Facebook の Android - Misread Footnotes .03

Misreading Chat, 今週は向井が Android で ML をする辛さについて森田が論文の書き方についての論文を読みました。

森田はもともと Mobile GPU に関する論文を探して読むつもりでしたが、NVIDIA などから出ている情報量に比べ Qualcomm や ARM からの情報開示の少なさは想像を超えており、意味のある読み物を見つけることができず挫折しました。ただ今週の向井の話を聞くと少し腑に落ちます。スマホの GPU, まだ独自の世界を切り開くには至っていないのかもしれません。

そんな中でも "Qualcomm Snapdragon Mobile Platform OpenCL General Programming and Optimization" は彼らのAdreno GPU のアーキテクチャを軽く説明しているので、理解の助けにはなるでしょう。論文としては Samsung によるモバイルレイトレチップの FPGA 試作 "SGRT: A Mobile GPU Architecture for Real-Time Ray Tracing" はおもしろそうではあります。しかし森田が読みたいのはこういう未来の話ではなく、Snapdragon に入ってる GPU の詳しい解説。Qualcomm のひとは論文書いて! 論文がないと新規性がないんじゃないかと疑っちゃうよ?  (ひどい言いがかり。) この件について良い資料をご存知の方はお知らせください。

Android @ Facebook

Facebook は Android についても精力的にオープンソースプロジェクトを小公開しています。中でも彼らの Android 力を感じたのが observability ライブラリの Profilo です。

これはアプリケーションレベルのトレースを収集分析するためのフレームワークですが、特に JNI のレイヤで細々とした興味深い小細工が使われています。たとえば plthook というライブラリで実行時に shared library の ELF を読んで write() をフックし、Systrace に書き込まれるデータを横取りする仕組みがあります。この過剰ながんばりには実力を感じずにおれません。

リンク紹介

"今週のコンピュータサイエンス研究 140字での論文解説" という記事を note に連載されている方がいました。専門家すごい!

自分がいうのなんですが、やはり論文はある程度専門の人が説明している方が的を射ておりいいですねえ。しかし Misreading Chat も山を賑わす枯れ木としてやっていきたい所存。

以前どこかで紹介した論文紹介 Youtube チャンネルもついでにリンクしておきますね。

つぎ。Android Studio のベースとなっている IDE IntelliJ の開発元 JetBrains にリサーチ部門があることをニュースで知りました。

Bioinformatics, Robotics, Neural tissue activity modeling などまったく本業と関係ない研究をしているあたり、研究所というかんじ。しかし個人的にはむしろ本業と関係ある研究の論文があったら読みたいころです。(ちょっとありました。Detecting anomalies in Kotlin code とかちょっと気になるかも。)

あとは本編中で紹介した Kent Beck の blog もリンクしときますね。まあ Kent Beck ファン以外は特に読まなくていいと思います。

お手紙紹介

Tweets がお手紙なのかはさておき・・・

Learning Chaos Engineering に限らず、O'Reilly は microservices 周辺に表紙のスタイルを刷新した書籍シリーズを精力的に投入してきてます。復権なるでしょうか。

Reality Engine は若干おっさんホイホイでした。自分は世代的にはホイホイされていいはずですが、CG やゲーム業界とは縁遠かったせいか実物にはお目にかかったことがありません。(なお森田は一瞬 SGI Japan という Sillicon Graphics の元子会社に在籍していたことがありますが、なぜか Java でウェブアプリを書かされていました。わけがわからない。Reality Engine 後継の Infinite Reality というやつは一度だけ名前を耳にしました。)

 いま CG に入門したい人はどうしたらいいんでしょうね。個人的には Unity でもやればいいのでは・・・みたいな雑で無責任なアイデアしかありませんでしたが、そういう話ではない気がする。「床井研究室」はこれでしょうか。大学の先生がブログの上に OpenGL の入門講座などを書いておられるようです。

森田はある時期まで Real Time Rendering という書籍(ウェブサイト)をおすすめしていましたが、版を重ねた果てに最新の四版では 1200 ページの大著になってしまったため、気軽に勧められなくなってしまいました。初版は 500 ページくらいだったのじゃよ・・・。一方で別の本にすればいいのにと思っていましたが衝突判定の話は、リアルタイムレイトレの時代になり重要度があがってしまいました。むずかしい。

今調べたら最新四版の日本語訳が9月に出るみたいですね。

原書四版は Amazon レビューのスコアが異常に低く気になるかもしれませんが、これはすべて紙質に関する苦情でした。日本語版はアホみたいに値段が高いところを見ると心配ないことでしょう。日本の技術書の紙質は本当にすばらしい。我々が花粉症と引き換えに手に入れたのはこれだったのか!なお著者によると原書も二刷以降はマシになっているそうです。

などとさりげなくアフィリンクを忍ばせたところでまた来週。

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