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アニメ『PSYCHO-PASS』1期を観終わっての感想

 アニメ『PSYCHO-PASS』1期を観た。タイトルだけ知ってて内容は全く知らなかったんだけど、観てみたらめちゃくちゃ面白くてビックリした。

 何故今の今まで手を伸ばそうとしなかったのか。多分当時サイコパスブームみたいなのがあって、それに乗っかるのが嫌だったんじゃないかなぁと思う。

【人の心が数値化された世界】

 『PSYCHO-PASS』を観たことが無いという人のために物語の内容をざっくりと説明する。本作のジャンルを一言でまとめるなら、SFクライム・サスペンスだ。要するに刑事モノってこと。

 舞台はサイバー技術が高度に発達した近未来の日本。人々のあらゆる心理状態や性格傾向はシステムによって数値化され、管理されていた。中でも犯罪に関わる「犯罪係数」は治安を維持する上で特に重要な指標とされ、この数値が100を越えた者は『潜在犯』として逮捕される。

 本作はそんな『潜在犯』たちと、それを追う公安局の捜査官(正確には監視官と執行官)たちの戦いを描いた物語である。

【裁くのは人ではなく、あくまでシステム】

 犯罪者が事件を起こし、それを主人公たちが捜査し事件を解決するという流れは一般的なサスペンスと同じだが、本作で面白いと感じたところは、犯罪者を裁くのは主人公たちではなく、あくまでシステムであるという所だ。

 その象徴とも言えるのが、本作で主人公たち公安が使う携帯型心理診断・鎮圧執行システム『ドミネーター』である。

変形モーションがカッコいい

 このドミネーターは銃口を向けた相手の犯罪係数を計測・診断し、数値に応じたモードに自動で変形するという機能を有している。

 相手の犯罪係数が100以上300未満なら電磁波で相手をマヒさせるパラライザーモードに。300を超えていた場合は高出力の電磁波で対象を爆散し殺害するエリミネーターモードに切り替わるといった具合だ。

 ちなみに犯罪係数が100未満の場合は執行対象外としてトリガーがロックされる。

 第一話でこのドミネーターが登場した時、俺はなんて便利な武器なんだろうと思った。

 なにせ銃口を向ければ相手が「潜在犯」かどうか自動で判断してくれるのだ。証拠や論理で追い詰めずとも、ドミネーターを向けるだけで事件を解決できてしまう。

 その上、犯罪係数が正常ならトリガーがロックされるので誤射の心配が無い。加えてドミネーターを扱うには使用者登録をしなければいけないため、相手に奪われて反撃されるリスクも無い。

 最初こそ夢のような武器だと思っていた。しかし物語が進につれ、すぐにドミネーターならではの問題点が浮き彫りになっていった。

【システムが罪を認めなかった者たち】

 ドミネーターは計測した犯罪係数を元に捕縛、あるいは殺害を実行する。これはシステムが自動で行うことであり、使用者の意思はほとんど介在しない。せいぜいトリガーを引くかどうかぐらいだ。

 では、もし犯罪係数が意図的に低く計測される人間がいたとしたら、ドミネーターはどうするだろう?

 当然、何もできない。

 たとえ公衆の面前で堂々と暴行を働こうが、その末に人が殺されようが、犯罪係数が100を超えていなければシステムはそれを罪と認めず、ドミネーターは何もすることができない。

 物語終盤、主人公たち公安局はこのジレンマに直面する。

 目の前にいるのは間違いなく犯罪者なのに、システムが『潜在犯』として認識しないため何もすることができない。

 罪とは何なのか、正義とは何なのか。それらを一手に判断しているシステム、『シビュラシステム』の正体とは一体なんなのか。


 物語が終盤に向かうにつれ、得体のしれないシステムを盲信する社会の歪さが露わになっていく展開はスリリングで、物語が行き着く先が気になって気になってリモコンが手放せない。そんな気分にさせる良アニメだった。



おわり

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