蕎麦屋

「寝かせる」ことの大切さ

連載エッセイの取材に行ってきました。
写真は、たまたまお昼ごはんを食べた
山あいの蕎麦屋さんです。

入り口にでっかいキノコが!


こういう遊び心、好きだなぁ〜。

メニューを見て、とろろ蕎麦と迷ったのですが、
天ぷら蕎麦をいただきました。

実際は、写真よりも天ぷらが大きく立派で、
なかなか食べ応えがありました♪

蕎麦、大好きなんです。
毎日でも食べられるくらい(笑)


さて、この蕎麦、
食べているときは、もっともっと食べられる!
と思っていたんですけど、
食後、少し時間が経つと、
じわじわとお腹が満たされてきました。

脳の満腹中枢の反応が
時間差でやってきたんですね。

お腹のなかで蕎麦を「寝かせている」うちに、
現実の意味合いが少し変わってきたわけです。
胃の中には同じ量の蕎麦が入っていても、
寝かせたことで満腹感は変わる……。

そういえば、お酒、漬物、白身魚の刺身など、
「寝かせる」ことで味わい深くなったりして、
存在の意味合いが変わるモノは色々あります。


じつは、原稿もそうなんです。


先日のこと。
秋くらいに出す予定の長編小説を書き終えて、
ゲラのチェックをしていました。
これまでぼくが書いたことのないような、
ちょっと風変わりな小説です。

いや、ちょっと、じゃないかな(笑)

まあ、とにかく、ぼくにしては
風変わりな作品なので、
書いているときは、


こういう小説、本当にアリなのかな?
読者を置いてけぼりにしちゃわないかな?
風変わりすぎて物語が途中で破綻するんじゃ……。


などなど、いろいろな不安を抱きつつ、
重たい筆を筋力でゴリゴリと動かしていました(笑)

ところが、いざ脱稿して
紙に印刷された原稿をあらためて読んでみると……、



あれ?
おもしろいぞ♪
これならオッケーだ!




と、なったのです。
いやはや、ホッとしました。
いったい執筆中のあの不安はなんだったのでしょうネ(笑)


ほぼ毎回そうなんですけど、
物語にぐっと入り込んで執筆しているときは、
どうしても、その作品にたいして
心が熱くなってしまうし、
あれこれ考えすぎてしまいます。
いわゆる「近視眼的」になりすぎてしまうので、
なかなか俯瞰して見られないんです。

でも、その原稿をなんとか脱稿させて、
編集者にあずけ、
しばらくしてから紙に印刷された
「ゲラ」というカタチで再会してみると……、
あら不思議、、、
自分で書いたはずの文章が
新鮮なものに感じられるのです。
ある意味、読者の目線で原稿を
読むことができるわけです。

言い換えると、一定期間、原稿を「寝かせた」ことで、
作品とぼくのあいだに
新鮮な「距離感」と「関わり方」が生まれて、
結果、必死に書いているときには気づかなかった
原稿の良し悪しがクリアに見えてくるようになるんです。

おかげでゲラを読みながら、
「より良い表現」「より良い発想」
「より良い展開」「より良いキャラ作り」
と出会うこともできるようになります。

「夜中に書いたラブレター」もそれですよね(笑)
書いているときは感情があふれて、
ついつい熱っぽい手紙を書いてしまい、
それを一晩、寝かせてから読み返してみると、
赤面するほどこっぱずかしい内容になっている……
というアレです(笑)
ぼくはラブレターって書いたことがないんですけど、
夜中に書いたら、きっとそうなるんだろうな〜と思います(笑)


最近、ふと思ったのは、
人間関係も同じだなぁ、ということです。

たとえば、
毎日べったり顔を合わせなくちゃいけない人がいて、
その人にたいして、いろんな「思い」があるとします。
そんなとき、その人と少し離れて過ごす時間をつくって、
いったん関係性を「寝かせて」みると、
自分にとってのその人の「存在の意味合い」が、
新鮮な感じで見えてくることがあるんですよね。

自分の日々の暮らしにたいしても、そうです。
たとえば、海外旅行に行っているとき、
ふと、遥か遠くの地から
自分の日々の暮らしを想ったりすると、
あらためて見えてくるものがあるものです。

近くに居すぎるがゆえに見えなくなっていたものが、
時間や距離を置いてみたことでクリアに見えてくる。

自分と相手との関係性を俯瞰して見ること。

これ、すごく大事なんですよね。

たとえ俯瞰して見えてくるものが、
良い面であっても、悪い面であっても、
見えないよりはいいはずです。
良ければ、いっそう磨けばいいし、
悪かったら、修正すればいいわけですから。


ぼくは、性格的に少しばかり
「せっかちな完璧主義者」
っぽいところがあると思っています。

物事は効率よく、納得いくまで!

と考えがちなタイプなんです。
たぶん子供の頃からそうです。

そんなぼくも、大人になって、
いろんな意味で「寝かせる」ことの大切さを
知ることができたので、
人生を、、、
より「効率」よくするためにも、
より「納得」いくものにするためにも、
「寝かせる」という、一見、時間の無駄と
思えることをちゃんと取り入れようと思うようになりました。


ちなみに今日の昼間は、
寝不足だったので、自分の身体を15分だけ
「寝かせる」
ことにしたのですが、
目覚めたとき、3時間が経っていました。

寝かせすぎました!(T_T)

あれ……
蕎麦の話題から、ずいぶん離れちゃったナ(笑)
ま、いいや。

とにかく、そんな感じで、
今日もコツコツ原稿を書いております。
秋くらいに出る風変わりな新作、
楽しみにしててくださいネ!

アディオース\(^o^)/
森沢明夫

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