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腰越は、当たり前の生活に戻れる場所。

朝早く起きて、夜は早く寝る。
食事は一人じゃなくて、みんなで食べる。
誰かが来たらお茶を淹れて、帰るときに「またね」と見送る。
夕日を見て1日を終え、朝日を見て1日が始まる。

そんな当たり前の生活を、もうどれだけしていないだろう?

東京に出てきてもう8年。都内であればだいたい路線検索アプリを使わなくても目的地の最寄駅にたどり着けるようになったし、渋谷や新宿、東京駅の構内は、もう地図を見なくても大体の位置関係はわかるようになった。

東京になじんできたわたしも、今回仕事をするまでまったく聞いたことがない街があった。(そりゃあるだろうけれど)

それが「腰越」だった。

そもそも、腰越という街をみなさんご存知だろうか。

漢字だけ見ただけでは、「こしこし」と読んでしまう方も多いのだとか。正しくは「こしごえ」。
江ノ電の沿線の中でも一際小さな駅で、両脇に「江ノ島」と「鎌倉高校前」という観光名所に挟まれ、これまであまり注目されてこなかった街だ。

わたしの勝手な推察では、鎌倉駅から8駅、反対の藤沢駅からは6駅と、腰越はちょうど中間地点。
腰越にたどり着くまでに誰もが名前を聞いたことのある駅が目白押しだから、派手なPRもしていない腰越は、あまり目的地になり得ない駅なのだと思う。

そんな腰越駅に昨年10月、わたしたちが運営するWebマガジン「haletto(ハレット)」で、小さな宿を開業した。名前は「haletto house」。

「新しい街との出会いのきっかけをつたえる」をメディアコンセプトにしているわたしたちが、「街をもっとよく知るには『泊まる』という行動が大事なんじゃないか?」と仮説をたて、実験的にはじめた宿だ。

この場所で、「#腰越ノマド合宿」と題して、「仕事をしながら、健康的な生活を送る」をミッションとし、Twitterで出会ったヨーコさんと一緒に、共同生活を2泊3日で行った。

集合は午後3時。先に着いた私が、その日一緒に生活をしてくれることになっていたhalettoライターのトモイさんとゆいかさんを迎え、まずは自己紹介がてらヨーコさんが持ってきてくれたお土産を食べながら、お茶を楽しむ。

16時ころにはおのおのが仕事を携え、室内のいたるところで仕事をこなしていく。わたしは2階にあるデスクを占領させてもらい、たまった仕事をちゃきちゃき片付けていった。2階の部屋は窓を開けると、海からの風がよく通って、本当に気持ちが良い。

(photo by ヨーコさん)

途中でゆいかさんが「これよかったら」と言ってコーヒーを持ってきてくれて、なんだかみんなでサポートしながら仕事をしている感じで、ものすごくうれしかった。

夜は腰越駅前にある鉄板焼きのお店「Nagi」へ。haletto houseからは徒歩1分。すぐにおいしいご飯にありつけてみんなで仕事の話をして盛り上がった。

(photo by ヨーコさん)

そのあとは腰越から3駅離れた稲村ガ崎駅のそばにある「稲村ガ崎温泉」へ。夜遅かったので海は真っ暗で見えなかったけれど、普段はオーシャンビューで温泉が楽しめる。朝か昼だったらもっと綺麗だったんだろうなぁ。

でも露天風呂の天井は真四角に切り取られていて、まるでタレルの部屋みたいだった。星がとても綺麗で、風がとても心地よかった。

部屋に戻って少し談笑したら、健康意識高めのヨーコさんから、23時には消灯! と厳しいお達しが。みんなで布団をひいて仲良く4人並んで寝た。

翌朝は朝6時には起きて、haletto houseから徒歩3分程度の場所にある腰越海岸へ。なんといっても朝日を見るために、早起きをがんばった。早起きをして見る朝日は格別で、誰も一言も会話をせずに、じっと、朝日を見つめていた。

戻ってすぐに朝ごはん。これもヨーコさんがもってきてくれたたくさんのパンを、バルミューダのトースターで焼いて、前日にスーパーで買っておいた卵やベーコンを炒めていただいた。9時にはまたそれぞれが、部屋の中で自分の場所を見つけて仕事を開始する・・・。

ときにヨーコさんの友人が遊びに来てくれたりしながら、新しい出会いとおいしい腰越の料理と、それから朝日と夕日を楽しみ、2泊3日を過ごした。

ヨーコさんはそのまま残って、あと3日間をhaletto houseで過ごすことになっていたので、先に東京へ帰るわたしは、最後は本当に泣きそうになるくらい、ヨーコさんとの時間をとても愛おしく感じた。

腰越には、コンビニがない。
haletto houseには、テレビがない。

でも、その分、東京では絶対に得ることができないものが、たくさんある。

それは、広い広い空だったり、目がまぶしくて開けていられないほどの太陽の光だったり、獲れたてのふっかふかのアジフライだったり。

わたしたちは飽きもせずに、毎日ほぼ同じようにその行動を繰り返して、そして眠りについた。

とても静かな街なので、仕事もよくはかどった気もする。

こうした「当たり前」の生活を、わたしはなんだかすごく求めていたような気がする。今の都内の生活が決して満足していないわけではないけれど、でも100%ではなくなってきたような気がしていて、いますごくむずむずしている。

もしかしたら、自分の好きな街へ、自分が心から心地よいと思える場所へ、引っ越すときがきたのかもしれない。

控えめにいって、腰越は本当に魅力的な街です。
ただ、「不便さ」を愛せる人でないと、ここでの生活は苦しいかもしれません。

最後に、今回多大なるご協力をいただいた、ヨーコさん、まっくすさん、トモイさん、ゆいかさん、そしてたくさんの遊びに来てくださったみなさまに、心からの感謝を。

もしご興味がある方は、ぜひご連絡ください。「#腰越ノマド合宿」を、あなたも会社の仲間や友人としませんか? 

haletto houseの詳細はこちら

ホステルやゲストハウスなどの「地域コミュニティ」を創っている方々に会いに行って、勉強させてもらい、タバタバーに持ち帰ります!