上肢・体幹の運動連鎖と理学療法の展開

広尾整形外科       財前知典


目次

Ⅰ.上肢と体幹の関係


Ⅱ.上肢と体幹の解剖
 1. 上肢と体幹の筋連結
 2. 上肢の筋膜構造と体幹への連結


Ⅲ.上肢の運動連鎖
  入谷式カウンター理論の考え方
1. 矢状面の運動連鎖 
1)肩関節伸展の運動連鎖 2)肩関節伸展の運動連鎖
2. 前額面の運動連鎖 
1)肩関節外転の運動連鎖 2)肩関節内転の運動連鎖


Ⅳ.関節誘導方向評価  
1. 肩関節肢位と自動下肢伸展挙上検査 
1)矢状面 2)前額面 3)水平面
2. 肩関節運動後の歩行評価 
1)矢状面 2)前額面 3)水平面
3. 前腕および手指手関節誘導方向評価
1)上肢と呼吸運動の関係  
2)手指誘導方向と呼吸運動の評価
3)遠位橈尺関節誘導方向とグリップ動作
4)近位橈尺関節誘導方向と体幹回旋評価
5)肘関節および手指手関節誘導方向評価
4. テーピングによる誘導
1)肩関節誘導テーピング 2)肘関節誘導テーピング 
3)前腕誘導テーピング 4)手関節誘導テーピング 5)手指誘導テーピング

Ⅴ .体幹の機能と解剖
1.体幹誘導評価 
  1)矢状面の誘導評価 2)前額面の誘導評価 3)水平面の誘導評価
2.長肋筋および最長筋の筋緊張による評価
3.頸椎および顎関節誘導による評価

Ⅵ.理学療法への展開
1. 筋膜を考慮した上肢運動療法
1)肩関節伸展運動連鎖タイプの筋膜誘導
2)肩関節屈曲運動連鎖タイプの筋膜誘導
3)肩関節外転運動連鎖タイプの筋膜誘導
4)肩関節内転運動連鎖タイプの筋膜誘導
5)肩関節内外旋の筋膜誘導
6)前腕回内外の筋膜誘導
2. 上肢と体幹の協調
1)上肢アライメント変化による抗重力伸展活動の活性化
2)上肢アライメント変化による体幹運動
3)上肢アライメント変化による胸郭運動
3. 体幹運動療法
1)骨盤右並進と第12肋骨レベル左並進誘導の体幹運動
2)骨盤左並進と第12肋骨レベル右並進誘導の体幹運動
3)骨盤左回旋と第12肋骨レベル右回旋誘導の体幹運動
4)骨盤右回旋と第12肋骨レベル左回旋誘導の体幹運動
4. 頚部運動療法


Ⅰ 上肢と体幹の関係


ヒトは進化の過程で直立姿勢と二足歩行を獲得し、後肢が下肢へ、前肢が上肢へと環境に適した変化を遂げっていった。しかし、ヒトは四足動物であったころの身体制御のシステムが 多分に残っている。例えば、 下肢と下部体幹が協調的に働くのと同様に、上肢と上部体幹 も協調的に働くことで、動き を効率的に遂行するシステムがある。特に四足動物の移動様式 を観察すると、上肢の動きに連動して上部体幹胸郭の動きを変化させ、方向転換や身をひるがえす等の動きを効率的に遂行している。


こうした動きが出来なければ野生で生き残ることは難しいと考える。つまり、上肢と上部体幹は身体を進行させる方向性を決定し、下肢と下部体幹は推進器として効率的に働くことで、身体の移動を円滑にしているのである。 このシステムが野生で生き抜く確率を高めていたものと推察される。
さらに加えて、四足動物の移動様式では上肢と上部体幹の協調的な動きだけでなく、上肢と下肢の連動システムも重要である。 この連動システムが協調的に働かなければ、効率的な移動は獲得できなかったと思われる。


現代のヒトにおいても上肢と上部体幹および足部 を協調させ、効率的な動きを行わせるシステムは残っていると推測している。そのシステムの法則を少しでも解明し、ヒトの動きに対する理解を深めることによって理学療法評価や治療に役立たせることが可能であると考えている。

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