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ベテランガイドさんたちのプロフェッショナリズム

今回の1週間のトレーニング、何が1番の学びだったかというと、まさにこれに尽きる。10年、30年、40年選手の大先輩がたの、圧倒的なまでのプロフェッショナリズム。もう、しびれました。

自分の身に落とし込むためにも、言語化しておこうかと。

1. その瞬間、その場で、1番お客さんが望んでいることは何か?を徹底的に想像して、自分の言動を選ぶ

まずはなんといってもこれ。

トレーニングの一貫として、ツアーの冒頭で行うお客さんたちとのブリーフィングで、カバーすべき内容と自己紹介をプレゼンする場があった。

20名近いトレーニーのプレゼンを聞き終わったあとの、先輩の最初のひとこと→「長い」。

「想像してみて。お客さんはアメリカの自宅から20時間近い長い道のりを経て、今ここにいる。自宅から空港へ行って、チェックインして、フライトに乗って、もしかしたら乗り継ぎもあって、日本の空港に降り立って、そこからホテルまで来て。ご高齢の方が多いからそれだけでもたいへんなこと。昨晩も、よく眠れなくて、つかれがとれていなくて。でも、これから始まる旅のことで興奮していて、一刻も早く東京の街を見に行きたいと思っている。そんなときに、このブリーフィングをやるんです。その場で、まずお客さんに伝えるべきことは何なのか、考えてみて」

相手の立場に身を置いてものを考える。まさに、言うは易し、行うは難しで、本当に本当に難しいこと。それでも、できるかぎり想像して、自分の言動を決める。どの瞬間でも、それを行う。

2. ツアーを支えるベンダーさんたちとの協力関係

ひとつのツアーを成り立たせるためには、膨大な数のひとが関わっている。ツアーそのものが始まる前にも、ツアーを企画し、ホテルや訪問先と調整し、広告を作り、営業して、というプロセスを経て、ようやくお客さんにツアーを買っていただける。

ツアーの最中だって、ホテル、レストラン、宅配業者、バス、交通機関、観光地など、ツアーに関わるあらゆる場所で、そこのスタッフ、担当者のひとたちが、ツアーを支えてくれている。

もちろん、全員が全員、感じがよくて協力的なひとたちばかりではない。でも、彼らにいい仕事をしてもらって初めて、お客さんにとって快適な空間が整えられる。

なので、すこしでも彼らに気持ちよく、効率よく仕事をしてもらうため、できることはこちらもすべてやる。

先輩方は、みなベンダーさんたちに、ものすご〜く感じがよく、とてもいい関係性を築いている。この、プロ同士の信頼関係って、側から見ていて、もうなんともいえず、格好いい!プロがプロとして、お互いに敬意を抱きながら、するべき仕事をきちんとやる。しびれる。。。

3. TLはディレクターであり、役者であり、ストーリーテラーでもある、クリエイティブな仕事

今年の1〜2月にベトナムツアーに同行して、ベトナムのトップTL(ツアーリーダー)のパフォーマンスを見たとき、ガイドって、大きなストーリーを演出する映画のディレクターみたいだな、と感じた。

初ツアーにタイのトップTLが同行し、アドバイスをもらった同期は、そのTLが「TLは役者のようなもの。シーンに応じて、その場にふさわしい役割を演じるんだ」と話していたと、教えてくれた。

今回のトレーニングでトレーナーとしてついてくれた40年選手の大先輩は、「観光地ひとつひとつを個別にばらばらに説明するんじゃなくて、それぞれをつなげて、1日でひとつのストーリーになるように、組み立てるんです」とガイディングのこつを伝授してくれた。

前は、クリエイティブというのは、アーティストとか、デザイナーとか、一部の特殊な職業に就くひとのみが身につけている特別なものだと思い込んでいたけれども、一流のプロであれば、どんな仕事であっても、クリエイティブな要素が入っているものなんだと、最近は痛感している。

4. ときには戦う

お客さんに、ベンダーさんに、エージェントにと、常に四方八方に気を使うのがガイドの仕事でもあるのだけれど、譲ってはいけない一戦というのも、当然ある。

そのときは、あくまでお客さんが快適に、安全に、旅を楽しむため、ということを第1の目標に置きつつも、ときにはガイドは戦わなくてはいけないこともある。

詳細は書けないけれど、10年選手の大先輩が教えてくれた、あるお客さんとの戦い?(もちろん、先輩の勝ち!)のエピソードがもう痛快だった!格好よすぎる!

でもここで大事なのは、どこまでが言えるラインかを、しっかりと見極めること。そのためには、それまでに十分な信頼関係を築いておくこと。

まだまだ沢山学んできたのだけれども、ちょっとずつ整理しながら、言語化していきたいと思います。

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