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【即興詩】2024/02/02「淡い記憶」

気を抜くと
今見るには辛い夢の中で
私は微笑んで過ごしている

虫になっていようが
土に埋まっていようが
私は笑っている

なんのために
だれのために
生きているのだろう

そんなことを考えなくなってから
どのくらい経つのだろう

意味を無意味に求めたり
一瞬に永遠を求めたり
一生叶わないたらればを考えたり

そうやって僕らは
それなりの大人になる

大人になってわかったことは

淡い記憶は
「そこにあった」だけの
ものだということ

僕の頭は
それなりにナイスらしく
嫌な思い出を不鮮明に
原型を留めず
置いておけるらしい

もっとも
ついでに

素敵な思い出も
それなりに
不鮮明にするのだけれど

残ったこの感情が
単なる 淡い記憶

今もうここには存在しない
シロップほどに抽出された
甘い 淡い記憶

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