断が難しいよね。


物には相場っていうのがあって、欲しい人が多いのに供給が少ないと値段が上がるし、欲しい人が少ないのに供給が多いと値段が下がってしまう。
私は、物の値段なんて、あって、それでいて無いに等しいと考えている。
だから、自分の欲しいものは、相場に左右されずに、自分が妥当だと思った金額で購入するスタンスだ。もちろん参考価格っていうのは、名前の通り、一応参考にするけど。


こういうのは、フェアトレードって言わない?

まぁ、ベトナムだから西松屋よりは安く買えて当たり前だとは思った。
取り急ぎ、長女のお土産は買えた。さぁ、あとは次男と長男の服ね。

一つの目的を決めると、その目的を達成しないと、次に進めないタイプだ。
いつもの社長の私は違うと思うんだけど・・・。デスクトップにいくつもタスク開いて同時にこなす事よくあったし。

とにかく、子供の洋服だけを探した。
実はさっきの洋服、ちょっと生地が薄い気がしてたから、もっといいヤツが欲しかった。


でも、魂に捕まっていたので、時間がなかった。11時半にはKonamiさんと待ち合わせなんだから。


で、出口に向かう通りがかりのお店で、キッズ用の洋服を見つけた。
あ、長男の冬用のパジャマ足りないんだった。あるかな?と見ると、あった。なぜベトナムなのに、パジャマだけは冬用があるの・・・。

生地が良くて申し分ない。値札も付いていた。
値段はちょっとさっきよりは高かったけど、それでも1000円くらい。
質の高い生地のズボンもあったので、そちらと合わせて買った。
全部で1800円くらい。そんなに安くは無いか。でも日本で同品質の物買うと、たぶん3000円以上はすると思った。

さぁ、後は、次男の洋服を・・・と思ったところで、時間切れ。


あーぁ・・。もう、バンコクで、だな。


諦めて、ホテルに一旦戻る。

Konamiさんへのお土産はリクエストのあった梅干し。あとはウチの化粧品。
それらを、かさばらないようにお店のビニール袋に入れておいていた。
なんか、普通ちょっとした物は、ISETANとかの紙袋とかに入れるべきなんだろうけど、ボストンバッグ1個で移動している私には厳しかった。
紙袋ぐっちゃぐちゃのやつよりは、梅干し屋のレジ袋のほうがマシだと思ったんだけど、これも空気読めてないのかな・・・。

ともあれ、楽しみにしていた、Konamiさんとの再会です。
4PSって現地で有名なピザのお店があるって事で、お土産の袋を持って、そこに向かった。
15分くらい遅れるって連絡があったから、急がなくてよくて助かった。

4PSの入り口前で、受付の人に、予約名を伝え、店内に移動する。
階段を登ると、吹き抜けの高い天井に、灰色とガラス張りの高級感のある内装。
真ん中のスペースが1階から3階まで吹き抜けになっていて、その周りをぐるっと囲むようにテーブルと椅子がゆったりとしたスペースで並んでいる。

私達が待ち合わせたのは11時半、私が着いたのは11時40分くらい。お昼前の店内は数組だけのお客さんだけで、お店の人は忙しそうでもなく、余裕を持って案内してくれた。

私は2階の2人掛けの席に腰掛け、konamiさんを待った。
たぶん私が退職した後は、一回だけしか会っていない。子供が1歳過ぎて保育園に入った頃だったような気がする。


アフリカのボランティア団体から届いたフランス語の手紙が読めなくて、Konamiさんに連絡して、彼女の会社の近くでランチをしたんだった。
それでも数年ぶりの再会だった。

あれから、5年近くが経っている。昔は、彼女とはお酒を飲みながら結構、密に話をしていたと記憶している。主に女子トークと、会社の愚痴だけど。


5年前にはあまり深い話が出来なかったような記憶があるから、そう考えると、私が退職してから8年とかそのくらい、彼女との関係には空白期間があった。

私は、彼女には今回の旅の目的というか、今朝分かった事とか、そういう事を全部話がしたかった。


彼女は私よりも大人で、聡明だ。感覚能力というか、鋭い感性を持っている人だと思った。
何にしても、彼女に会える事が嬉しくてたまらなかった。

10分後くらいに、左を向くと、なんだか懐かしい面影が遠目に見える。
遠くからでも分かりやすい美人が、手を振っていた。

「Konamiさ~ん!!」

もぅ、私は席を立って彼女のほうへ向かった。
早く顔が近くで見たくて、ハグしたくてたまらなかった。
涙が出てくる。気持ち的には、8年ぶりの再会だった。

「おぉぉー、久しぶりー!お元気だった?」

男前な言動をするんだけど、上品さがどうしてもにじみ出る彼女。
私は、思わず言ってしまった。

「相変わらず美しいわね~。久しぶり~!」

私は、涙をにじませながら、気持ちは、ぴょんぴょん飛び跳ねていたと思う。大人だから実際にはやらないけど。

落ち着いて、席に座った私。まだ泣いていたかも知れない。
向き合って座った彼女は、以前とまったく変わらなかった。なんでこの人を歳を取らないのだろう??
(私の親戚の京子叔母ちゃんみたい。子供が居ないから?いやでも金さんは子供居るぞ?)

相変わらず、さりげなくルイ・ヴィトンのポーチを持って、それがオシャレだから、

「あら、またオシャレなバッグ持って~。」

と、私は言った。

「コレ―?パッチーよパッチー。」

と彼女。今思うと彼女のキャラクターからして、それは無いんだけど、一般的な企業に務める場合の、他の社員との生活レベルの違いを隠す為の彼女の処世術なのかも知れない。

でも、私、言われた事をそのまま信じるから、偽物なんだと思っていた。
翌日くらいまで。

何でも、よく考えたら、理解出来るのは、私だけでは無いはず。
でも、考えるのに時間が必要なんだよね、私の場合。

私は、挨拶もそこそこに、お土産の話から、早速、今朝あった事を話し始めた。
また、空気読めてなかったかも知れない、私。

話の途中で食べた、4PSのピザもチーズもめちゃくちゃ美味しいんだけど、食欲が全然無くなってしまって食べ切れない話もした。どれも1かけらずつは食べて、むちゃくちゃ美味しい事は理解した。
次行ったら、絶対たくさん食べてやる。

そして、例のパワポの資料を見せて、1から説明した。
彼との接点、20年ぶりの再会になる事、そして、私が推測している(というか信じ込んでいる)彼のその後のストーリーなども。


そして、彼のお母さんなのであろう人からのメッセージが届いた事も、改めて。

私が、

「おかしな話だけど、本当なの。信じられないでしょう?」

というと、彼女は、こう言った。

「あ、私もそういうの分かる人だから理解出来るわよ。」

Konamiさ~ん!!!!!
ソウルメイトだと思った。なんですか、この偶然。

いやこれは必然なんだろう。

私は、その後も、色々話をした。
お母さんのメッセージのくだりが無ければ、普通に、「高校の時別れた恋人との20年ぶりの再会」というストーリーだ。

やっぱりどうなるか、気になるよね。

私自身は、私の推測というか、妄想というか、確信まで持っちゃっている、「彼は私の事を大好きで、忘れたいが故に、遠く離れたバンコクに住んでいる説」の結果が合っているのかを知りたいだけなんだけど。

彼女とは、結局、「どうなるか、分からないわね。」という結論になっちゃったんだけど。


はたから見ると、私、やっぱり恋心全開で、危なっかしいのかな・・・。
この食欲の無さって、恋によるものなのでしょうか・・・。

その後、私は、バンコクの2日目に、エビ釣りに行くのが、私的には20年間実現出来なかったデートのようなもんでして、と話をした。
荷物になるから、持ってこれなかったけど、本当はサンダルのほうが履きたかったとも。

すると、Konamiさんがベンタイン市場にサンダル買いに行こう、と言ってくれた。
女子力上げに行こう!って。キャー素敵♪

理由はともあれ、女子力上げるアイテムが好きなのは、ほとんどの女子に共通していると思う。

いくつになっても、女は女。

ちょうどいいタイミングで大雨が止んで、晴れ間が出てきたので、私達はお店を出て、ベンタイン市場へ向かった。

昨日、ドラゴンフルーツを買ったお店の並びは、色とりどりの花で溢れて、雑多なアジアの風景に彩りを添えていた。私はわぁ、キレイと思わず写真を撮った。

普段の日常が、なんとなく色あせてきたら、花を買って飾るといいのかも知れない。
華やかなものや、美しいものを見ると、人は心が和むものね。自然と笑顔になる。


そういえば、結婚当初は、たまに主人が家にお花を買ってきて飾っていた。
今では、子供が居るから、花なんか飾っている場合じゃないくらい忙しいし、邪魔になってしまいがちなんだけど、子供の手の届かないところにでも飾れるものね。


又は、家庭の女性、奥さんとかが笑顔でいればそれが一番美しいような気もする。

ベンタイン市場に着いた私達は、さっそく女子力の高いサンダル探し。
とは言っても、ヒールはエビ釣りに向かないし、歩きやすくてカワイイのが良い。


市場には、サンダル通り、とも言えるような通路があった。左右にぎっしりサンダルが並んでいる。同じデザインのサンダルが別なお店にもあったり、お店の人が親切だったり不親切だったり。


色んなお店があるので、結局は一番自分が気に入ったお店で、相談しながら買うと失敗しないような気がする。


私達は、ほぼ全部のサンダルのお店を周り、結局最初に寄った、純朴そうな二人の20代くらいの女の子のお店で買った。値段交渉はもちろんKonamiさんがしてくれた。

私が2足、彼女が1足買って、全部で5000円くらい。いい買い物出来たと思う。
それよりも、何よりも、私、Konamiさんとお揃いのサンダルが買えたのが嬉しかったよ。

サンダルをゲットした私達は、そこからタクシーで移動して、川沿いの大きなホテルに向かった。

着いたホテルは、「ホテル マジェスティック サイゴン」。Konamiさん御用達のバーが屋上にあるという。


入り口から、ホテルの内部まで、日本で言うと帝国ホテルのような、伝統的かつ高級感のある面構え。
エレベーターに入ると、金属のプレートに各階の案内が書いてあったが、日本語も載っていた。すこしレトロな感じの日本語で。

屋上に着くと、広い空間に出た。ホーチミンを一望出来る素晴らしいロケーション。
サイゴン川だろうか、左手から右手に向かって広がって流れている大きな川。
川の向こう側は、小さい家が所狭しとならんでいる反面、建設中の高層ビルもたくさんあった。これから発展していく街なんだね。

あ、私、インド・ベトナム株の投資信託、リーマンショックのせいで塩漬けになってるんだけど、持っておいたほうが良さそうだよね。たいした額じゃないけど。

その、マジェスティックホテルの屋上のバーで、私は色んな話をした。
自分の会社を起業した時の買収の話。その後、詐欺に遭って大変だった話。
彼氏はどうだ、とか、旦那はどうだ、とか。


お互いの事を、私7割、Konamiさん3割くらいで話したような気がする。私ホント空気読めないんだな・・・。

途中、隣のカップルが写真を撮ろうとしていたので、「撮ろうか?」と日本語で普通に話しかけたら、「ありがとうございます。」って日本語で返ってきたので聞いたら日本人だった。


20代前半のカップルなのかな?「新婚旅行?」って聞いたら、「いえいえ、学生です」って言われた。
夜になると、夜景が美しいから、デートには最適な場所だもんね。

でも、そうやって、昔の私のように、知らない人に、気軽に声を掛けられるようになった自分に満足していた。だって、面白いよ。色んな人がいて。

私達は、そのバーでモスコミュールを7杯飲んで、別なお店に移動した。
3軒目はローカルなレストラン、とは言っても、とってもオシャレな内装で、外国人客も居る。


車の通る道から、細い路地を入った右側に、そのお店はあった。
ワインの種類の多さから、現地の富裕層向けのお店なのだろうと感じた。
この日行ったお店は全部そうなんだけど。

ずっと食欲が無かった私は、やっと、少し、美味しいものが食べられるようになった。
サラダや揚げ春巻き、アジアの国に来た味がした。
心がホッとしたのだろうか、今まで全然食べられなかったのが嘘のように、食欲が出てきた事を考えると、女友達の成せるパワーって本当にすごい。

白ワインを飲みながら、空白の期間の会社の話、あれこれ話をして、今のKonamiさんが会社に無くてはならない大切な存在なのを感じた。


やっぱり、私、彼女の事をとても尊敬している。

飲んでいる時に、時計を見るのを忘れる私に代わって、彼女が時計を見て、遅くなった事に気付いてくれた、夜10時。


私達は、お店を出て、通りでタクシーを拾った。
Konamiさんが、私にこれに乗って、と言い、運転手に行き先を告げてくれる。


私は、彼女とハグをして、本当にありがとう、大好き!と伝えた。


次に会えるのはいつになるだろう。
この話が映画化される時かな。

この話が映画化されるように、最初に読んでもらう人は、山野さんにしよう。
山野さんは、私の才能を一番最初に気付いて発掘してくれた人。
17歳で上京した時に、最初に私をTVで取り上げてくれて、その後CDデビューまでをずっと見守ってくれていた人。
なんとかしてくれるはず。
ここまで来るのに、20年経ったけど、山野さんなら、絶対なんとかしてくれると思った。
それくらい、私は厚い信頼を寄せている。

好きな人に、言葉で好きと伝える事は、私の中で昔からとても重要だった。
なぜなら、私が言葉で言われないと理解出来ないから。


それでも、言葉と表情がちぐはぐだと、信用が出来ないのが私。


ベトナムに来てから、私、より一層、そんな自分に気が付いた。
そして、やっぱり私ADHDなんじゃないの?と思ったんだよね。

続き→◆第11章:妄想の裏側

サポート頂けるなんて、そんな素敵な事をしてくださるあなたに、 いつかお目にかかりたいという気持ちと共に、沢山のハグとキスを✨✨ 直接お会いした時に、魂の声もお伝えできるかも知れません♪ これからもよろしくお願いします!✨✨