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Be yourself〜立命の記憶I~30

◆第16章:初めてのデート(6)


「俺の一番イケてる時代の写真、これ。」
「えー!金髪ー!!これニノ?」

あー、うーん・・・イケてる・・のか?よくある勘違いってヤツかな?顔は変わんないし。
いやー、でもここでバッサリダメっつったら可哀想過ぎるしなー。

「あー、まぁイケてる・・・かー。あ、こっちの別な写真のほうは(まあまあ)イケてるね。ま、でも私、この人だったら好きにならないけどね。私は真面目な男性が好みなんでー。」
「あ、そう?ま、いいけど。」

私は、スマホを彼に返した。

「あ、あたしの写真も、偶然この10年前のバッグ持ってきたから入ってるよ。この時は相当カワイイと思うよ。」

そう言うと、私は、バッグに付いているパスケースに10年前から入れっぱなしにしていた家族写真を取り出した。23歳の頃のかな。

「ほら。カワイイでしょ?」
「あー、お姉さん可愛いねー。」

・・・

「・・・まぁ、お姉ちゃんも美人なんだけどさ。こないだ雑誌の表紙載ったりしてたし・・・。あ、ちょっと待ってよ。こっちの写真だと分かりますかね?ホント私カワイイよ。」

と、言って、お姉ちゃんと二人で写っている写真を出した。

「あ。」
「ね?コレホントカワイイでしょ?私25歳かな、ちょうど主人と付き合い始めた頃。」
「コレ、マジ?マジで竪山さん?」
「ほらー、カワイイでしょ?」
「あー、確かにこれは可愛いわ。」
「ウチの主人は、彼氏の居たこの私を、強引に奪っていって結婚したんです。」
「そうなんだー。まぁ旦那さんの気持ちは分かるけど。」
「しかもその方法が驚きですよ。私のハートをがっちり掴んだ彼は、私に子供を産ませようとしました。」

びっくりした顔のまま固まっている彼。

「・・・・マジ?」
「マジ。だから私、彼と結婚したんだもん。私に2回も振られたのに諦めなかったのよ、ウチの主人。」
「・・・旦那さん、すごいね。」
「私、何度も前の彼氏と寄りを戻そうとしたんだけど、その度に彼が私を引き戻すわけよ。」
「・・・。」
「最終的に私を自分の物にしたのは彼だったわね。子供が出来たら俺と付き合ってくれると思った、って言ってた。誰よりも私の事、愛してくれてるって感じたもんね。」
「・・・まぁ、この顔だったら分かるわ・・・。」
「だからね、彼氏が居るくらいで諦めるような男の人は、私とは付き合えないんですよ。」
「そういう事ね。」
「そういう事。」

長年の誤解がやっと解けた気がした。

ニノは、自分のスマホを見ながら写真を探した。

「あ、ウッチー、これだよ。」

と言って、また、スマホを見せてくれた。
そこには、爽やかな笑顔で、可愛らしい奥さんと映っている好青年がいた。うん、カッコイイ人だねぇ。

「あれ??コレ、ウッチー?ん?あの眼鏡の?どっちかって言ったら、なんかこう、瓶底メガネだったウッチー?」

背が低くて、少しタレ目で、真面目で優しそうな人だったのを覚えている。
ま、でも、言ってみれば恋愛対象としては眼中に入らないタイプの地味男子だったよなーと、なんとなく記憶にある。

「あー、まぁ、そういうメガネだったかどうかは忘れたけど。」

私は、小さく映った写真の顔の中の瞳の形を見た。

「あ、ホントだ!目の形に見覚えがある!覚えてる覚えてる!何、こんなにカッコよくなっちゃってんの?今??」

ちょっと興奮気味に言ってしまった。だって、あのアウトオブ眼中男子が、大人になったらこんなイケメンかよ!

「そうそう。」

彼は誇らしげに笑う。

「ウッチーとはさぁ、もうホント今でも仲いいんだよね。こっちに何度も遊びに来てくれてるし。奥さんまで連れて。」
「いやー、ウッチーはさぁ、ホントいいヤツなんだよね。アイツくらいだよね、今でも会うのはさ。」
「いやぁ、ウッチーとだったら、まぁ年に1回くらい会ってるけど、他のみんなはどうしてるか分かんないからさぁ。」

お酒が入ってきたので、酔っぱらいぎみな口調になっているけれど、
私には彼の思っている事が伝わってきたので、こう言った。

「親友なんだね。」
「そうだね!親友!」
「この年齢(とし)になると、そう言える友達って中々いないから、すごく貴重だよね、それ。」
「同窓会したいよね。」
「あれ、幹事がいないとダメだからねぇ、大変なんだよね。大体場所は、どうするとかさー。東京?」
「いや、鹿児島でしょ。」
「いやー、でも私、同窓会、参加出来ないでしょー。私に会いたくない人たくさんいるでしょー。」
「なんで?」
「いや、だって私、嫌われてたし、私の中では黒歴史といいますか・・・。」

私はしょっちゅう遅刻していた不真面目ちゃんで、勉強の出来る真面目くんの中には、迷惑がってる人がいたのは知ってる。
あとは・・・・

「そういえば、ヨシノリと付き合ってたでしょ?」
「え?」

やべー、なんでバレてんだー。・・・バレたくない事色々あるのに・・・。

「山崎くんから聞いたんだよね。竪山さん、ヨシノリと付き合ってるんだってよって。」

あー、もー、なんで!山崎くんのバカー!ニノに言わないでよー。

「あー、まぁ、あれって付き合ってた・・・のかなぁ?聞いてるのってそれだけ?」
「うん。」
「あ、そーなんだ。まぁ、あれは、あなたに対する当てつけもあって・・・まぁ、あんまり、その、別にそこまで好きじゃなかったのに付き合っちゃったっていうところはまぁ、あるんだけど・・・。」

目が合わせられない。隠し事がある時は、人は口数が多くなる。
これ以上色々聞いて欲しくないという気持ちが、彼には伝わったのだろう。

「よし、じゃぁまた、昨日のカラオケに行くか!」
「えー、やだよー。もう歌わなくてもいいじゃーん。歌う歌ないもーん。」
「まぁまぁ、いいじゃないの。」

急に明るい雰囲気になった。
彼のPlus in Plus outのおかげだ。

その時、彼の電話が鳴った。

続き→第16章:初めてのデート(7)

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