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ブランドとしてのユニクロと無印

ユニクロと無印よく着るんですけど全然違う方向に変化していて面白いですよね。どっちも十余年前から続けてきた高級ラインが通常ラインに降りてきている。

ユニクロは高級ブランドのデザイナーをゲストに呼んできた。2009年のジル・サンダーあたりから始まり、アンダーカバー、イネス・ド・ラ・フレサンジュ、クリストフ・ルメール、J.W.アンダーソン、今年はエンジニアドガーメンツとビッグネームとのコラボを続けてきた。中でもデカくて分厚いシャツがよく売れたUNIQLO Uはユニクロ定番ラインになった(といっても定着したのは普通の分厚いシャツだけど)。なんだかんだトレンドのデザインのお洋服が3000〜4000円くらいの安値で買えるのは素直にすごい。アパレルはいま高値でも安値でもない「普通の値段」の服が売れないとグチを聞いたことがあるけどユニクロも大いに一端を担っていそうだ。

一方、無印もモードを普段着として平然と売るような変態ブランドになってきた。2005年に始まったMUJI LABOは2012年にマーガレットハウエルを展開するアングローバルとコラボレーション、2016年からはN. HOOLYWOODの尾花大輔氏、タロウ ホリウチの堀内太郎氏をデザイナーに招いてラインアップをつくってきた。今期はすべてのアイテムをユニセックス化するなど攻めた服づくりを続けている。最近は両氏の影響が通常ラインにもおよんでいるのか、シンプルなモード系の服、化学繊維を使った機能系の服もしれっと出してきた。ただ替えのシャツを買いに来ただけのおじさんが知らないうちにモード系になっていくと考えると楽しいけど、世界規模でそんなことをしていると考えるとすさまじいものがある。

ユニクロは「暮らしの手帖」松浦弥太郎元編集長、「POPEYE」木下孝浩元編集長にオウンドメディアを作らせるなど既存のブランドという枠組みの中でユニクロをブランド化しているように見える。対する無印はどちらかというと左寄りの思想を服や小屋のような製品として売っているようで、ブランドとしてははるかに過激なことをやっているように見える。そんなふうに思想や狙いが違っているからか、ユニクロの服に無印の服を合わせようとしてもうまく合わないんですねこれが……

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