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やっと『ドラえもん』全45巻を読んだ。

私はすべての友達知人に『ドラえもん』好きを公言しています。
多分、私のドラえもん好きを知らない知人はいないのではないか、と。

今noteの記事を読み返しても、ドラえもん率が異様に多い。

しかしながら、自分の中で引っ掛かっていることがありました。

それは、

『ドラえもん』の漫画を全巻読んだことがない


ということ。

「好き」と言うことに、資格はいらないのだけど、
私は「果たしてこの程度で好きと言ってもいいのか・・・」といつも自分自身を邪推してしまうのです。

そんな私でも「ドラえもんが好きだ」という気持ちには偽りはなく、自分の趣味の中では、相当胸をはって言える類の趣味の一つだったのですが、
けれどもずっと「漫画を全部読んだことがない、そんなこと口が裂けても言えない!」という恥ずかしさが残っていたのです。

(ほんとうに邪推です。)

そういうわけで
「いつかはちゃんと『ドラえもん』を全巻読まなければならない」という義務感が胸の中に漂っていたのです。

しかし、なかなかそのもやもやを払拭する機会がありませんでした。

『ドラえもん』はてんとう虫コミックスで、全45巻です。

45巻。
多いけど、めちゃくちゃ多いというわけでもない。

しかも『ドラえもん』は全てが1話完結で内容もとってもライト。
1巻あたりに20話弱のお話がおさめられており、
サラッと読めば1巻あたり30分、ちゃんと読んでも1時間あれば読めます。

でもその「軽さ」が反対に「いつでも読める」と、
私が「いつか」へと引き延ばしていた原因のひとつでした。

それと、どうせ読むなら、紙の本で購入して読みたいと思っていました。

私が持っていた『ドラえもん』のてんとう虫コミックスは、小さい頃にお小遣いから買った古本。巻数もばらばらの10冊程度。

古本だし、巻数もばらばらだし、
どうせ全巻買って読むなら新品で45冊買い揃えたい、というのはなんとなく思っていたんです。

今だと1巻あたり約500円。
500円×45巻=22,500円。

社会人なので、買って買えない金額ではないです。

この微妙な金額もまた「いつでも買える」と、
私が「いつか」へと引き延ばす原因となっていました。

そんな中。

2年前の2020年に「100年ドラえもん」が発売されると知りました。

100年後、ドラえもんが誕生する22世紀の未来にも届けられるような、
長期保存を意識した究極の豪華愛蔵版としてつくる。

私は全く迷いなく予約しました。

豪華愛蔵版ということで、100年後まで保存できるような、
美しい布張りの装丁、天金、丈夫な紙。

77,000円しました。
1冊あたり約1,700円です。

普通に買えば1冊500円、
合計で22,000円で買えるものです。

「全く迷いなく予約しました」と言いましたが、すこし嘘です。

さすがに一瞬躊躇しました。計算しました。1冊いくらするんだと。

でもまあ。

「ドラえもんを全巻買う機会」を購入したのだと思えば、
安いものだという結論に至りました。

限定品だからこのタイミングで買わなければ一生買うことはできない。
というのが、私にとって最高の後押しとなりました。

2020年の12月に届きました。
私は誕生日が12月なので、自分にとって最高の誕生日プレゼントでした。

15巻ずつこんな風に綺麗な化粧箱に入って3箱。計45巻。

幸せいっぱいでした。

さあ、これで私はいつでも『ドラえもん』が読めるぞ!となったのですが、

あまりにも美しい装丁なもので、汚れるのがもったいなくて。

そして、いざ読める環境が整うと、また私の悪い癖がでて、
「いつでも読めるからいいや」と、収納の奥深くにしまい込みました。

仕事も忙しく、
せっかくの『100年ドラえもん』を読むことなく2年の月日が流れました。

2022年2月、私は仕事を辞めることにしました。
疲れたのでしばらくゆっくりしようと、何もしない日々を過ごしました。

そして部屋の片付けをして、『100年ドラえもん』が出てきました。

忘れていたわけではないけれど、忙しさにかまけて、記憶の片隅に追いやっていました。

読むなら今しかないよなあと、重い腰を上げて読み始めました。
なぜ好きなものに触れるのに、腰が重いのか自分でも謎です。

読み始める。

やっぱり『ドラえもん』は面白い。

1コマ1コマの流れがなんてスムーズなんだ。
こんなひみつ道具初めて知った。
ああドラえもんはやっぱり可愛いな。
のび太はいい子だな。

SNSで流れてくる「ネタ」コマもちょいちょい出てきて、
本当に描いてあって笑う。しかもその流れが秀逸すぎてさらに笑う。

名作と名高い、
「おばあちゃんのおもいで」(第4巻収録)
「帰ってきたドラえもん」(第7巻収録)
「のび太の結婚前夜」(第25巻収録)

などは、本当に泣けるんですよ。

なんでたった数ページの物語で泣けるのか?
読んでいても不思議でたまらない。

自分が小さい頃からよく読んでいた巻は、懐かしくてほのぼのします。

私が個人的に好きなのは、
「天つき地蔵」(第36巻収録)です。

あらすじはこちら(ピクシブ百科事典より)が分かりやすいので、どうぞ。ストーリーの巧妙さが好きです。

あと結構有名なストーリーですが、
「ドラえもんに休日を‼︎」(第35巻収録)も好き。

あらすじはまたまたピクシブ百科事典より引用させいただきます。こちらです。のび太とドラえもんの関係性がとても好きです。

それから、ドラえもんをよく知らない人や、大人にこそ読んでほしいのは、てんとう虫コミックスの最終話でもある、

「ガラパ星から来た男」(第45巻収録)です。

これはね、あらすじとか知らずに、ぜひ一度、読んでみてほしいです。このお話だけでもいいので。
藤子・F・不二雄先生の「SF(すこし・ふしぎ)」がつまった作品です。『ドラえもん』だと思わずに読んでほしいです。

単行本の最終話にはなっているのですが、意図して「最終話」として描かれた話ではないので、そういう先入観は全くなしで読んで大丈夫です。『ドラえもん』の中では結構、異色な話です。
ただ結果的にこれが単行本としては最終話に収録されているのも、なんだか面白いなーと思ってしまう、よくできたお話です。

そうほんとうに、『ドラえもん』にはよくできたお話しか掲載されていないのです。

だからこそ。

1話1話がきちんと収まりすぎて、1冊読むともう大満足してしまうのです。

「続きはまた今度。」と楽しみをとっておく。

そして、もともと本を読む行為自体に慣れていない私には、
「また今度」をすると、その「今度」がなかなかやってきません。

仕事も何もしていないのに「今度」がやってこない。
私は本当に、何か新しいことをするのが苦手なのだなあと思います。

『ドラえもん』も、何度も何度も同じ話を読んで楽しんでいました。
アニメ版も映画ドラえもんも自分が好きな同じものを、何度も何度も観ていました。

大好きな映画は、
はじめの東宝マークが映し出されるところから、
のび太の「ドラえもーーーーん!」のさけび声で
チャラララララ〜♪チャラララララ〜♪
とオープニングの「ドラえもんのうた」が流れるまでを、
空で言えるのではないか、というくらい観ていました。今も観ています。

でも仕事をしていないおかげで、心に余裕があり、
時々だけれど「今度」はやってきてくれて、
本当にちょっとずつですが、読み進めることができました。

2022年11月、やっと全45巻を読み切りました。


2020年12月に手元に届いてから、およそ2年。

45巻読むのに2年もかかってしまいました。

もっと言えば、幼いころから読みたいと思っていたのだから、
あしかけ20年くらいでしょうか。

長かった。

そして、肝心の読み切った感想は、というと。

まあ、こんなもんか、と。

決して『ドラえもん』が面白くないわけではない。
『ドラえもん』は間違いなく面白いのです。

だけれども、自分が人生のゴールの一つに掲げていたとも言える「いつか」も、達成してみるとこんなものか、と存分あっさりした感覚を覚えました。

それと、分かっていたつもりだけれど、
『ドラえもん』全45巻を読んだことがない自分も、
『ドラえもん』全45巻を読み切った自分も、

やっぱり
『ドラえもん』が好きなことには変わりはない

ということに、気付かされました。

やっぱり好きなものは好きなのだ。


知識や経験のあるなしに関係なく、
「好き」という気持ちは自然と立ち現れてくる。
「好き」という気持ちがあるのなら、どんなものでも「好き」と言って構わない。

そんな大事なことに今更ながら気付かされました。

来月、2022年12月。
今度は我が家に『100年大長編ドラえもん』が届きます。

『ドラえもん』映画の原作でもある、『大長編』シリーズの全17本が、
また美しい装丁でやって来るそうです。

こちらも『100年ドラえもん』と同様、なかなかいいお値段でした。

けれども、大長編・映画ドラえもんが大大大好きの私は、
今回は本当に嘘偽りなく「迷いなく」予約をしました。

それは『100年ドラえもん』が手元に届いたとき
とても幸せだったからです。
あの幸せを、また来月味わえるのだと思うと、楽しみです。

12月でまた自分がひとつ年を重ねてしまうことは少し辛いですが、
『100年大長編ドラえもん』が届くことを糧に、残りの11月を過ごそう思います。

さて、この大長編17冊が読み終わるのは、またいつのことになるのかな。


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