運動器エコー

セラピストが臨床現場で活用するために  

中山昇平


目次

はじめに
1章 運動器エコーの基礎 ~超音波画像装置の特徴~
1.音響インピーダンス
2.超音波画像の決まりごと
3.画像の白と黒について
1)骨、硝子軟骨の超音波画像の特徴
2)滑膜腔、脂肪体、関節包の超音波画像の特徴
3)腱・靭帯の超音波画像の特徴
4)筋の超音波画像の特徴
① 筋厚
② 羽状角
③ 筋の収縮方向
4.超音波画像の限界
1)音響増強
2)音響陰影
3)減衰・減弱
2章 臨床現場における超音波画像を使用した関節に対する評価        ~解剖と超音波解剖(静態と動態)~
1.肩関節に関する機能解剖
1)肩甲上腕関節および第二肩関節の機能
2)腱板の機能
3)肩関節挙上時の大結節の軌跡
4)主動作筋と拮抗筋の関係
2.肩関節における病態の超音波解剖
1)フォースカップルに問題のある肩甲上腕関節
2)筋の短縮にともなう関節可動域制限 超音波解剖による描出
3.正常な肩甲上腕関節の超音波による観察
1)外転
⒜ 外転時の機能解剖
⒝ 外転筋の作用ベクトルと収縮方向
⒞ 超音波解剖で観察する外転時の静態
⒟ 超音波解剖で観察する外転時の動態
2)外旋
⒜ 外旋時の機能解剖
⒝ 外旋筋の作用ベクトルと収縮方向
⒞ 超音波解剖で観察する外旋時の静態
⒟ 超音波解剖で観察する外旋時の動態
3)内旋
⒜ 内旋時の機能解剖
⒝ 内旋筋の作用ベクトルと収縮方向
⒞ 超音波解剖で観察する内旋時の静態
⒟ 超音波解剖で観察する内旋時の動態
3章 運動療法による変化 肩関節に対する超音波解剖を用いたアプローチ
1.外転制限に対する超音波解剖を基にしたアプローチ
1)症例紹介
2)超音波画像による動態観察
3)超音波解剖を基にしたアプローチ
2.外旋制限に対する超音波解剖を基にしたアプローチ
1)症例紹介
2)超音波画像による動態観察
3)超音波解剖を基にしたアプローチ
3.内旋制限に対する超音波解剖を基にしたアプローチ
1)症例紹介
2)超音波画像による動態観察
3)超音波解剖を基にしたアプローチ
さいごに


はじめに


「自分が行った運動療法は“身体のどの組織に、どの程度深く”影響を与えたの か?」みなさんも一度は考えたことがないだろうか? 運動療法の対象となる運動器とは、身体運動に関わる骨、筋肉、関節、神経など の総称 1)である。セラピスト(*注1)は運動器、特に筋など軟部組織、関節に関する疾 患に対して、解剖学や運動学を基礎学問として理学所見、画像所見をもとに運動療 法を構築していく。その中で超音波画像は、これまで医師が診断を行う手段として 発展し、運動器、特に深部の関節、軟部組織の画像所見から疾患の有無を情報とし て提供してきた。 本稿の主たるテーマである運動器に対する超音波画像の応用とは、標的とする 筋、腱などを表層から深層まで重層的にイメージし、標的関節注1を正しい方向に 導くことである。 セラピストの臨床は、医師の診断に基づいて標的動作注1の問題点を類推し、問診、 視診、触診やMMT、ROMなど徒手検査を中心とした評価を実施することで成り 立ってきた。その中で生体内部の評価は、上述した従来の評価を総合的に統合し、 解釈した結果に対して治療アプローチを行ってきた。 当院では、この数年間にわたり医師の指示のもと臨床現場に超音波画像装置を導 入し、運動器に関する活用を行ってきた。臨床現場での活用は、医師がこれまで行っ てきた診断方法から「リスク管理」を学び、そこから『運動器の評価』への応用を 検討し、さらにセラピストが行う運動療法によって筋厚、羽状角、筋の収縮方向の 動的な変化を理解することで『運動が正しい方向へ導かれているか』を知ることに 重点を置いてきた。これらの作業を繰り返すことで、「自分が行った運動療法は“身 体のどの組織に、どの程度深く”影響を与えたのか?」という疑問を少しずつ解決 することができている。 導入当初は、もっとも基本的な要素である超音波画像の白と黒に見えるものは何 なのか、画像の限界について理解するのに苦労した。ゆえに本稿では先行研究を基 に画像の見方を記述した。さらに、超音波画像装置を用いた臨床評価およびセラピ ストの関与が生体に与える影響について活用法を解説する。


*注1 本稿では、セラピスト、 標的関節、標的動作を 以下のように定義して 用いる。 セラピスト:療法士を 含む運動療法に関わる 専門職種。 標的関節:運動療法に よる治療対象となる関 節。 標的動作:リハビリ テーション治療を用い ることで達成させたい 動作。 参考文献:長谷公隆: 運動学習理論の基づく リハビリテーション の実際, 医歯薬出版, pp2, 2008.


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