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【内容一部公開】初学者が最速で実務者になるための入門書――近刊『動かして理解する 第一原理電子状態計算(第2版)-DFTパッケージによるチュートリアル-』

2023年8月下旬発行予定の新刊書籍、『動かして理解する 第一原理電子状態計算(第2版)-DFTパッケージによるチュートリアル-』のご紹介です。
同書の一部を、発行に先駆けて公開します。

※初版の記事はこちら


第2版にあたり
初版上梓以来、読者からの反響も寄せられ、数多くの初学者が実際に自身のPC実機で独習された様子をうかがい知ることができました。著者にとって大変喜ばしい限りです。今回の改訂では、細かな誤植・誤記を修正するほか、以下のように「より初学者のつまずきがない」ような配慮を施し、大幅に構成を変更した箇所を含んでいます。

  • 初版では「cif2cell」や「VESTA」といったツールを用いてインプットファイルの書式変換を行っていました。今回はこれらを廃し、ウェブアプリ「xFroggie」を利用する形態に変更しました。

  • 上記に呼応して、pythonの利用を廃しました。また、利用不要となったツール(graceやxquartzなど)の導入も廃しました。

  • ネットワークダウンロードのコマンド「brew」の利用方法変更(caskが引数でなくオプションになったなど)を反映させ、記載を修正しました。

  • 教材に用いる擬ポテンシャルが一時期Web上から入手不可能になったため、教材内で配布するものを利用する体裁に修正しました。

  • 作業環境の準備については、Win/Mac版になるべく分離し、付録と本文の頻繁な行き来がないよう構成を変更しました。

  • pwdやcatといったコマンドを実行する意味をリマインドするなど、Linux初心者への配慮を施しました。

  • 初版で初学者から寄せられた質問のほとんどが、ユーザ名相違に起因したディレクトリ名の差異に関するものでした。本書中で「maezono」と例示している箇所を各自のユーザ名に読み替える必要について、より細やかに都度都度注意を促すよう、注釈を増やしました。

(以下略)

北陸先端科学技術大学院大学 前園 涼 (著)
北陸先端科学技術大学院大学 市場 友宏 (著)

【目次】
第1章 はじめに
 
1.1 第一原理電子状態計算の実務とは
 1.2 便利に進化しすぎてますます混乱
 1.3 実務者として目指すべき到達点は何か
 1.4 参入の好機にある理由
 1.5 以降の内容

第2章 作業環境の構築
 
2.1 ターミナル環境の整備まで
 2.2 Linux初学者への注意事項

第3章 計算の一連の流れ
 
3.1 自己無撞着計算という計算プロセス
 3.2 インプットファイル群の準備
 3.3 自己無撞着計算
 3.4 手早くプロットして確認する
 3.5 電子構造の算定
 3.6 分散図描画
 3.7 クイック・チェックとしての物性計算
 3.8 補遺:$${k}$$ 点パスの生成

第4章 計算条件の決定
 
4.1 計算条件の決定とは何か/なぜ重要なのか
 4.2 計算分解能の決定
 4.3 擬ポテンシャル選定による予見差異
 4.4 交換相関ポテンシャル選定による予見差異
 4.5 計算条件が予見に及ぼす影響

第5章 第一原理解析の理解に関する勘所
 
5.1 カーネル計算の位置づけ
 5.2 カーネル計算の勘所
 5.3 密度汎関数法の概略:交換相関ポテンシャルの理解に向けて
 5.4 擬ポテンシャル
 5.5 基底関数系
 5.6 ソフトウェアパッケージの選択指針
 5.7 補遺:SCF収束の調整

第6章 さらなる展開へ
 
6.1 シミュレーション協働実務の進め方
 6.2 自分の興味ある系への適用に至る道筋
 6.3 マテリアルズインフォマティクス
 6.4 ハイスループット化とワークフロー化
 6.5 マテリアルゲノムへ

付録A ターミナル環境設定の詳細(Macintosh版)
付録B ターミナル環境設定の詳細(Windows版)
索引

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