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わたしたちが「まちやど」に泊まる理由

久しぶりの更新になってしまいました。皆さんお元気ですか。あっという間に今年も春を迎えてしましましたが、2月の末、冬の真っ盛りの時期に、わたしは友人のカナエさんと富山は氷見を訪れました。

カナエさんとはもうかれこれ3年ほどの付き合いになります。出会ったきっかけはTwitterでした。始めたばかりのTwitterのタイムラインに、同い年の彼女の書く文章が流れてきて、とても価値観が近いと感じ、いきなり飲みに誘いました。その翌月には旅行に誘って彼女を驚かせてしまいましたが、そこから毎年必ず冬に、二人で旅行をするというのが定番になっています。

彼女はとてもセンスが良く、旅行先のプレゼンテーションも完璧なんです。旅キュレーターとでもいうんでしょうかね。とにかくいつも絶妙な旅行先を提案してくれます。

そんな彼女の特徴ともいうべき、旅先の選び方。それは「宿」から選ぶ旅の仕方なんです。しかも温泉がばっちり完備された疲れの癒せる旅館でもなければ、設備の整った高級ホテルでもありません。彼女はきまって、「まちやど」と呼ばれるような、小さくて、でもとても内装がおしゃれで、あたたかな人が運営している、そんな宿を選びます。わたしも彼女に出会うまで、旅行は旅先の「観光地」や「美味しい食べ物」で選ぶことが多かったのですが、すっかり「まちやど」の魅力にはまってしまい、今ではその旅スタイルを真似るようになりました。

「まちやど」と聞いて、はて、と思う方もいるでしょう。まちやど、とは以下のように定義されています。

「まちやど」とは、まちを一つの宿と見立て、宿泊施設と地域の日常をネットワークさせ、まちぐるみで宿泊客をもてなすことで地域価値を向上していく事業である。(日本まちやど協会HPより)

協会の加盟有無にかかわらず、わたしがこれまで行った「まちやど」は、こんな感じ。

・新潟『なり
・長野『栞日 INN』-アパルトメント形式の小さなホテル-
・京都『MAGASINN KYOTO』/『KYOTO ART HOSTEL Kumagusuku
・神奈川『真鶴出版』-泊まれる出版社-/『aiaoi』-鎌倉の小さなホテル-
・富山『HOUSEHOLD』-まちと料理を楽しむための海辺の小さな宿-
・東京『hanare

……この名前を挙げているだけでも、場所の雰囲気、空気、施設、オーナー、食べたご飯、街の人、街の様子、そのすべてをありありと思いだすことができるのです。それこそが「まちやど」に泊まる最大の理由であり、そして新しい旅のスタイルなのだと思います。

さて、まちやどの特徴をあげていきますね。

①チェックインに時間をかける

ひとつに、チェックインにめちゃくちゃ時間をかける、ということがあげられると思います。下手したら宿に到着してから1時間近く宿の方とおしゃべりに花を咲かせてしまうことも。どこの宿も、地図などを用意してくださっていて、この街はどういう街か、どんな人が住んでいるのか、最近できたお店から、今晩行ったほうがいい美味しい料理やお酒が楽しめるお店、地元の人が集う場所、きれいな景色が見られる場所、などなど……。地元の人だからこそわかるおすすめスポットを教えてくださいます。

ときにはお互いのパーソナルな話もなるし、これまで泊まりに来た人の話も聞くことができる。このチェックインタイムが、じっくりお互いを知ることのできる時間でもあるのです。

先日の富山の氷見『HOUSEHOLD』さんに泊まった時には、同じ日に泊まり合わせたほかのお客様と、オーナー夫妻と一緒に地元で有名なお寿司屋さんに行って皆で食事をしました。こういう一期一会の出会いがあるのも、まちやどのいいところ。

②本当に行くべき場所を教えてもらえる

先に挙げたことと重複しますが、美味しい料理やお酒のお店、観光スポットを教えてもらえることも、まちやど巡りの魅力です。

ガイドブックにももしかしたら載っているのかもしれない(そもそもこれらのまちやどが載っているエリアって、ガイドブックなども出てこないかも)。そうなると、Webのメディアを頼りにせざるを得ないのですが、それだと味気ないんですよね。そもそも本当に美味しいかわからない人が書いたものはあてにならないし。

その点まちやどでは、おすすめのお店をひとつずつ、丁寧に教えてくれます。1日では巡りきれないほどにいろいろと。そして教えてくださるお店でそのまちやどの名前を出せば、たいていお店の方も、お客様もとても喜んでくださります。いろいろとサービスをしてくださったり、これまた隣に居合わせたお客様と『あ、あそこに泊まっているの?うれしいねえ、わざわざそんな遠くから来てくれて…』なんていって世間話が始まったりします。

真鶴出版さんに泊まった際には、地元の方が夜な夜な集う角打ちのお店に連れて行っていただきました。この場をきっかけに、真鶴に移住を決心した方もいたそう。こういう、誰もが入れて誰もが楽しめる場所があると、まったく人間関係のない場所に引っ越してきたときも安心だろうなぁと感じます。

③その街の「当たり前の日常」を知ることができる

最後に、まちやどの最大の魅力。それは、「その街を知ることができる」ということでしょうか。たった1日来ただけで何を知れるんだ! と怒られてしまいそうですが、少なくともわたしにとって、その街は特別な場所になるんです。

地元の人が本当に通っているお店で食事をして、歩いて空気を感じ、行く先々で働く人たちと会話をする。決して大多数の方が喜ぶような立派な観光スポットはないけれど、その街に確かにある「当たり前の日常」を感じることができるのです。それってすっごく贅沢な旅の仕方だと思うのはわたしだけでしょうか。

こうしてまちやどの魅力を書き出してみようと思ったのも、一緒に住んでいる彼が、旅から帰ってきたわたしに一言。「またおしゃれな宿泊まりに行ってきたの?何が楽しいの?」みたいなことを言ってきたからでした(笑)。決して彼を責めるつもりはないのですが、「ああ、知らない人から見ると、そうやって見えてしまうんだ」と反省したわけです。この魅力を、ぜひもっと多くの方に知っていただきたい、と。

普通の旅行に飽きてしまった方、旅先での偶然の人との出会いが好きな方。どんな人でもいいと思います。まずは自分の感覚に近い、と思えるまちやどを探して訪れてみませんか。宿から探す旅は、きっと一生記憶に残るものなるはずです。

わたしもまだまだ行きたいところが全国にたくさんあります。これからもまちやど巡り、続けていきますよ。

日本まちやど協会
http://machiyado.jp/

大好きなカナエさんの旅記録。おすすめです。
https://note.mu/kanam/m/m8d116e8999c0

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ホステルやゲストハウスなどの「地域コミュニティ」を創っている方々に会いに行って、勉強させてもらい、タバタバーに持ち帰ります!