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マニアック経済学論

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一般向け解説とは別に、どちらかというと趣味に近いマガジンを作ることにしました。タイトルは「テクニカル」と書いてもよかったのですが、著者は経済学の学位を持たない(あくまで経済学ファ… もっと読む
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#経済政策

Tymoigne & Wray 『MMT批判に答える』の抜粋訳と、これを作成した理由

こんにちは、望月慎(望月夜)@motidukinoyoruと申します。 (blog「批判的頭脳」、togetter、noteマガジン一覧) (拙著『図解入門ビジネス 最新 MMT[現代貨幣理論]がよくわかる本』(秀和システム)(2020/3/24 発売)) ティモワーニュとレイによるMMT批判への再反論論文が書かれたのは2013年のこと、今から8年も昔の話になる。 Tymoigne, E., & Wray, L. R. (2013). Modern money the

【読者サポートページ】 図解入門ビジネス 最新 MMT[現代貨幣理論]がよくわかる本

こんにちは、望月慎(望月夜)@motidukinoyoruと申します。 (blog「批判的頭脳」、togetter、noteマガジン一覧) この度、2020/3/24より、拙著『図解入門ビジネス 最新 MMT[現代貨幣理論]がよくわかる本』が秀和システムさんの方から発売の運びとなったわけですが、参考文献としてWebリンクを多用している関係上、「参考文献が見辛く、また確認しづらい」というご意見をいただきましたので、読者サポートページとして、参考文献の直接リンクや、著者による

徳永潤二氏 "Monetizing Public Debt in Japan: An Empirical Critique of Modern Money Theory" を批判する

こんにちは、望月慎(望月夜)@motidukinoyoruと申します。 (blog「批判的頭脳」、togetter、noteマガジン一覧) (拙著『図解入門ビジネス 最新 MMT[現代貨幣理論]がよくわかる本』(秀和システム)(2020/3/24 発売予定)) マサチューセッツ大学アマースト校の研究所:PERI:Political Economy Research Institute にて、徳永潤二氏(獨協大学経済学部教授)が、Monetizing Public Deb

野口旭氏『MMT(現代貨幣理論)の批判的検討』に関するMMT(er)の“弁明”

こんにちは、私は望月慎(望月夜)@motidukinoyoruと申します。(blog「批判的頭脳」、togetter、noteマガジン一覧) つい先日(2019/9/20)、AWニュースWeekly(ニコニコ動画・YouTube)の方で野口旭氏と対談させていただきました。 時間の関係で話せずに終わったことが多くあり、今回は、広く皆様の議論の叩き台となることを望んで、野口旭氏に放送前にお送りした書簡の内容を共有させていただこうと思います。(放送用に用意していたスライドも併せ

ニューケインジアンの金融政策無効論、MMTの金融政策無効論

こんにちは、私は望月夜、あらため、望月慎@motidukinoyoruと申します。(blog「批判的頭脳」、togetter、noteマガジン一覧) 以前(2019/7/23)、AWニュースWeekly(ニコニコ動画・YouTube)の方でModern Monetary Theory(MMT)について語るという議題で出演させていただいたのですが、次回、2019/9/20(金)にて2回目の出演を予定しております。 次回出演時は、以前時間が足りず語れなかった『MMTによって防

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Modern Monetary Theoryの概説(note版)

こんにちは、私は望月夜、あらため、望月慎@motidukinoyoruと申します。(blog「批判的頭脳」、togetter、noteマガジン一覧) *出版します:『図解入門ビジネス 最新 MMT[現代貨幣理論]がよくわかる本』 今回は、立命館大学経済学会セミナーにて、望月夜名義で研究報告させていただいた、『Modern Monetary Theoryの概説』について、noteの形で紹介・解説させていただきたいと思います。 この報告は、後に論文(というより研究ノート)と

主流派経済学の諸概念についての批判的検討

今回は、主流派経済学の三つの概念について概説し、批判を加えることにする。 その三つの概念とは、「ミクロ的基礎づけ」、「フリードマン・ルール」、「ラムゼーの最適課税理論」だ。 ミクロ的基礎づけは、ミクロ経済学に整合的なモデルを基礎にマクロ経済学の理論を構築すべきであるという指針で、基本的に政府による介入の無効性(及び有害性)を導出する構造を持っている。 フリードマン・ルール(注:k%ルールとはまた別物)は、名目金利がゼロになることが経済厚生上最適であるとする理論だ。こうし

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失業率の構造、完全雇用、残業代の経済学

今回は、雇用・労働に関する諸概念について検討していく。 日本の失業率を考える場合、国際比較に基づいて、「日本の失業率は国際的に見て低い」ということはよく知られているところと思う。 (データブック国際労働比較2016より引用) しかしながら、失業率の単純な国際比較では、各国の景気動向や成長動向、雇用システムの良し悪しを評価することはできない。 失業率の構造を理解することで、そうした短絡的な誤解を未然に防ぐことが出来る。 また、国際的に見て失業率が単に低いことそれ自体が

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政府債務は「将来世代の負担」なのか?

『政府債務(国債)は将来世代の負担、将来世代のツケだ』という表現、ないしアナロジーは、財政論議で散見されるものだ。(例:放置されたままの将来世代へのツケ回し 政府・日銀の一体化で失われた財政規律) こうした主張に関しては、アバ・ラーナーの機能的財政論を引用しつつ反論する論者や、世代重複モデルを用いて擁護する論者など、賛否両論あり、また論点が不明瞭ないし複雑になっている。 この議論に関して、上述した機能的財政論と世代重複モデルの双方を扱いつつ、議論の整理をはかり、複数世代を

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アベノミクス(ないしリフレ派)の理論、及びその欠陥(マニアック)

一般向けのアベノミクス(あるいは異次元緩和)の解説と批判については、なぜ異次元緩和は失敗に終わったのかの方で既にまとめてある。 翻って、この記事では、アベノミクス(というよりリフレ政策)の理論の解説をよりテクニカルな部分に深めた上で、その構造的欠陥についても深く考察する予定である。 目次は以下の通り。 ①流動性の罠の理論とインフレ目標政策(調整インフレ論)の構造 ②内生的貨幣供給論を通じた反論 / 「流動性の罠」から「信用創造の罠」へ ③短期不況理論から長期停滞理論

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経済学的財政破綻論の批判的検討 後編(マニアック)

一般向けの財政破綻論の検討は「なぜ日本は財政破綻しないのか?」にて検討した。上記記事に破綻論批判のエッセンスは十分含まれているが、当記事では、「経済学的財政破綻論」に批判の的を絞り、テクニカルタームを交えつつ"マニアック"に解説・批判していくことにする。 目次は以下の通り。 前編(リンク) 財政持続条件としての横断性条件とその"破れ" 後編(当記事) ハイパーインフレーションの理論と実際 関心のある方は、ご購読いただけると幸いである。

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経済学的財政破綻論の批判的検討 前編(マニアック)

一般向けの財政破綻論の検討は「なぜ日本は財政破綻しないのか?」にて検討した。上記記事に破綻論批判のエッセンスは十分含まれているが、当記事では、「経済学的財政破綻論」に批判の的を絞り、テクニカルタームを交えつつ"マニアック"に解説・批判していくことにする。 目次は以下の通り。 前編(当記事) 財政持続条件としての横断性条件とその"破れ" 後編(リンク) ハイパーインフレーションの理論と実際 関心のある方は、ご購読いただけると幸いである。

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