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「スキルが上がれば報酬は上がるのか?」

ITエンジニアの報酬は、一般的には
「スキルの高さが報酬を決定する」
広く信じられています

「いや必ずしもそんなことは無い」と思ってる人もいるかもしれません。

ではちょっと言い換えてみましょう。

「✕✕の人、俺より高い報酬をもらっているのに○○もできない

こんな話に共感したことはありませんか?

それはつまり、裏を返せば、「高い報酬の人はスキルが高くあるべきだ」という考えを、本能的に刷り込まれているという事なのです。

今回は、その話が本当なのかを検証してみようと思います。

ただし、問題を単純にするために、今回はSESフリーランスに限定して話を進めます。

SESフリーランスという言葉の定義については前回の記事を参照してください

ある要求スキルの価格は、何によって決定されるのか?

もちろん、答えは簡単。需給です。

「あるスキルを要求される仕事の数」と「そのスキルを持った人の数」のどちらが多いか、が最大の決定要素です。

考察を進めるために、雇用側の需要を、少し書き換えてみます。

雇用側の視点においては

「◯◯円で働いてくれる、✕✕のスキルを持つ人が欲しい」

という考え方が、求人における主要素になります。

誤解しないで欲しいのは「✕✕スキルのスキルの有無を足切りにして、それ以上のスキルを持つ人に対して、能力に比例してお金を払う」とは書いてません。

つまり、どんなに高いスキルを持っていても、その高いスキルを要求する需要がなければ、そのスキルの価格影響は皆無なのです。

したがって、スキルの影響というのは
「高いスキルを要求する企業が減れば、高いスキルでも価格が低下する圧力がかかる」
「低いスキルを要求する企業が増えれば、低いスキルでも価格が上昇する圧力がかかる」
という事になります。

ある会社が払える報酬額は、どのように決定されるのか

もう一度雇用側の視点に戻ります

「◯◯円で働いてくれる、✕✕のスキルを持つ人が欲しい」

では、◯◯円の部分に注目してみましょう。これはどのように決定されるのでしょうか?

答えは「その会社のビジネスモデルに拠る」です。

つまり
「低いスキルの人でもレバレッジをかけて利益をあげられる企業」
「高いスキルの要求にふさわしい高いレバレッジをかけて利益をあげられる企業」
「スキルの高低にかかわらず大した利益をあげられない企業」
など、それら千差万別十人十色ということです。

儲かるビジネスをやってるところは高い報酬を出せますし、粗利の低いところは、高いスキルの人にも高い報酬は払えません。

これらをまとめると

「会社が提示する報酬とスキルには因果関係はない」

ということになります。

仮にこれら労働市場に労働力を期待する企業が、きれいに直線上に並ぶのであれば、擬似的な因果関係があるとも言えなくも無いですが、現実にはそのような形にはなりません。

視点を市場全体まで引いて考えてみましょう。

低いスキルの人を集めても利益をあげられる業態というのは、当然コモディティ化が早いため、ライバルが参入してくるために早々に利益は頭打ちになります。

それらを考慮しても「高いスキルには高い報酬が支払われる」わけではなく「高い報酬を出せる企業は、"比較的"高いスキルを要求することがある」ということです。

つまり、報酬とスキルの関係は、因果関係ではなく、相関関係ということになります。

雇用側が払ったお金はどこに消えたのか?

ここまで企業側が支払う金額についての検証を進めていきましたが、次はあなたが実際に受け取る金額についてのお話です。

これには単純な式があります

企業が払った報酬 ー 間に入っている会社の数×それらの会社の強欲さ
=あなたが受け取る額

以上があなたの報酬を決定する要素というわけです。

減算記号の右側については、いずれお話することがあると思いますが、今日のところはこういう式で決まる、と述べるにとどめます。

ソフトウェアエンジニアの不都合な真実

さて、ここまで考察を進めた上で、最初の問いに戻りましょう。

「スキルが高さが報酬を決定する」

という言葉を、あなたはまだ信じていますか?

次回

今回はSESフリーランスに限定してのお話をしました。

次回は「正社員に比して、SESフリーランスの報酬がなぜ高いのか」について考察を進めてみたいと思います。

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