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2022.03.09 賞レースに圧倒的なまでの名を刻む

吉住さん、R-1グランプリ準優勝おめでとうございます。面白かったです。


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R-1グランプリを見た。ファイナルステージは2人ともラストイヤーの芸人で、特にZAZYさんが凄かった。ファーストステージからいつも以上に奇抜なピンクの衣装にでかい羽、その上肩に銃を沢山装着し、ド派手な姿だった。

デジタル紙芝居で怒涛のボケの畳みかけ、そして中島みゆきさんの「ファイト!」を歌って圧倒的なインパクトだった。ファイナルステージでは鋭角六角・鈍角六角とか黄目とかも加えてZAZYの真骨頂が出たと感じた。

この時点で既にめちゃくちゃ笑ったのに、最後に小田和正さんの「言葉にできない」に乗せて自分の過去の写真をめくり、普通の少年から金髪ロン毛でテカテカフワフワのピンクの衣装に身を包んだ変人になっていく過程を見せていた。

これが笑いもあったし、なぜか感動さえあった。俺はラストイヤーのZAZYさんが、ファイナルステージまで進んで、このR-1の舞台に圧倒的なまでの「ZAZY」という生き様を残したなと思った。

今までのネタの集大成、そしてこれまでの人生を全部ネタにするその姿に、ある種の感動さえあった。惜しくも1票差で準優勝となったけど、ZAZYさんは見る人の記憶に残るネタをしていたと思う。

これと同じケースがかつてM-1にもあって、ジャルジャルが2018年のM-1ラストイヤーでファイナルステージに進んでいた。その時に集大成として選んだネタが「ジャルジャルでーす!」という挨拶をただただ2人で奪い合うものだった。

15年間の最後の最後に自らのコンビ名を延々と叫び続けるネタも、どこか感動さえあった。「ジャルジャル」という名を残したなと思った。


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芸歴制限があればこのようにラストイヤーの特別感が出るし、その制限が撤廃されれば街裏ぴんくさんのように20年も自分の漫談を信じ続けたベテラン芸人が優勝する。

芸歴を制限したり撤廃したりとR-1が迷走しているという見方もできるが、その年によって異なる姿、また違った面白みを届けてくれるという点では、こういう紆余曲折ある賞レースが1つくらいあってもいいのではないかという気がしてくる。

急に閉め出されたベテラン芸人の血の気の引く姿、ベテラン芸人がいなくなったがために決勝に行けた若手芸人、R-1に出れないのに新ネタを作り続けるベテラン芸人、サツマカワRPGさんの懇願、久しぶりにR-1に舞い戻ったベテラン芸人、ベテラン芸人が押し寄せてきたのにそれでも決勝進出する若手芸人、井口の大ディスリ、それに対する公式側のカウンター、そして準決勝であっけなく敗退する井口、こたけ正義感の宣伝カー…。

ずっと追えばいいじゃん、その年によって色んな流れがあるんだから。喚くベテラン裸芸人が優勝する年もあれば、盲目の漫談家が優勝する年もある。だいたひかるさんが優勝する時だってある。何が起こるか分かんないから、毎回ワクワクすればいいじゃん。