石動山ミステリー

私は2009年に石川県の能登半島に移住し、2010年から中能登町にある修験霊山 石動山(国指定史跡)で、歴史ボランティア「いするぎ夢案内」のガイドを務めています。石動山は神秘的な山ですが、とりわけ興味を抱いたのが、古事記にでてくるホムツワケの神話とのつながりでした。

石動山とホムツワケ

ホムツワケは、垂仁天皇の第一皇子でしたが、唖(おし)だったため皇位継承外で、晩年は石動山に従者とともに入山し、住まわれたという伝説がこの地に伝わっています。ホムツワケを祀っているのが、誉津石権現(よついしごんげん)です。

ホムツワケが入山したのが史実かどうかはわかりませんが、大和政権から派遣された、誉津部(ホムツベ)という職能集団が、この地にやってきて、住み着いた可能性はあるかもしれません。

謎の誉津部

それでは、誉津部とは、何をする人たちでしょうか。

古事記からは、白鳥と関係がある職種ということしかわかりません。白鳥は毎年、中能登町の金丸地区に渡ってきます。これは二千年以上前から、変わらない光景なのでしょう。

大和政権にとって、白鳥の飛来地は非常に重要な意味をもっていました。それにかかわる専門知識を持つ者が、誉津部だったのではないかと推測しています。

古代、能登半島を二分するように、邑知潟という湖沼が東西を貫き、海まで水路交通が可能でした。七尾には天然の良港があり、誉津部の目にかなう土地と映ったことでしょう。

四道将軍

崇神天皇の時代、大彦命(おおびこ)が北陸へ将軍として派遣されたという記載が、日本書記にあります。この時代は騎兵は使用されていないので、大和から歩兵での遠征は困難だったろうと思われます。

遠征には莫大な戦費がかかり、能登のように力のある大豪族が統治しているクニを落とすことは、容易ではありません。

当時、大和政権はどこに遠征するか、どのように決めていたのでしょうか。豊葦原瑞穂国という名が、古代日本の美称です。豊かに葦が生い茂り、稲作に適した湿原。こうした理想の土地を教えてくれるのが白鳥です。

白鳥を追い求めながら勢力を拡大したことを、物語風に口承したのが、記紀の白鳥伝説ではないかと思われます。

まず、鳥取部・鳥飼部(ととりべ・とりかいべ)に白鳥の飛来地の調査をさせ、次に誉津部(ほむつべ)を派遣して、飛来地周辺の地形・地質調査をさせる。そして、条件に適った土地に将軍を派遣した。

物量でねじふせられるほどの大軍を送りこむのは不可能に近いので、軍隊というよりはテロリスト部隊を地方に送り、暗殺やかく乱で地方政権を転覆させたのではないかと思います。

ヤマトタケルが女装して、九州のクマソタケルを暗殺した逸話は、まさに色欲がらみで暗殺するテロのやり方ですね。

中能登町の暗号

中能登町は2005年に、鹿島町、鳥屋町、鹿西町が合併して、新設された自治体です。この三町の名に、奇妙な暗号があることに気づきました。

表を作ってみると、「白い鳥、山隠せ(しろいとり、やまかくせ)」という秘文が出てきます。「いしやま」という言葉もみえます。中能登町に「石」がつく山は、石動山しかありません。石動山と白鳥のつながりを暗示するような文。これは偶然でしょうか。

白い鳥のゆくえ

中能登町には、雨の宮古墳という巨大な墳墓(国指定史跡)があり、大和政権に征服されるまで、大きな権勢をふるった豪族が存在したことを今に伝えています。

しかし、敗者の歴史は徹底的に抹消され、埋葬者が誰なのかを知る手がかりも残されていません。能登王は大彦命の手にかかって亡き者にされ、越の政権は瓦解した。

敗者の無念は、あの世に渡ることを拒み、荒ぶる神となって石動山にとどまった。そのような気配を感じることがあります。

四つの石の謎

石動山にまつわる謎を解くキーワードは、「」です。

一つめの石は、「動字石」といわれる、石動山古縁起の要の石です。


そして二つめの石は、「イワシが池」です。

四つめの石は文字通り、「誉津石(よついし)」です。

それでは、三つめの石はどこにあるかというと、これが秘文「白い鳥、山隠せ」に示された場所。能登の繁栄をささえていた秘宝のありかです。誉津部に知られてしまったために、能登王は滅ぼされ、豊かな財源を根こそぎ奪われることとなったといっても、過言ではなかろうかと思います。

そこは道なき道をかきわけていくような、けわしい場所にあるので、ご案内はしていません。

さいごに

昨年は、有史以来、ほぼ関係者以外は見ることができなかった、石動山の秘仏「五社権現像」の一般公開がなされました。たった一日だけの公開でしたが、たくさんの方が参詣に来られ、御縁を喜んでいただきました。

朽ちていこうとしている文化遺産を守るため、石動山に一人でも多くの方に御縁をいただけるよう、今年も企画をたてていきたいと思っておりますので、みなさまのご協力をよろしくお願い申し上げます。

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ありが㌧(^ω^)
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夢のと悠庵

謎解き日本史

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