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第21話「中間選挙と分断の理由 Filter BubbleとEcho Chamberの世界」

米国の中間選挙の行方を気にしながら、
NYでの街頭インタビューの言葉が気になった。

「ライバルが戦争する敵になってしまった」と。

良き競争相手であった民主党と共和党が
お互いに相容れない関係に
なってしまったと言うことか?

ライバルという言葉には、
どんなに競い合っても相手への理解や尊敬
そして信頼の念がある。

だからこそ、フェアな戦いをし、
そのために切磋琢磨し、刮目して待つのである。
即ち、相手への尊敬はおろか
相手が何を言っているのか理解をせずに、
全否定することで
お互いがぶつかり合うということか?

ライバルではなく、分断であり、
そこには途轍もない深い谷が
存在する様な気がする。 

丁度、APECの場を借りて、
バイデン大統領と習近平主席の会談がなされた
との報道があった。

まだ、対話と相手に対するリスペクトと言うか
恐怖なのかも知れないが、
相手を知り、落とし所を探している点は、
ほんの僅かであるが救われた気がした。

何故かくもライバルが分断と
変わってしまったのだろうか?

その背景には、情報戦があるのだろうが、
それ以上に検索エンジンのリコメンデーション
という機能の存在があると思われる。

リコメンデーションと言うと
誤解を生じるかも知れないが、
我々が接する情報は、
Filter Bubbleの中に
閉じ込められた情報なのである。

自分にとって都合が悪い情報は、伝えられない、
即ち、都合の良い情報という泡の中に
閉じ込められてしまうため、
相手の主張を目にすることが
無くなってしまった結果、
相手の意見を全く聞く機会を失われてしまった。

更に悪いことに、
Filter Bubbleの中にいる人同士だけが
交流し議論することで、
話の内容がどんどん誇張され大きくなっていく、
Echo Chamberの世界。

そして世の中には、
心地よい泡の中の心地よい言葉の世界しか無い
と思える様になるのだ。

そんなバブルは、
風に乗ってどんどん遠く大きくなっていき、
まるで見たことのない
他所の国の話となっていく。 

分断の原因は、こんなところにあるのであろう。

これは、政党同士の話に留まらない。
家庭内でも起こるのである。

コロナ対応のワクチンを接種するかしないかで、
離婚まで発展したケースがあると言う。

奥さんは、家族のことを思って、
ワクチンを接種すべきかどうかをインターネットで
一所懸命に調べた結果、
打つべきではないと言う
Filter Bubbleに取り込まれてしまった。

最初は、両者をフェアに見ていたはずが、
一度Filter Bubbleの泡に閉じ込められてしまい、
更に、家族が理解してもらえないと
SNSで呟いたらもういけない。

同じ様な人達の意見や情報の洪水の中に
飲み込まれてしまい
帰れなくなってしまったのである。

ワクチンから始まり、食べ物、
そして最も深刻なことは、
家族の言葉に
一切耳を傾けなくなってしまったのである。

家庭内でも情報による分断が起こってしまっている。

勿論、学校でも、職場でも、様々な場所で、
多くの泡が存在して
閉じ込められてしまっているのであろう。 

僕も何らかの泡による
偏見を持つことがあると思う。
しかし、元来の天邪鬼の性格が、
本当かなぁ?と疑ってしまうこと、
多くの本、人と触れ合っていることより、
多少はマシかも知れない。

さて、Filter Bubbleに
閉じ込められない方法はあるのだろうか?
もし、周りに同じ話ばかりが聞こえてきて、
居心地が良くなってきたら、
赤信号が灯っていると思った方が良い。

そして、検索する際に、
反対の言葉をいれて検索すれば良いのだ。

要は、自分と異なる意見にも目を通し
耳をかすと言うことなのだ。
そして、それが自分独自の視点を
作り上げることになっていく。

さてさて、
多くの経営者もその任期が長くなると、
周りには心地よいことを言う茶坊主に
囲まれることになる。

心地よい泡に囲まれた裸の王様になるのである。
かくして、
日本では多くの迷(迷惑・迷走)経営者が
威張っていくことになるのであろう。

そう言えば、リコメンデーション機能が無い
新たな検索エンジン「Duck Duck Go」
が使われ始めた。

また、最もDigtal Nativeであり
Filter Bubbleに閉じ込められそうに思える
Z世代の若者の投票率が高く、
分断から連帯Uniteを望んでいると言う。

世界は、変わる。
捨てたものではない。


森の黒ひげ塾
塾長 早川 典重

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