肩関節の評価と治療    千葉 慎一


目次

Ⅰ.はじめに
Ⅱ.肩関節の3つの安定化機構
1.第1の安定化機
2.第2の安定化機構
3.第3の安定化機構
Ⅲ.肩関節疾患に対する評価
1.問診 (何をするとき、どこが痛いのか?)
2.痛みの部位と再現性(どこが、どうすると痛いのか?)
3.機能評価(なぜ患部に負担がかかったのか?)
Ⅳ.治療方針の決定
Ⅴ.終わりに


Ⅰ.はじめに

肩関節の運動は、解剖学的関節である肩甲上腕関節・肩鎖関節・胸鎖関節と、機 能的関節である肩甲胸郭関節・第二肩関節などを含む肩関節複合体、および体幹・ 下肢などが共同して遂行される。そのため、肩関節は複数の関節が代償・補償し合 うことで、一部の関節に多少の機能障害が存在しても目的の運動を遂行することが 可能である。しかし、代償や補償による運動集中により、一部の関節に負担が増す ことで障害を招きやすい一面もある(図1)。

また、肩関節の運動に関わる肩関節複合体および体幹、下肢の機能的な繋がりは 図2に示すような階層構造をなしていると考えられる。したがって、肩関節運動 に関わる各関節は、それぞれの下層にあたる関節の機能がしっかりしていなければ 十分に機能することができない。例えば、腱板は全て肩甲骨から上腕骨に付着して いるため、肩甲骨が胸郭上に安定していなければその力を発揮することができな い。また、肩甲骨周囲筋は全て胸郭や脊柱に起始部を持つため、体幹が安定しなけ ればその力を発揮することができない。さらに、体幹・胸郭は骨盤を介して下肢の 上に存在するため、下肢機能がしっかりとしていなければ、体幹・胸郭もその機能 を十分に発揮することができないのである。つまり、土台がしっかりとしていなけ れば、その上に乗っている関節は安定した機能を発揮できないということであり、 肩甲上腕関節以外の機能障害が肩関節疾患を招く原因となり得るのである。

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肩関節の評価と治療    千葉 慎一

運動と医学の出版社

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