余裕のない40代

ヤッホー。

マジで元気のない三十路が、パワーを貰ったんだ
余裕のない40代。このエピソードを書いてやろうと思った私は
余裕のある30代にならねばならぬとアイスクリームのスーパーカップを棚に戻し
ハーゲンダッツを手に取ってレジに進んだ時の私の背中に
羽が生えていたような。そんな自分を俯瞰した時にこそ書いてやろうと思ったのがきっかけ。

じゃぁせっかちな私は、前置きなんかせずさっさと語っちゃうわな。

その日は相当疲れてた
心の踏ん切りのついてない誕生日の前に行った先輩のバー。

今年で2周年やねん!1周年の時、来てくれてありがとう!!

いつも元気いっぱいな先輩を見てたら
昔、私がまだ何もなくてただ単に飲み歩いていた頃から
ず~っと可愛がってくれた本当に優しい先輩!来年私は金がないかもしれん、でも今年に今に持ち合わせが有るのならば恩返しをしないといけないんじゃないか。いっぱいいっぱいライブ連れていってくれたんやもん🔥

今や!!!!と、シャンパンを下ろした🥂

日頃の疲れもあったけど、先輩にこれからどんどんいろんなことを相談していかせてもらおう。なんとか生きないといけないんだ。頑張るぞ🔥って気合の入った時間だった。先輩に会いに来てたもう1人の女性と3人で乾杯した。

次にお客がやって来たのは、シャンパンを開けてからそう時間も経ってないうちに

2人組でやけに紳士な男性!
1人の帽子が、H◯dey?英語の文字が書いているように見えたのがきっかけでその人の事をずっと見つめてた。
バケットハットの似合う、すらっとしたイケメンがカウンターの端っこに座っている。

めっちゃ気になる。あの帽子めっちゃ気になる。
あの帽子、代官山の友達の勤めているセレクトショップの名前と同じやったら話が合うかも知れんぞ。でも全然見えん。

私は健康診断でも体はオールAの中
視力だけはC判定になってしまうほど目が悪い。
マジで見えん。果たしてあの人は、そもそもイケメンなのか。そこまで疑うほど字が見えん。

帽子が気になって気になってる私は、お互いカウンターの端っこ同士なのにその男性に声をかけた。そしたら、帽子はheavyと書いていた。

惜しい!友達の勤めているセレクトショップの名前ではなかった!

そこからだけど、「僕達も東京から来ました。代官山もたまに行くので立ち寄ってみます。」こんなように気持ちよくスマートな飲み会がスタートしたのであります。

ほんの少しがっかりで、東京かー。残念だなぁ紳士なのになぁ😓友達になってまた会いたかったな~と言う気持ちもありつつ、素敵な人とお話しさせてもらえている状況に

時間を楽しめているじゃん!!🔥大人やん!とかテンションを上げ上げ始めてる節が合ってる。

大人の時間をよそに嵐が突然やってきた。
店の扉が勢いよく開いた。
なんかでっかい男とでっかい女が入って来た、なんやこの人ら夫婦か!?おおおおおおお!!

すげえ騒がしいthe 大阪をそのまんま切り取ったような2人だ。自分の仕事はテレビの関係で、誰と仲が良くて~この間のナニは大成功で俺がやったんや、やっぱり俺はすごい頑張り屋さんやから~みんなも助けてくれて~これは俺だけの力じゃない。みんなあってこその〜〜〜...

自己肯定感高いのか周りに感謝してるけど、俺の話をしたいのかよくわからん…感じの話はこのくらいにして、こんな感じの人が来たわけです。

一方大きな女性を見ると、なぜかイケメン帽子と話を始めているではないか。なッ!?

L字のカウンターがある。私の席の隣に、大きな男。その隣には大きな女。その隣には他のお客様(私のシャンパンを一緒に乾杯してくれた女性)L字カウンターの折れたすぐ席はイケメンの友達、その奥がイケメン帽子である。

イケメン帽子をこの機会にバケハ(バケットハットと名付けよう)

なんで、男と女が来て
女がイケメンと話し始めるねん。やっぱりこれは夫婦か!?

そんなことを考えながら…ちょっとむすっとしとったら、大きな男がバーテンの友達がどうか確認してきた。

返事をするために顔を見た瞬間によぎった第一印象は、野生爆弾のクッキーに似てるやないか。私の中でこの人の名前はクッキーとなり、その後バーテンが店内の客を皆んな皆んなに簡単な出会いの経緯と共に紹介をしてくれたが、もうこの人の名前は私の中でクッキーとなってしまった為。

名前を呼ばずにこの場を乗り切る作戦に切り替わった。
私は昔から、名前を覚えることが苦手なので名前を呼ばずにその場を乗り切るテクニックを使いながら生きている。

数分経過したところで気づいたのは、もうクッキーは私しか見ていない。そして、クッキーの女はバケハしか見ていないことに気づいた。

余計私はガッカリして、クッキーの返事もテキトーになり始めた時に事件が起こった。

わたし帰る

!?
なぜか私の返事がテキトーになって、頭の中も気分もボーッとし始めたタイミングで、クッキーの女が「私はこれから帰ります。」と言って鞄を持ってとっとと店を飛び出してしまったではありませんか。

私には、私帰るとしか聞こえず。店内の客も、バーテンですら何が起こったのかわからず
クッキーもポカンとしている。

やっぱり夫婦か。さてはそう思うワタシ

急にクッキーが立ち上がった。急にクッキーがキムタクに変わった。「ちょ、待てよ」その言葉と共に、店内から嵐が去ったかのように静かな空気が漂い始めた。

最初に口を開いたのはバーテンだった。
「どうしたんやろな?でも友達やから大丈夫☺️また聞いてみとくわ。」余裕のある感じでため息交じりにそう言った。驚きを隠せない東京の人達も「大阪って面白いね☺️」と言う流れで一連の嵐は去っていった。

この勢いのまま、私とシャンパンを乾杯してくれた女性は明日の仕事に備え帰ると言うことになり穏やかに会計を終え「ごちそうさま。」の言葉を残して帰っていった。

次に今度は、バケハの方から私に話をかけてくれた。
東京には来ますか?声もなかなか届かないほど遠くだし、そのせいであんまり話が盛り上がらないと思ったのか?
バケハは1つの話を終え、また違う話題が始まるごとに1席ずつ私に歩み寄って来た。
大体5席分かな。そんな慎重派のバケハには可愛いなぁー!と思いながらあと1席やねぇ☺️と和やかに見守ってたところ

ただいまー!!!

嵐がまた舞い戻ったのである。
バケハの努力は、クッキーの再上陸と共に生気を失い、何席か向こうへ自然な形を装いながら戻っていった。強引にクッキーは私の隣に座り込んだ。コイツなんやねんバーテン!!とブチ切れちまいそうな状況だったが、グッと堪えた。

クッキーは状況を説明し始めるも、バケハの目の中には私はいなかった。私の中では「あなただけ見つめてる、出会った日から今でもずっと」の曲が流れ始める。

クッキーは私に言った
「君のせいで彼女が帰った。」

なんで?もう私は敬語も使ってられんほど意味不明やった。どうやら、クッキーは私を口説いていたと思ったらしい。私何も興味がなく、バケハを見ていたので訳がわからん。
嫉妬をして彼女は帰ったと言うとるけど、正直カップルには見えなかったくらいお互いに興味なさそうだったやん。

バケハが会計を始めた。私は俯いて悲しくなって来た。仲良くなりたいと思っていた人は帰ってしまうし、クッキーにはお前のせいやと何もしてないのに攻められるし。なんでこんな事になっとんじゃと思って

ちょっと待って、聞いて。私は!!切り出したところ

あのな!?綺麗やからどうしても声かけてしまったのは俺が悪いと思う。ノリもええし、連れて来た子は隣と話しとるし。ひとまず俺も、楽しみたいと思ってごめん。1人で来てるのに俺が絡んだからこんな事になったんやと思う。

こんな感じで割り込まれた。なので

でもな!?私は

わかるで!意味わからんよな。急にあいつ帰るて言うんやもん、正直俺には嫁がおるけど。それを踏まえた上でアイツは俺と飲もうって事になって飲む事になったんよ。

嫁おったんかい🙌こんな感じで割り込みをされた。だから

ただ私は、普通に…!!

せやな?普通のお客さんとして来て、バーテンに久しぶりに会ったのにこんな俺が皆んなに迷惑をかけてほんまにごめん!埋め合わせさせて!!!ほんまに!!ごめん!!

すいません、ここでちょっとお気づきだろうか。この一連の流れで私の発した言葉についてです。「ちょっと待って、聞いて。私は!!」「でもな!?私は」「ただ私は、普通に」この3つしか発していないんよ。

酔っ払ってきているし、熱くなってるクッキーにバケハの話をしたらもっと長くなりそうな気もするので控える事にした。

ちょっと私も翌日に考えてみたんだけど、バケハと話をしてる時にも
バーテンと話をしてる時にも、聞き手に回る。話をする相手のテンポは必要であると思った。

クッキーにちょっと待ってと切り出しても、3秒で喋り始めてしまう。余裕が無さすぎる。

そんなクッキーは、聞いてもないのに自分の年齢や自己紹介を始めた。私の年齢や名前は聞かれてはないけど、自分のことを知って欲しい余裕の無さが私の中で何かを揺らした。
余裕は、必要や。これや。

彼は余裕を感じさせることはない40代初め頃の人だった。

ハーゲンダッツを食べながら。
私は余裕を持とうと思ったんだ。

物事も俯瞰できるようになってきた今日この頃。
落ち着いた状態でこの冬を乗り切りたいと思っています。

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