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第43話「クラウドファンディング」

とても良い時代になったものだと思う。
お金集めが、簡単にできる時代である。

昨夜、LINEを使った投資勧誘の詐欺事件が
続発しているとのニュースをやっていた。

知らぬ間にLINEのグループに入れられていて、
周りの成功体験がアップされているのをみて、
「投資をしてしまった」と
被害者らしき人がインタビューで話をしていた。

どこかの大学教授が、
「これはネットを使った典型的な詐欺ですね」
と言っていた。

騙す方が悪いのか?
騙される方が悪いのか?

先ず、甘い話に罠があると分かっていても、
もしかしてと思ってしまうのが
人の弱さというか欲である。

今年に入って2社のVCのCEOから
相談があって、面談した。

投資しても、投資先がうまく行かないとのこと。

素直に質問した。
「相手の思いとか
 コンセプトと情熱に投資してませんか?」
ほとんどのスタートアップは、
思いや面白いコンセプト、更に情熱を持っている。

だけど、約90%は成功しないのである。
だから、蓋然性の確認が必要なのである。

一社のVCのCEOは、
自分でベンチャーを立ち上げたのだが
失敗してしまった。

その経験を活かして、
ベンチャーを支援できると思っていたと語るが、
成功するかどうかは別として
失敗するかどうかは、
事業計画段階でほぼ想像できる。

これからは、最低限検討しなければいけないこと
を伝えて別れたのだが、別れ際に彼から
「アドバイザーになってもらえないか」
との話があったが
暗にお断りをした。

このVCもある意味ベンチャーである。

もう一社も似た様な話であったが、
どちらかというと成功する
ビジネスモデルの話であった。

さて、クラウドファンディングなのだが、
これは最初の投資詐欺と変わりないのではないか
と感じることがある。

更に、悪質なのは、人の善意につけ込むことである。
要は、成功しないと分かっているのに、
もしくは、成功すると本人がまだ思ってもいないのに、
思いだけをぶち上げて金集めをする。

勿論、成功しなくてもリターンもなくても良くて、
頑張っている人を支援したいという
善意の人もいるだろう。

しかし、人からお金を預かるというのは、
少なくとも、これから行う事業に対して
責任を持つことであり、
預かったお金を何らかの形でお返しする
責任を持つことなのである。

成功する蓋然性が無く、
単に思いをぶち上げて
良い話だけでお金を集めて使ってしまうのは、
それは遊楽のために使ったのでは無くても、
自分の満足のための享楽費でしかない。

同じ詐欺の様なものだ。

それなら、最初から、
思いとともに
「これは成功の見込みは無いですよ」
と伝えた上で、友人、家族、
そして善意の投資家から
集めれば良いのだ。

お金が膨張し、拝金主義と安易な投資、
スタートアップが雨後の筍の様に発生する。

昨日、日本を代表する、
ある企業とweb会議をしたのだが、
自社も含めて業界の会社の多くがCVCを作ったり
スタートアップに投資しているが成功しないので
新しい仕組みを作りたいとのことであった。

先ず、スタートアップが成功する確率は10%以下で
スタートアップの市場が形成されるには
10年はかかるため
リターンを期待できるのは
10年後以降であることを伝えた。

そのことを理解して、
失敗率90%の案件に投資し
10年以上待つ覚悟が
会社として持つことができならないなら、
安易な投資事業はやらない方が良いと
伝えたのである。

さて、僕もいくつかのスタートアップ企業に
投資したり、フェローをしたりしているが、
一社を除いてリターンはまだ無い。
潰れていないだけ、まだましで、
微かな期待が持てるのである。

ネットの世界が膨張し、
繋がることで良いことや便利なことも増えたが、
それ以上に安易な考え方、
それにまつわる犯罪が増え、
更に深刻化している。

だからこそ、自分の目をしっかり見開き、
考え判断する自分の視点が大切なのである。


森の黒ひげ塾
塾長 早川 典重

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