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紙の本もいいとこあるじゃんって話

・前書き

ここ数年私は電子書籍を導入している。
厳密に言えば電子書籍の中でも何回も読み返した専門書などは一生の価値があるので紙で購入し、漫画や小説、気になる専門書やビジネス書は電子書籍で購入している。

しかし電子書籍が一番好きかと聞かれるとそうではない。紙の本が大好きなのでどっちが好きかと聞かれると紙の本である。
でもなあ。電子書籍の方が取り回しがいいからよく読むんだよなあ。バックも軽いしなあ。マーカーも引きやすいんだよなあ。引っ越しの時には荷物にならないしスペースも取らないんだよなあ。

紙の書籍に対しての未練がすごい。

そんなある時ふと思ったことがある。

将来、子供が読むためにも自分の好きな漫画や小説は電子書籍ではなく紙で買うことは結構メリットがあるのではないか?

ところで世界で最も流通し、最も読まれてきた書籍とはなんだろう。
そう、「聖書」だ。
そして聖書とは内容の大部分が逸話によるストーリーで構成されている。

つまりこの世界の大部分の人間がストーリーに触れて道徳や生き方を学ぶのである。

だがこの日本には特定の宗教に入信するという文化がない。
新年は神社に行ってバレンタインやクリスマス、ハロウィンを楽しむ。身内が亡くなったらお坊さんに来てもらう。
神教なのか仏教なのかキリスト教なのかどれなんだ・・・?

だが私たち日本人はストーリーに触れていないだろうか?
そんなことはないはずだ。

私は幼少の頃からアニメや漫画に触れてきた。私の構成する価値観の多くがそれらからもたらされていると言っても過言ではないだろう。
そしてアニメや漫画とはストーリーで構成されている。

となると日本において漫画やアニメとは一種の聖書の役割の一端を担えるのではないかと思われる。
大袈裟かもしれない。大袈裟だったわ。

・ストーリーって凄くね?びっくりした。

私は趣味でよく心理学に触れているがストーリーの力は本当にとんでもない。
相手を説得させようとするとき、事実やデータを使うこと、メリットを伝えること、不安を煽ることなど幅広い手段があるが例え話や逸話、体験談の説得効果はそれ何比べても謙遜ないどころかそれ以上である。

それに加えて説得において心理的な抵抗感がない。

これはなぜかというと相手を説得する時に「心理的リアクタンス」と呼ばれる現象が起きているからだ。
これは「人間は何かに自由を侵害されたり奪われたと感じたとき、その自由を回復しようと動機づけられる心理現象」のことを指す。

要するに親に「勉強しなさい!」と言われるとやる気がなくなるのは、勉強をするかしないかを選択する「自由」、自分の好きなタイミングで勉強をする「自由」を親によって侵害されたため「それを決めるのはこっちだろ?」と反発してしまうことが起きる。

相手を説得するときも「〇〇をした方がいいですよ!」と言われると感情的に反発するので言わないほうが説得に応じやすい。
また「but you are free」(しかし最終的にそれを決めるのはあなたですよ)というセリフを付け加えるだけで説得率が上昇するという研究もある。

そこで相手に動いてもらう時に使える有効な手段の一つが「ストーリー」だ。

なんせ心理的リアクタンスが発動しない。そこには物語しかないからだ。
電子書籍をストーリーを使って売り込むのならこうだ。

「実は私も電子書籍買うつもりはなかったんですよ。買った理由もセールをやっていたから試しにやって使ってみようって衝動買いで。
最初に使った時はやっぱり紙の魅力には敵わないなって思っていたんですけど、しばらく使ってみると電子書籍の強みがわかってきたんですよ。
まずバックが軽い。歩き回る時もバックの重さで一日の疲労感変わるじゃないですか。そして本に飽きたらすぐに他の本が読める。片手だけで本を読めるのも電車の中で本が読みたい時にいいですよね。
そして何より本を読むこと以外ができないことが最高。スマホって一度取り出すとついつい動画とかSNSとか触っちゃうじゃないですか。それがないのがいいですね」
みたいになる。

オタクの早口による布教を聞くとついやってみたくなるのと同じ。

・漫画や小説を紙で買うのおすすめっすわ

少し脱線したが本題に戻ろう。

あなたは人生において大きく考えを変えさせられた作品はあるだろうか?今の価値観を形成するような作品に出会っているだろうか?

私は学生時代に読んだ「鋼の錬金術師」や「マギ」、「テガミバチ」などは私の価値観に大きな影響を与えた気がする。

そしてこれらの作品はどこで見つけたか。全て親戚の家で見つけた。
8歳ほど離れている従兄弟の本棚にあったものを気まぐれで読んだことが始まりだった。

そんな私のように家の本棚の中に漫画や小説があったら?
子供は好奇心でその本を手に取るだろう。

多くの作品に触れるほど多くの考え方、人に対する視点の幅が広がる。

ブラックジャックを読んだ人が医者を志すきっかけになった人もいるように、もしかしたら将来の夢にだって繋がるかもしれない。

かつての私のように「ノーゲーム・ノーライフ」でみたようなことをやってみたくて心理学や行動経済学に興味を持って書籍を読み漁るかもしれない。

「あなたは音痴だね」の言葉が一生心に刺さって取れなくなってしまうようにたまたま見たワンシーンがいつまでも記憶に残ることがあるだろう。

ストーリーには人生を大きく変えてしまうような出会いがある。

・最後に

漫画が家にあるだけで子供はその好奇心によって本を手に取り読み出すだろう。
たまたま家にあった本がその子の人生を大きく変えるかもしれない。

「自分は子供に対して何を伝えたいのだろうか?」を考えながらオリジナルの本棚を作っていくのはすごく素敵なことではないだろうか。

それはきっと紙の本でしか作り出すことのできない価値なのではないだろうか?

まあ彼女もいないので子供とかそれ以前の問題である。

彼女ほしいなあ。

旅館に泊まって「その浴衣似合ってるね」とか言いたい。いつもは髪を下げているのに運動する時だけポニーテールにしている姿を見てドキッとしたい。
あああああああああああああああ!!

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