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ChatGPTに奪われた仕事

ChatGPT Proを記者/編集者の仕事で使ってみて実用的だったもの(仕事まかせちゃってるもの)を箇条書きにする。モデルは基本的にGPT-4。GPT-3.5-turboは早いけど精度が低すぎてあまり使い物にならない。ちなみにGPTはエクスキューズを付けてから箇条書きで書きたがるクセがあるので、そういう構成の記事見かけたらGPTが書いてんな〜とわかるようになると思う。この記事は手書き。

1.記事の要約

1週間のニュースをまとめるメルマガを書く仕事の大部分を奪ってくれた。(1)ニュース選び(2)要約(3)コメント付けのうち2をやってくれたおかげで作業時間は3時間から30分に激減した。誰もが言ってるように要約はすばらしい。ただカメラの発表記事などはなぜか苦手。技術翻訳のような難しさがあるのかも。

2.記事の下書き

取材メモ(箇条書き)やリリースから記事のドラフトを作る仕事を奪ってくれた。日本語を考える手間が省けてすばらしい。ただし文章のつながりが悪かったり勝手に要素を省いたりするので下書き程度。ゼロから記事を書いてもらうのは内容次第かなあ。基本は入力文を適切に処理するワード・プロセッサーですね。

3.記事の見出し付け

Yahoo!ニュースでおなじみ30字程度の見出しを付ける仕事を奪ってくれた。編集者の仕事は見出し付けだと思うほど難しくて大事な仕事なので、こんなにあっさり奪われていいのか。微妙に外すことがあるのであくまでも案出しレベルだけど、AIが付けた見出しが功を奏して非常によく読まれた記事があった。

4.記事の構成作り

製品レビュー記事の構成を作る仕事を奪ってくれた。レビューは一般的な科学実験と同じように基本構成があり実施すべきテストがある。長年やってれば構成なんて考えなくても書けるよな〜って人も多いと思うけど、構成に添って作業していくとラクだし抜け漏れがなくなるので便利。

5.記事の文章校正

ごく基本的な文章校正の仕事を奪ってくれた。誤字・脱字、ソースと照らし合わせての正誤確認、あとは表記揺れなんかも見てくれる。GPTくんは英語もできるので日本語の記事を英語ソースで校正できる。ただしソースにない事実誤認は見落とすのであくまでも下見レベル。検索プラグインが来たら精度上がるかな。

6.ちょっとした調べもの

辞書を引く仕事を奪ってくれた。ただし参考にできるのは常識的な内容に限られ、人名や社名などが入ると途端にダメになる。マシなのがGPT-4で、GPT-3.5-turboは何を聞いても幻覚だらけで全然ダメ。

あとChatGPTじゃないけどAIを使った文字起こしや自動翻訳はなくてはならないものになった。とある外資系の発表会で海外スタッフが話しているとき、通訳さんの同時通訳を聞くよりも、手元のPixelで文字起こしをしてDeepLにかけた方が正確なニュアンスがわかって衝撃を受けたこともあった。

ダメだったやつ

ここからは試したけどダメだったやつ。

1.インタビュー記事の編集

「インタビュー」というところから勝手に想像して文章を作ってしまう。そもそもインタビューは2万字とかなので送信可能なトークン数に分割して送信しなければならずChatGPTのUIに合っていない。ちなみに知人の編集者(超優秀)は入力文を自動分割してGPTのAPIを実行できるWebアプリを作っている。

2.記事のアイデア出し

ほぼ退屈なアイデアしか出てこない。ネーミングもダメ。理研の量子コンピューターの愛称を作ったら「サクラ・クオンタム」「ニンジャ・クオーク」だって。なめとんのか。GPTを道徳的アライメントテストにかけたら「秩序にして善」っていう結果だったので、優等生的な性格の悪いところが出ている気もする。

3.インタビューの想定質問作り

それっぽい質問を作ることはできても記事の流れが想定されていないので使い物にならない。逆に、記事の構成作りと同じで、自分がテーマを与えられて講演をするときの流れを考えてもらうのは便利そう。

ChatGPTは仕事を奪うのか

同じ時間で書ける記事の本数が増えるので、ChatGPTを使う人がChatGPTを使わない人の仕事を奪うことになりそう。大手メディアはまだわからないけど、コンサルや代理店が企業のオウンドメディア運営とかに使っているクラウドソーシングライター業は更に壮絶な価格競争になりそう(0.1円/字、1000字で100円とか?)。労働者保護のために最低賃金を設定しないと危ない。

あと、今は記者/編集者の仕事じゃないかもしれないけど、GPTに助けてもらえば基本的なコーディングやデータ解析もできるようになり、本当に様々な分野の勉強ができる(Python始めました)。英会話やプログラミング教育などリスキリングと呼ばれるものはすべてGPTを入り口にしたほうがいいんじゃないか。月3000円以下で受けられる個別指導サービスとしては最強に近い気がする。

ChatGPTはなんでも相談できるし、やりたいことがみんなかなえられるんじゃないかという気持ちにさせてくれるドラえもんみたいなAIだ。コンピューターが人間に力を与えるってこういうことなんじゃないか(逆に言えば、AIが悪用されたり、AIがバグって暴走しないようにしないと危ないってことでもあるけど)。今の仕事が奪われるというより、もっと根本的な変化が起きそうな気もする。

トップイメージ : Unsplash | D koi


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