「お前が消えろ」で私が消えた話 ~それでもワンピは実力ゲー~
※こちらは一応、日本一決定戦の振り返りnoteです。
こんにちは、森忍と申します。
先日、2/10(土)の日本一決定戦に出場してきました。
デッキ選択は緑ウタ。当日優勝した月うさぎさんと同じデッキ選択です。
実は月うさぎさんとはメモリアルディビジョン調整会を行っており、そこで緑ウタの可能性に気付いた形でした。
その後はしばらく別で研究し、数日前に一緒に練習する機会がありましたが、そこで互いに緑ウタという結論になっていました。
さて、そんな緑ウタを握った私ですが、明暗はきっちり別れ3戦目で2敗してしまいました。
今日はなぜそうなってしまったのか、見ていきましょう。
ざっと緑ウタ選定理由
本題ではないのでサクッと書きます。
簡単に言えば
を体現するデッキです。
特に2番手人気の黄カタクリや、サカズキのために前寄せしたデッキには「8キッド」が強く刺さるのが大きな強みです。
大会全体で描いていたプランは下の通り。
思い描いたプランは全て体現された完璧なウタの優勝でした。
体現者が自分であればな!!!
そのため基本戦略は「サカズキ以外の全デッキをシャットアウトし、サカズキのみ『相手がわからない』ことを前提に勝つ」ことです。
この戦略は総合的には上手く行っていました。
当日の自分の不運を除けば。
当日の分布
おおむね予想通り。黒黄ルフィ、赤紫ローの0は意外でしたが、上位3デッキの順番と分布は間違っていません。
1.黄カタクリ 後手 ×
カモがネギを背負ってきました。
このデッキは基本的にカタクリをボコボコにできるよう作られており、7ルフィ、8キッドと順に置けた時にはほぼ完封ペースです。
一方で7ルフィを置けない、かつ後手を取らされた時は厳しいですが、総合的には黄色の弱点を突くための以下の行動ができるため有利です。
序・中盤の展開
対カタクリへの基本方針は「8キッド全力マリガン」です。黄色系デッキはこの「8キッドを超えられない」上に「8カタクリを採用し得ない」点が非常に重要になっています。
8カタクリを採用し得るデッキは環境的にはエネルだけですが、エネルがサカズキに勝てる構造を組むためにはほぼ必ず前寄せにするだろうという予想があり、エネルやカタクリには現実的に8キッドを突破する方法がありません。(ヤマトは序盤の展開次第で8キッド着地前に手札を切らせることが可能で、実践的にはかなり勝負です)
手札に8キッドはありませんが4投しているカードを後手5ターン目までに引けば良いですから、ライフを受ける分を加味すると、ここからでも6割程度引けることは確認済みです。
悲観する段階ではありません。
そして後攻3ターン目。相手のリーダーパンチで受け取ったライフから…
文句ないタイミング。8キッド無しで戦う方法も用意していましたが、その場合は7ルフィの連打が必須。手札に1枚しか7ルフィがない状況で2枚目の大型はまさに救世主です。
後手4ターン。面に2枚の5000キャラがいる状態で手札には7ルフィ、4ブルック、3ウタ×2。
8キッドの基本的な使い方は8キッドに攻撃を集中させるよう仕向け、その隙に横の5000キャラで攻撃回数を積むことです。
攻撃回数を積む観点では4ブルックを出したいところですが、次の8キッド用の2面がを置く場所がなくなるため、カウンター値を維持しておいた方が良いと判断。
手札のカウンター値をきっちり計算したところ、相手の雷神の枚数と自分のトップのカウンター値次第で±0以上であれば8キッドが残る計算になっており、8キッドが生かせれば勝利は間違いなし。
仮に生かせなくても、相手のライフ1の状況でウソップ、ナミ、ウタ、リーダーウタ、私は最強でのリーサルを十分目指せる戦況であり、後攻4t目にして最終局面は想像できる状況でした。
先5の攻撃は7ルフィと3ウタを駆使して手札を切らされないように防衛。
後手5トップは7ルフィの非カウンター。ナミ効果から1000値を回収し、待望の8キッドを着地。
負けるわけがない。
手札を切らせるために相手のライフは1枚にするより他にありませんが、8キッド、7ルフィが落ちたとしても面にキャラが3体残る状況。
そのためには相手は雷神を2枚以上使う必要があり、その場合の残りの手札は4枚。
ワンピースカードは手札4枚・ライフ1で4面分の攻撃を耐えられるようにはできていません。
しかし頭の中をよぎるのは2週間前にあった出来事。
2週間前の大会で実際に起こった事象。この再現はなんとしても避けなければなりません。
この時は実は「相手の盤面に10マムがいる状況だったが、実はもう1ターン続けられた」というのが回答でした。
今回も実はもう1ターンやれる筋があるんじゃないか?
念のため探すも、そもそも8キッドを維持できるかすら微妙なラインなため無さそう。
次ターンをラストターンと腹をくくり、リーサルへ向かいます。
運命のラストターン
相手の手札は4枚、ライフは1。ライフはカタクリがリーダー効果で下に送ったライフです。
手札には1000カン2枚と7ルフィ、私は最強とトップで引いた新時代があります。
さぁ、皆さんもリーサルを取ってみましょう!!
7000×4+5000×1が作れますね。
トップから私は最強がめくれれば攻撃回数が増やせるかもしれないので、まずはリーダーウタの攻撃回数を使うのがウタの鉄則です。
森忍「リーダーウタに2ドン付けて7000リーダー」
これは手札のカウンターで守られる。残りは2枚。
下に送ったカードであれば、基本的には雷神・お前が消えろ・ベッジ・ブロッカートリガーを想定したいところ。
手札1枚は10マムであることはわかっているため、新時代とナミに効果を使わせれば低確率で2枚目の私は最強を持ってきて攻撃回数を増やすことも可能です。
一応3ナミを使って残り1枚の最強を持ってくるルートを確認。または5000パンチで相手の手札を削り、見えている10マムに対して5000でリーダーを通すルートも検討。
いずれも最後のライフが「お前が消えろ」だった時に一回分の攻撃回数を失うため、これは7000リーダーからだ!!
ウソップに2ドン付けて7000リーダー。めくれたカードは…
雷神・お前消え・お前消え
これは全然想定内です。もともとカタクリ効果で下に送っていたカード。これがめくれても手札が0枚で攻撃回数は3回残っています。
手札は0。つまり5000リーダーが入る!!
一瞬何が起こったかわからなかった。ワンピカードのトリガーはあの【デュエルマスターズ】とかいうゲームに比べれば本当にささやかであり、キャラを出すにも大抵の場合手札を捨てる必要があります。
雷神も例にもれず、手札2枚のコストが必要なカード。
対戦相手がトリガーを使えるかの確認しますが、どうやら手札が無くても使えるらしい。
使ったあと手札がないということは…
え?ノーコストでライフを増やすトリガーってこと?
とはいえ狼狽える状況ではありません。
手札0枚、ライフが1枚。攻撃回数は2回残っています。
仮にブロッカートリガーが出ても、ナミか新時代で逆行を探せばギリ耐えている状況です。
何かしらで攻撃を止める方法があっても、まだまだ9割近く勝っている状況。
事実上のラストパンチ…!!
私は消えました。。。
対戦相手のシロッコくん選手のリスト。おま消え2枚しか入ってないんですが(最初で最後、愚痴らせて)。
ちなみに2試合目は月うさぎさんが配信卓でした。
緑ウタは5弾振りの環境入りですからね。珍しかったのでしょう。
次の対面次第ですが、この1敗で私は配信卓も失っていたのかもしれません…
3戦目 サカズキ 後手 ×
2戦目のサカズキ戦を私は最強を駆使してギリギリ勝利。ここまでは想定通りの対戦です。1戦目の負け方がなければな!!
3戦目、対サカズキ。
ジャンケンに勝って後手を選択後のマリガン前。
ウタの対サカズキで大事なのは4ブルックとゲームエンドまでへの道筋。新時代1枚ではブルックのヒット率は改善されず、なにより8キッドを道中でも引いてくれば、その枚数をゲーム内使うことを前提にゲームを組み立てなければいけません。
その観点において、キープ基準はナミではなく4ブルック。新時代も2枚あって初めてキープになります。
これは強気にマリガンを選択するべき。狙うは4ブルックや4ゾロなどで押し付ける展開。
ゲームにならんよ…
手札的に使いきれない8キッドが2枚以上あり、相手に処理要求を作るためにはトップから低コストカードを引き続けなければいけません。
そのうえで8コストターンには7ルフィから出すためのカードも確保する必要があり、盤面を守るためにも8キッドは邪魔なカードになります。
しかし、諦めてはいけません。トップからカードを引き続け、8キッドを2回投げるゲームにすればいい。最初から手札に1~2枚使いきれないカードがあっても大丈夫なのがウタであり、この程度に事故ならゲームにしなければならないのがワンピースカード。
ここで出すカードを引いておきたい、後手2のドロー。
その後2枚目の7ルフィを引き、手札には使いきれない非カウンター値の嵐。
勝ち目は無し。
それでも色々考えましたが、なんかこう…、うん。何をしても無駄だなって感覚だけが残りました。
残りのゲームは良く覚えていません。初戦負けでのオポ勝負はどう見ても勝ち目は無しです。
私の2023シーズンはここで終了しました。
この不運、覆しようがなかったのか?
1大会中に2度「どうしようも無いゲーム」が起こった
さて、今回は信じられない不運に二度襲われました。しかも二度とも勝負にならないほどの不運にです。
確かに勝負にならない手札、展開、相手の引き、そんなことに見舞われたことは何度かあります。相当事故が起きにくいワンピカードではありますが、カードゲームである以上は「ゲームにならない」展開や組み合わせがあるのは当然のことです。
しかし大会に何十回、公認大会などを含めれば100回以上は出たと思いますが、5~10ゲーム程度の間に勝負にならない事象が2回以上発生したことは1度たりともありません。
仮に2度以上負けたとしても、何かしらの敗因、デッキ選択のミス、環境読みの失敗、プレイングのミス、読みのミスetc…
必ず自分の力で覆せていた問題が、常に発生し続けていました。
しかし今回、その不運が相手のレベルにすら寄らない所で2度も発生しました。全くの想定外です。
こういう時こそ公平に見つめるべきだと思っていますが、公平に見るからこそハッキリと会場中で最も不運だと確信できるレベルでした。
しかし、私にはこの不運を十分に覆す方法があったはずです。
実はどうしようも無くなかった
さて、先ほど対カタクリのラストターン問題を解いてもらいましたね?
実はあのリーサル、厳密には別の選択があります。
なぜならナミ効果で最後の「私は最強」を引っ張ってくる筋があるからです(3枚中1枚は手札、1枚は途中で確認済み)。
つまり回答は
実はこれでトップ6枚の中に私は最強があれば
はケアできています。
自分はこの筋をなんとなく理解していましたが、レアケースを考えて基本から逸脱するのは、実践的にミスの原因になると考え、ウソップでアタックしました。行動としてはかなり自然ですからね。
ただこのルートであれば、トップ6枚、約25%の確率で「雷神・おま消え・おま消え」を乗り越えていました。
実は二発目のパンチでお前が消えろをめくった後にこの筋に気づき、自分の心臓がキュっと締まるのを感じました。
…負けが確定した後、意味もなくトップの6枚を確認。最後の「私は最強」は無く、なぜか非常に安心したことを覚えています。
新デッキを開発できなかった
今回の大会で圧倒的tier1に君臨していたサカズキ。その強さは群を抜いており、モビーひげを凌駕するほどの完全無欠のデッキでした。
事故もロクの起こらず、知らないデッキに当たっても優秀な非カウンターでとりあえず戦える対応力もあり、リクルーティングは難しくとも、キャラに組み合わせで除去を当て続けるという性質に関しては(上級者層には)そこまで大変ではありません。その上でプレイングを磨く余地も十分残っています。
気になる点は圧倒的tier1であるという理屈上、どんなメタを張られても文句が言えないという事だけです。
サカズキの使用率は33%~4割ほどいるとは考えていたため、他をある程度軽視してもサカズキに強いデッキを探すのは妥当な戦略です。
問題はサカズキに強い構造にしようとする限り、極端な前寄せをするしか無い構造だったこと。
速いデッキは必ず引きや「前寄せに強い構造のデッキ」に阻まれる可能性があるため、コレも勝つべくして勝つデッキには成りにくい構造でした。
その末に考えたのは緑ウタではありましたが、厳密なサカズキへの戦績は奮わないと言わざるを得ず、相手がライフの価値やリクルーティングを誤ることが前提のデッキ選択でした。
(一方で日本一決定戦レベルでも、その場でリクルーティングやライフの価値を正しく把握することは厳しいとわかり、その点においては正しいデッキ選択だったと思います)
これを見事なバランスで体現したのは、かぁ~。さんの速攻型黄エネルだったと思われます。
「緑ウタ」は私の望むラインには届いていない
今回緑ウタで大会に挑みましたが、結論から言えばこのデッキに納得しているわけではありません。
理由は単純で、最も対策しなければならないサカズキに厳密な不利が付いていながら、実践的になんとかしようとしていたデッキだからです。
モチロン一つの選択肢としては十分な可能性を持ったデッキであり、特に決勝トーナメントに残った先のデッキを狩る力は十分に評価していました。この点は実際に優勝が緑ウタだった点からも文句がないでしょう。
一方でサカズキへの厳密な不利のほか、多くのデッキについて8キッドにやや依存した対策をしている点、非カウンター値のバグりを隠す点についてはかなり厳しく、ある程度の事故要因に目をつぶっているのも事実でした。
サカズキ以外の全デッキに有利を付ける、メタのメタという点においてはかなり目的を達成できていたと思う一方で、総合的にはまだまだ他のデッキ選択があったのでは無いか?と思わずにはいられません。
「逃げたデッキ」が存在している
環境デッキ内で最も可能性を感じたのは、間違いなく緑黄ヤマトです。
構造上一番サカズキに有利を取りやすくその上でいくつかの方針で耐久プランを取れ、環境デッキなのに相手から型がわからないという強さ。
総合的に見てもこのデッキを使いこなせれば、かなり強力なデッキでした。
ただしカタクリにもサカズキにも非常に難しいゲームを強いられ、ライフ5リーダーを実力で攻略し、かつ手札構成によってどうプランを組み立てるかを考えさせられるデッキでした。
(masterさんとやってみ?このデッキの深淵を見て、何を計算すれば良いのかわからなくなるよ。)
私は可能性の高いデッキがあるのに、それを自分の練度が追い付かないことを理由に切っています。明確に自分の実力不足から失った選択肢です。
ワンピカードで「運負け」と言い出す人に言い返す題材ができた
私はワンピカードはほとんど運負けしないゲームだと思っています。今まで何百ゲームとしてきた中で運負けはあまりに数える程であり、常に何かしらのプレイでの敗因が見つかり、しかももしその原因を全て修正できていたらまず勝ちになってた対戦ばかりだからです。
モチロン十数ゲームすれば1ゲームくらい「どうしようも無いゲーム」はありますが、そのゲームも大抵の場合デッキ選択・構築の敗戦に帰着します。
今回で言えばゲーム上仕方の無い対戦は「雷神・おま消え・おま消え」の方であり、3戦目のサカズキ戦については「大型が手札に固まった状況を許容できるようにデッキを組まなかった(選択しなかった)私が悪い」可能性は高いでしょう。
現にサカズキは後手2の4枚8モリアが来ても、何の苦も無くゲームを続けていたでしょう。モリア2枚くらいを抱えるゲーム展開にすれば、大型4枚はむしろ好ハンドだと言えていたかも知れません。
1次予選の7エースピン投エース、各所で「構築が全く理解できない」と言われましたが、ピン投の理由は明確に「大型嵩張り負けを許容できない」ことにありました。
上の事象が解決した先に、勝つべくして勝つデッキがある
無論勝つべくして勝つと言っても、100回中100回優勝することはできません。優勝するには、必ず対面運やその場の引きに見放されない必要はあります。
勝負事である以上、このレベルでの優勝を求めることは不可能です。サッカーだって天皇杯などで学生チームがJ1チームに勝つレベルのことが起こるわけですから。
一方で100回中90回(これが厳密に80回か95回かは知らないが)のレベルでエリア予選や決勝大会(トナメ初戦負けは知らない)、日本一決定戦を抜けること、すなわち予選を一敗以内でまとめる選択・構築・プレイをすることは十分可能だと思っています。
今回はサカズキがあまりに強大なtier1として君臨してしまい難しかったとは思いますが、それを体現したプレイヤーもいたかもしれません。個人的に緑黄ヤマトで予選全勝したカブさんは、デッキ構造を含めてかなり有力なデッキを選べたのだと思います。
その視点に立った時、とてもじゃないですが私が勝つべくして勝つ(十中八九、世界大会の権利を取れる)デッキ選択と練度を持ち込んだとは思っていません。
起こった事象そのものは十中の一,二を引いたとは思いますが、八,九に入ったときに必ず勝てるデッキだったとも思っていないのです。
それでも思う、ワンピースカードは『実力ゲー』である
厳しいこと言うと、いかにワンピカードが実力ゲーだといっても、日本で50番目の実力のプレイヤーと100番目のプレイヤーの差が出るわけではありません。
そのレベル差で100番側が勝つことなんて、他の競技でも無限にあることです。
その中で大会の仕組み上、エリア一敗で予選落ちしたり、決勝大会のトナメ1回戦で有力プレイヤーが消えたのも知っています。これに関しては改善して欲しいと思いつつ、半分は仕方ない所もあります。
しかし上の事象を全てこなしきった先には、きっと「勝つべくして勝つ」方法があると思っています(モチロン十中八,九は限度ですが)。それ程にミスが敗因へと直結しているゲームです。
自分は上記のことが事前準備でやりきれなかったと確信していますし、決勝大会や日本一決定戦に挑む95%のプレイヤーが、まずできていなかったと思います。
あなたは上記の失敗をしていませんか?そもそもそういった話について考えられていましたか?
仮にトナメや次の大会に残ったとしても、あなたのデッキは『勝つべくして勝つデッキ』でしたか?
私はその『勝つべくしての勝利』を求め、このゲームを来年も楽しみたいと思います。
この話が皆さんのお役に立てば幸いです。
悔しいよぉ😢
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