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野放図メイキング・LJLイラコン案だし編

ゲームLeague of Legendsの国内プロリーグ、LJLのSummer Split Finalsの会場でイラストコンテストが開催されることになりました。現地に観戦に来た皆さんの投票で入賞が決められます。今回それに応募しました。
今回は入稿用データがA2サイズのかなり大きなサイズでの提出となり普段と違うテイストの絵をかきました。また、本格的に進行させるまでに案を結構出したのでそういう「下書き以前」の状態のメイキングの話をしていこうとおもいます。

コンセプトはテーマを読んでから

とりあえず規定やルールなどサイトに描いていることをよみます。テーマについては

今回のイラストテーマは2つ!

Finals限定Tシャツのデザインに採用されたLoLのチャンピオン「ヤスオ」
LJLに出場しているチームや選手、又はそれを応援しているチャンピオン

また、その前文に

日本サーバー開設時にも配布された事もあり、日本サーバーとゆかりのあるチャンピオン、「ヤスオ」をデザインとしたLJL 2019 Summer Split Finals 限定Tシャツの販売が決定致しました!

とあります。

私はこの時点で「ヤスオ」部門に絞りました。ヤスオは何回かかいていて好きなチャンプですし、LJLの決勝にのぼるチームがまだわかってなかったのと、(直後にDFMは決まりましたが)チャンピオンの応援よりヤスオのイラストのほうが案が浮かびやすかったからです。

次にヤスオで何を描くか。
ひとつめはアイオニアのチャンプと5人チームのヤスオ。これは私が常々リーシンとカルマをアートコンテストで描くことが常になっているので私にとっては当然の流れですね。パッシブみたいなもんです。

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素案。こっちが採用になったらなったで5人の配置をこの後考えなおす感じですね。

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去年のファンアートですが、5人と言っても5人を別々の縮尺で並べてみると映画や漫画のテーマみたいですし、同じ大きさで並べると共闘感がでます。ここらへんは少年漫画がつよいかな。わたしはBLEACHが好きですね扉絵

ふたつめはTシャツのデザイン、そしてテーマに「日本サーバーとゆかりがある」ということで「日本っぽい画風」という案がひとつ。
「日本っぽい画風」で案が浮かんだのが・琳派と・浮世絵です。もともと私がなんとなーく(詳しくない)好きな分野だからたまたま知っていたみたいな感じです。あと他で好きなジャンル(戦国無双とか京極堂シリーズ)で馴染みがあったということもあります。無双は別に琳派ではないんですが安土桃山は華やかなものが流行りましたし無双1は墨をテーマにしてたんですが2は金がテーマ―カラーでビジュアルが大変華やかでした。二次創作もそちらに長けた方がいたから(リアルに金箔を膠で貼る方とか…)その派生で琳派らしいものが好きになりましたね。
あとは和柄を並べる感じのデザインも考えましたね

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こんなかんじ。ヤスオのケープ?はもともと青海波っぽい模様がえがかれており、また彼が操る風を流れる雲っぽく表現すれば和の文様感が増すのでさらに和柄をコラージュする感じでもいいかな。とおもいました。

設定を見つめなおす

最初に出した5人並べの案がただ立っている感じで静的でしたので、動的な案もだしたいな、ということで彼がどんな動きをするのかTeemo.ggで確認することにしました。言わずと知れた3Dビューワサイトです。なんせ動いているところ360度みられて止めてもみられる。
そしてヤスオをくるくるまわして気づいたことがあります。

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この人後姿の要素めっちゃかっこよくない?

いままで正面から見てたのであらためてこうみると

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めっちゃ好きポイントある

好きポイントがあるとどうなる?知らんのか?描くのがめっちゃ楽しい。好きポイントがあると自分の絵の巧拙とはまた別にウヒョーーーって描けるのであらためてくるくるみまわしてみると新たな発見もあったりお勧めです。

あとは設定ということでアイオニアの背景の中にヤスオを立たせる案ですね

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こういうやつです。私はリーシンとカルマの布教の次というかそれの副産物的なソレでユニバース(チャンピオンたちの設定や物語)およびルーンテラ(サモナーズリフトのように召喚された場所ではなくチャンピオンたちが本来生きて(死んで)いるところ)に関しても布教しているのです。
でも今回は背景が…おもいつきませんでした…ッ!
(というのもサイズがA2ということもあり実作業時間的にも辛いかなと考えたからです。上の絵を描いた経験から得た感覚でもあります)

1案から派生させる

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そしてまず後ろ姿でウルトでもりあげんとしているヤスオができあがりました。なおteemo.ggの3Dのミラー化に気づくのはちょっと遠い話です。

私にしてはなかなか改心の出来です。左右逆だけど。
というわけでこのヤスオの姿から周りをどうするかかんがえていきます。左右逆だけど。

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背景はなんとなく、なんとなく描いた流線です。なんとなく…ないか?こういうのかきたいときが。ヤスオだからこれ「風」にしてもよかったんですが、これを「琳派案」にすることにして「水」っぽい配色してみました。琳派を理解しきっているわけじゃないですがとりあえず金背景に紺を並べたいのです。なぜならヤスオは青が多い子

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そしてなにより金背景はなんか華やかでいいですね。なおこの時に左右反転してかいてみてるんですがもう左配置じゃ恰好がつかない気がどうしてもしてしまってボツになりました。あと赤い葉を散らしているのは、彼が楓にゆかりがあるチャンプだから要素に加えています。設定から要素をひっぱってこれるからユニバースはいいぞ。

あとはもうちょっとLOLぽい背景案ということで

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バロン案と(上の図と髪の毛の向きがかわってるてんで私が左右逆転の後処理に悩んでいることがよくわかりますね!)

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今度は逆にヤスオを下においてティーモを打ち上げる案ですね。これは案というよりもtwitterにのせるネタ的な意味でかきましたが。

このようにヤスオをかいてみたところで他にいろんなシチュエーション案を出せます。デジタルは幸いコピペ回転拡大縮小移動が自由ですのでいろいろ案をつくってフォルダにわけておくのもありです。この時はまだ小さいファイルサイズでいいでしょう。

最終的な案に

この案を出している時点で日にちをまたいでいるので日ごとに違う案があれば描いてみます。アップ案と(顔がかっこいいからね!)右は浮世絵、ということでイメージした正面からの図です。牛若丸が弁慶と五条橋で戦う絵があるんですけど(『義経記五条橋之図』月岡芳年)ああいう全身のおさまりかたかっこいいですからね。あとアイオニア浮かばないってここでかいてますね。

それでもって最終的なヤスオは縮められて、大きなバロンが出現したのでありました。ここにいたった理由は
・琳派案が左右逆転によりまんま波を左右反転させても違和感があった
・バロンを見下ろす案はバロンが小さく見える&俯瞰が難しい
・浮世絵と言えば妖怪。『相馬の古内裏』の髑髏のような画面を大きく占める妖怪はやっぱり迫力があっていいよね
・teemo.ggがクリーチャーにも対応してバロンも見られるようになった神アップデートが最近きた。ありがたい。バロンみたいな人外クリーチャーは自発的にかくことがないのでいい課題になりました。

案のひきだしを増やすのは…

絵を描いている方の中には「最近絵をかけてない」とか「最近ゲームばかりしてる」と、絵以外のものに夢中になっている状態に罪悪感や焦りをもったりすることもあるとおもいます。
他にもセンスのある人の絵をみてあの人はセンスがあっていいな、とおもったり。

アウトプットのためには、インプットが大事です。人と話してみると、なるほどこれを通してこの人の絵の魅力ができあがっているのかと感じることがあります。映画をいっぱい見て絵になる構図が無意識に頭に入っているとか写真をいっぱい撮ったり見たりして光の当たり方の劇的な効果をしっていたりとか。
そして別のところでのアウトプットがまた他のところで役立つということもあります。私はアパレルの専門学生でしたが、化粧を毎日すごく丁寧にやる同級生が絵は苦手だといっていたのですが、彼女のひいた眉の美しさは素晴らしく、本人は絵がかけないというものの、線を綺麗に、左右対称にかくのがとてもうまいのです。アパレルではデザイナーが描くようなファッションイラストもあるのですが、服の仕様を説明する「アイテム画」というものもあり、私は後者のほうはからきしだったので彼女を羨ましく思ったものです。

私は2014年の頃に絵が心底スランプではじめたてのMinecraftにどんどん心がうつっていったのですが、そのときにつくった建物、それをつくるために見たもの、他の建築動画、また他の人の作品、交流した人の作風すべてが刺激になって今に活きたと思います。
まず背景をかくのに「柱と壁とか窓と腰板もあればそれっぽいやろー」とか今まで見慣れてきたもので手がかりがつかめましたし描きたい建物の検索をするのもうまくなりました。そしてスクリーンショットを取るための写真の構図は絵にも活かせます。三分割とか黄金比とか日の丸構図とかいうアレです。あとは小作品でもちょっとコンセプトを決めて作りきって動画に投稿した経験がかなりつみかさなりました。・面積を小さく、斜めをとりいれる、平たい屋根にしよう…とかそういう感じですね。そういう経験があって絵を描くときも「〇〇をかこう→どんな風にかこう」とか本当にちょっとしたコンセプトを持つことで、またそれに満足したり、今後も同じく課題にしたりということができます。ちなみに近年一番取り組んでる課題はリーシンの筋肉です。だいぶたくましくかけるようになりました。
また他人様の建築作品も、というより皆さんの作風の違いがとても刺激になりました。マイクラ建築が好きといっても色づかいがとてもかわいいメルヘンな世界観ものや、ファンタジーゲームのような西洋風建築、専門用語飛び交いまくる和風建築、構造まで意識された要塞がうまかったり城や教会がうまかったりします。それぞれその創造のフィールド以外で触れてきた好きなものがちがって、それが作品にでてくるのです。あと時代柄、作品を出している人のtwitterを見てその人の作品以外の側面が見られるとそれがよく伝わります。〇〇さん好きそうだなーってものが流れてきたとおもったら〇〇さんがRTしてたとかよくあります。

だからその人の絵が好きだったら、その人が何を好きかを見るとまたなんとなくどうやってその絵の作風ができたか、なんとなく感じられるものがあるとおもいます。そして絵をかいてないときも焦らないで大丈夫です。いっぱいの好きなものに触れてください。

あと図書館おすすめです。借りてきてそこまで真剣に字までおえてるわけじゃないのですが、絵の情報だけでもいれておくだけでもとてもいいです。あとミュシャ多いんだ図書館。ミュシャみんな好きね。私はクリムトとモローの本もよくかります。
今回はバロンを妖怪画っぽく描くということで浮世絵(=美術)の資料だけだったりするのですが、私は工芸やデザインの棚の本とかも借りています。

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こういう絵に活きます。籠編みとかね。もともと戦国無双かいていたときに甲冑や武具の本が工芸にあったから同じ列の棚に置いてある棚を眺めていたらこういう本があったので、そういうスライド式で興味の幅を広げていくのも面白いです。

あと図書館は家政の棚にけっこうなレシピ本があるぞ。

あと学生用国語便覧や社会科資料集はめっちゃおググリワードの宝庫ですよね。地図の名産とかかいてあるやつもいいぞ。お若い学生の方がいらっしゃったら、ぜひいまある環境を生かしてください。楽しいものは意外とゴロゴロ転がってます。大人になってからの勉強も楽しいけどね。

おわりに

というわけでまとめると

〇公式から与えられたテーマからコンセプトを連想する
〇描くものの外見を観察して魅力を再発見したり、設定を読み直してデザインソースやシチュエーションを探る
〇1案描いてみてそこから派生していくつか案を上げる

〇絵を描いてない外の生活にこそ絵の案がある。

と言った感じでした。完成までたどりつかないメイキングです。でもここを描く人は意外と少ないのではないかと思って記事にしてみました。逆にここ以降のことは私が教えてほしいくらいです。これ以降のメイキングを描くとしたら、どちらかというと購入したてで今回のイラコンで使用したのClipStudioわいわいレビューになりそうです(笑)

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そしてイラコンは一次審査を通過し、入稿無事できていれば会場で見られます!LJL2019 Summer Split Finals、お楽しみに!!!


追記:会場の投票により最優秀賞をいただきました!!
投票してくださったみなさまにはほんと感謝がつきません。

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というわけで全景です!!そして出展作品を見渡してみるとアイオニアの風景とか金背景とか和柄とか危うくかぶるところでしたあぶねー!!バロンを俯瞰で見下ろす感じもかぶるところだったあぶねええええ!浮世絵風もベタっちゃベタだとは思うのですがうまくテーマかぶりをさけることができました。

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