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ACが知らないかもしれない、健全な人間関係構築のための小技

※AC=アダルトチルドレン定義
「機能不全家庭で育ったことにより、成人してもなお内心的なトラウマを持つ」という考え方、現象、または人のことを指す。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%81%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%B3

さて、上記の定義のとおり私も例に漏れずACである。

機能不全家庭で育つことによる辛さとは、「心/体の調子を崩す(むしろ健康な状態を知らない)」「精神、経済、肉体、労働力的なサポートが得られにくい」「周囲からの孤立」…など色々あるとは思うが、

一旦ここでは「家を出た後でも、実家と同じような関係性ーハラッサー(モラハラ、パワハラ…ハラスメントを行う人)に目をつけられ、共依存になってしまう等ーに陥り、結局より深いストレスに苛まれてしまう」(負の連鎖)を取り上げたいと思う。

そう、「機能不全家庭」から脱出したら終わり、では無いのである。

わざわざこの話題をまとめてみたい、と思うあたり、私もかなりやらかしている。(共依存になって苦しくなり逃亡、関係がこじれて打つ手が見つからず逃亡、とにかく全てを断ちリセットしたがる…など)

この記事では私が闇雲に、失敗しながら、あるいは突然腑に落ちてきて得た、「健全な人間関係」に近づきやすくなるための経験則、および小技を記したいと思う。

(もちろん一括りでACといっても、不幸な家庭は十人十色…「このやり方は自分に合わない」といったことは存分にあると思うため、参考程度に見ていただければ)

①皆に優しくする必要はない

 ケア役割を担ってきた人、「もっと優しくあれ」と責められてきた人にありがちかもしれないが、「道徳的に完璧な人間」でなければ「コミュニティに参加する権利が無い」と刷り込まれているケースがあると思う。

 そのモットーに基づいて、接触する人すべての話を優しく聞き、気を遣い、ワガママにも嫌な顔せず対応し続けるとどうなるのだろうか。

 結果は、「優しくない人」があなたの側に残るのである。

 嫌がらせが得意な人、自分の話を聞いてほしいだけの人、あなたの利益にタダ乗りする人。自ずとあなたのストレス値は振り切れ、さらに生来の真面目さから「嫌だなって思ってしまうなんて、私は心が狭いのかも…」とさらに気に病んでしまうかもしれない。

 しかしそれは単純に、「健全な人々」が「ちょっとな~^^;」と距離を置いている人々が、あなたの周りに収束されただけなのである。

 「優しくする相手」は選ぶべきだ。

 最低限の礼儀的行動(挨拶をするとか無視しないとか)さえ押さえていれば、「優しさを返してくれない相手」は切っていいのである。

②批判する、愚痴をこぼす、(少し)ワガママを言う、頼ると仲が深まる

→これは経験知として何となくわかっているものの、今だに「嘘でしょ?」って思ってしまう行為である。

 しかし、「それは違うんじゃないか?」「もう疲れた」「~~したい/したくない」「出来ない、助けて!」などといった心の声を率直に伝えることで、グッと距離が縮まることがちょくちょくある。

 どうやら「健全な人々」は、「いつもニコニコして、何にでも同調して、誰にも迷惑をかけない人」に対して、「(イエスマンへの)不信感」「物足りなさ」「自分はいらないのか」といった、負の感情を抱くらしい。

 ついでに「いつもニコニコして、何にでも同調して~」のような振る舞いが大好きな人は、だいたいハラッサー気質である。

 自分に考えられる精一杯の「良き人間」を演じているはずが、気付かないうちに「健全な人々から距離を置き、ハラッサーを自分で呼び寄せていた」みたいな状況を生み出してしまいがちである。非常に注意してほしい。

 なお、ここで挙げた項目のうち、「批判」が一番ハードルが高いような気がするので、「日常生活でぬるっと挟めてハラッサー判別できそうなワード」を以下にまとめておく。

 ・「そうかなぁ・・・?」
 ・「いやいや。」
 ・「私はそういうのはあんまり思わないかも~。」
 ・「そんなこと無いんじゃない?」

 →わかりやすい愛想笑い&これ以上は言わず、批判的なニュアンスのみ醸し出す、くらいがやりやすいと思う。この返事に対して、ものすごいエネルギー量で怒りが返ってきたり、あからさまにムッとするような人は少し危険かもしれないので、距離を置いたほうが良い。

③不当な扱いに声を上げないでいると、相手が「ハラッサー」化していく

 私もこれは全然できていないときがあるのだが、とにかく相手のワガママや理不尽な注意、上から目線の発言(クソバイス)などに対して、「実家に比べれば余裕だな~」とか思って、反論も何もせず暢気に聞いていると、いつの間にか相手のハラッサー的な態度がどんどん加速していく。

 よくわからないのだが、おそらく「人にハラスメントをするのは、楽しい」というのは、わりとありふれた闇の欲望なのだと思う。

 「いじめ」と同じで、環境がそれを許せば、己の拳を奮いたくなる。(理性などの抜け道を通って、いつの間にか)奮ってしまう。というような。

 これに対する方法は、理不尽な扱いを受けたときに「違うんじゃないですか?」「私はそうは思わない」などと真っ向から反論するのが最善だと思うが、それは難しいだろう(私もあんまりできてないし)。

 次点で「周囲の人に相談しておく」「理不尽な扱いは飲み込むが、”こっちは納得してねーぞ”みたいな雰囲気は隠さない」とかだろうか。

 より良い(より実行可能でより効果的な)案があったら、私も知りたい。

④会話に気力を注ぎすぎてしまう

 人と会話すると、頭痛がするほど疲れるときがよくある。

 「無礼のないように」「楽しんでいただけるように」といった過剰なおもてなし精神と、たった少しの言葉で相手から怒りや失望といった感情を引き出してしまうのではないか、などの綱渡り感が過剰な緊張を生むのだろう。

 幸いにも「健全な人々」はよほど無礼だったり攻撃的でもない限り、怒りだしたり失望したりはしない。ある程度システマチックに会話をこなし、慣らしていくのが良いと思う。

 私の場合は以下のルーチンを意識している。

 相手の話を聞く→相手の話を一つ掘り下げる→自分の話を少しする→少し休む(沈黙、もしくは相手に委ねる。)→既存の会話に戻る、新たな話題をどちらからか出す→以下繰り返し

 特にこの「少し休む」(頭を無にする、話を3分の2くらい聞く)を必ず意図的に入れると良い。緊張状態は常に「全然疲れていない」と思いがちだか、このタイミングで体力の残量がどれくらいあるか…などを確認し、逐次自分を労わろう。

⑤なんか嫌、なんか楽、な人には2種類ある

 「嫌だな、と思う人からは距離を置こう」「楽だな、と思えるのが良い関係」
 このようなライフハックをよく見かけるが、「健全な関係」を知らないACにとって、「楽」と「嫌」には2種類あるため、気をつけるべきだ。

 具体的に言うと、単純に慣習として、または「知らない不幸よりも、知っている不幸が安心するし、楽である」といった人間(?)の性質上、「実家のような関係を再生産する」ことが「楽なこと」に入っている場合がある。

 というより私がそうだった。自分の親とそっくりな人間となんとなく仲良くなり、なんとなく関係が継続し、なんとなく辛くなって、なんとなく逃げる。ようなことをそこそこ繰り返したと思う。

 逆に、「この人と話すのは何となく苦手だな」(人自体が嫌と言うより、この人といると自分自身の居心地が落ち着かないな)と思う人が、「健全な人々」であることもある。

 苦手意識=「居心地の悪さ」が「自分自身の意見を求めてくる」とか「1人の人間として気を遣ってくる」とか、「不機嫌だったり分かりやすい役割が与えられず不安」とか、そのような内容に該当するのであれば、むしろ関係の継続をお薦めする。

 もちろん上記の段階を踏んだうえで、「やはり何となく嫌だ」と思う場合は、双方のためにも距離を置くべきだろう。

⑥自分の家庭事情はポップに会話に差し込む

 ACにとって困る会話として、「実家に帰らないの?」「寂しくないの?」「親が心配しないの?」などがあるだろう。

 全て上手い感じに嘘をつく方法もアリだが、なんだかんだそれも疲れる。

 そこで、「いや~うちは家族/兄弟/夫婦仲悪いんで^^;」と、瑣末なゴシップ情報、くらいの温度感でヌルッと会話に差し込むと、意外と「へ~そうなんだ」とか、「うちも仲悪いよ~」などと、良い具合に話が進むことがある。

 もちろん明らかに説教してきそうな人は避けつつ、「なんかいけそう」と思ったタイミングで試してみてほしい。

⑦トラブルが起きたら、「私が絶対悪い」と「相手が絶対悪い」の両方を考えてみる

 人を責める機能が欠けがちなACの方には、何かトラブルが起きた際、すぐに「私がやらかしてしまった」と思いがちだと思う。

 しかし、そのような態度を示していると、周囲からも「自分で言うくらいだから、こいつが悪いんだろう」という扱いになり、その反応を受けて「私って本当にダメだな」と自身を喪失して…と、負の相互作用が発生してしまう。

 「自分が悪かったかもしれない」と振り返るのはもちろん良いのだが、「相手が悪かったかもしれない」というのも考えてみてほしい。

 全ての物事において、「何かが100%悪い」ということはない…のはもちろんのこと、「ハラッサーによる攻撃や、悪質な発言」を飲み込んで、見逃すことが、次の再生産に繋がってしまうのである。

 逆にACの脱出に成功し、情緒が安定してきた。あるいは何かのかみ合わせで、「自分がハラッサー側になってしまっている」のようなときも、「自分が悪かった」「相手が悪かった」の両方を考えてみると良いだろう。

 「事実をより正確に把握する」ことに労力をかけることは、たぶん色々と役に立つ。と思う。


以上、これも軽い気持ちで書き始めたが、なんかめっちゃ長くなってしまった。

これを読んだ方の中で、ほかにも良い小技、裏技、陥りがちな失態などあれば教えてほしいと思う。


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