森まりも

大和書房より『仕事の壁にぶつかった僕に、たとえば宇宙人なら何を教えてくれるだろう?』が発売中。 http://www.amazon.co.jp/dp/4479772022/ 京都在住。

おじさん、みたいなもの。

だいどころのながしのした、ぼくはちょっとにがて。

だって、ちょっとくさくて、おじさんみたいなんだもん。

そうじをするときのぞうきん、ぼくはちょっとにがて。

だって、ちょっときたなくて、おじさんみたいなんだもん。

おかあさんのおこりかた、ぼくはちょっとにがて。

だって、ちくちくしていて、おじさんのひげみたいなんだもん。

ドドドドってこうじのおと、ぼくはちょっとにがて。

だって、おじさん

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番外編2 宇宙人は、愚痴をグチグチ言わなかった

「ねぇ、タカシ! タカシはなんで文句ばっかり言ってるわけ?」

 サラは珍しく声を荒げていた。少し上から目線のサラであっても、僕はこれまで怒っている姿を見たことがなかった。いや、怒っているというほどではなさそうだが、ちょっとイライラしている様子に、僕はドキリとした。



 今日は土曜日、会社は休みだ。取引先が販売店だから、いつも土日が休みとは限らない。逆に、土日がどちらも休みになるほうが珍しい

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迷人伝 その11(完結)

紀昌がヒマラヤに旅立ってから九年の年月が経過した。その間、地球が太陽の周りを九回もまわり、地球自らも三二八七回転した。移りゆく季節は再び訪れるが、人にとって同じ時間は二度と訪れることはない。

 かつての同級生たちは、各々の人生を歩んでいた。社会人として働き盛りの時期を迎えていた者もいれば、早々に結婚をしてしまった者もいる。すでに親になった者も少なくない。彼らの記憶の中では、紀昌は笑いのネタに成り

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迷人伝 その10

暖かい春の空気が東からやってきた頃、一人の奇態な青年が西から大都会にやってきた。

 東京にはじめて降り立った紀昌は、あまりものビルの多さに面食らった。紀昌の目には実際よりも一〇倍以上高くそびえ立っているように見える。ビル酔いというものがあるのかどうか知らないが、まさに紀昌は巨大なビル群に囲まれて、吐きそうなくらいの目眩に襲われたのだ。

 なんとか下宿先に到着した紀昌だったが、早くも東京に来たこ

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番外編1 宇宙人は、健康を一番大切にしていた

僕は、毎晩遅くまで仕事をし、家に帰ってもロボット工学の勉強に明け暮れた。

 受験のときにもしたことがないくらい、寝る間も惜しんで猛勉強をした。最初は意味不明だったものも、日を追うごとに理解できる箇所が増えてきた。

 僕は勉強の作戦を変更した。基礎的なことを学んだら、もう細かい知識は脇に置いて、最新のロボット事情に精通するようにした。新しい知識を学ぶことは、それだけでワクワクして楽しい。自分の成

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