おじさん、みたいなもの。

だいどころのながしのした、ぼくはちょっとにがて。

だって、ちょっとくさくて、おじさんみたいなんだもん。


そうじをするときのぞうきん、ぼくはちょっとにがて。

だって、ちょっときたなくて、おじさんみたいなんだもん。


おかあさんのおこりかた、ぼくはちょっとにがて。

だって、ちくちくしていて、おじさんのひげみたいなんだもん。


ドドドドってこうじのおと、ぼくはちょっとにがて。

だって、おじさんのこえみたいに、おおきすぎるんだもん。


がっこうのかえりみち、ぼくはあんまりすきじゃない。

だって、おじさんみたいにたいくつなんだもん。


ふつうのたまごはすきなのに、うずらのたまごはすきじゃない。

だって、おじさんのめんたまみたいなんだもん。


たまにしかあえないおじさん、まいつき、さいしょのにちようびしかあえない、おじさん……。

いつもニコニコしているおじさん、おいしいものをたべさせてくれるおじさん……。


ぼくは、おじさんがちょっとにがてだけど、たまに「いやだなぁ〜」っておもうこともあるけど、けっこうあえるのをたのしみにしているんだな、うん。


しごとおわりのビール、わたしは、とてもだいすきだ。

いちにちがおわれば、ケンタにあえるひがちかづくから。


おろしたてのやわらかいタオル、わたしは、ずっとかおをうずめていたい。

まるでケンタのほっぺのようにやわらかくてきもちいいから。


ぬいだくつしたのにおい、おもわずにおいでしまう。

あせをかいたケンタのすっぱいにおいをおもいだすから。


まいにちのまんいんでんしゃ、わたしはきらいではない。

ケンタのようなひとのぬくもりをかんじるから。


ケンタにあえるひ……。とてもたのしみだけど、ちょっとふあん。

だって、どうしたらケンタがよろこぶか、だんだんわからなくなってきたから。


おじさんは、ふくわらいをかった。

ふたりであそべるかもしれないとおもったから。


「おじさん、ありがとう」

「いやー、よろこんでくれてよかったよ」


ケンタは、「これ、あんまりいらないなぁ」とおもった。

おじさんは、「おとうさんとよんでほしいなぁ」とおもった。



おしまい。

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