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ウリセン編40 あたいと、彼女がいたゲイの同僚


「もちぎさん、なんか面白い話してよ」

ゲイ風俗の控え室。後輩ホモがヒマそうにテレビを見ながら、あたいに注文してきたわ。

日曜、夜19時。ゲイ風俗のヒマな時間帯だ。
そもそも日曜は予約のお客様以外は来づらい。
あたいも後輩ホモも22時からのロング(泊まり指名)まで指名も無くのんびりとしていた。

「じゃあ、あたいが高校生の時に仲良しだった腐女子の友達に告白されて、断るためにもゲイだってこと打ち明けたら『はよ言えや』ってキンタマ蹴られた話するわね」

「言ってんじゃんかよ、オチまで。あらかた言ってるし、その話オレ聞くの4回目だし」

すると、それを聞いていた一人のボーイが、あたいに声をかけてきたわ。

「もちぎ、お前その子と付き合わなかったんか?」

「うん。だってあたいゲイだし。でも、その子とは今も友達よ。あたいの受験勉強も手伝ってくれたの」

すると彼は小さく「そっか……」と漏らしながら、あたいの隣のソファーに座る。

「……どしたのよ、いきなり」

彼は照れ笑いしながら、足を伸ばしゆったりとする。

「俺も高校生の時、告白されたことあったよ。もちぎとは違って付き合ったけどな」

そう彼は言うがーー記憶違いじゃなければ、ゲイ風俗のサイトに掲げてある彼のプロフィールでは、彼は『ゲイ』になっていたはず。

「あれ? でもあんたゲイじゃ無かった? たしか彼氏も前にいたわよね」

「よく覚えてんなぁ。ゲイだし、彼氏いたよ」

「じゃあ当時は女性が好きだったってこと?」

あたいが聞くと彼は首を横に振る。


ゲイだけど、ゲイって自覚が無かったんだよ

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2,170字

⑤あたいがゲイ風俗のベテランとして働いてた時と、中学の初恋の迷走期と高校時代の友達の話です。このマガジンからでも読み進められる単発モノばか…

今ならあたいの投げキッス付きよ👄