腰痛疾患の評価と運動療法

さとう整形外科 赤羽根 良和

目次

はじめに
1 章 解剖・機能解剖 
  1. 椎間板 
  2. 椎間関節 
  3. 脊髄神経後枝 
  4. 腰椎周囲の靭帯 
  5. 腰痛に関連する筋肉 
  6. 股関節周囲の筋肉 
2 章 評価方法 
  1. 問診 
  2. 触診 
  3. 徒手検査 
  4. X 線所見 
3 章 運動療法 
  1. 筋肉に対するリラクセーションとストレッチングの実施方法
  2. 靭帯のストレッチング 
  3. 腰椎前弯位獲得エクササイズ 
参考文献 


はじめに


いわゆる腰痛とは、ある特定の疾患名ではなく、腰部周辺の疼痛を愁訴とする全ての症状の総称である1)。腰痛を引き起こす病態は多岐にわたるが、運動器で扱う腰痛とは、腰椎構成体の器質的な要因である退行変性、疲労性、外傷性などに分類される。そのため臨床では、症状や所見などから腰痛を引き起こす病態を絞り込むことが、腰痛の原因を適切に見極めるための条件となる。

また、セラピストが腰痛を診断するためには、高い臨床能力が要求される。そのためには、解剖や機能解剖をイメージし理学所見や画像所見から過不足なく情報を読み取る作業が必要となる。さらに、得られた理学所見と画像所見がマッチングするかを検討することも忘れてはならない。これは、画像所見から得られた無症候性の所見を、病態と診断することを回避するためである。

つまり、セラピストには腰痛の病態を確実に絞り込む技術と、適切な治療を実施するための技術の双方が要求される。腰痛に対する治療方針は、基本的にはその他の関節痛と同じように捉えると理解しやすくなる。すなわち、安定した関節からは疼痛は認めないが、不安定な関節からは疼痛は認めることである。安定した関節は、スムースな軌道を描く関節と、椎体間固定術などで不動となった関節を意味する。不安定な関節は、生理的可動範囲を超越した関節と、拘縮や変性した関節支持組織により軽度な運動であっても不安定刺激を有する関節を意味する。

本稿では適切な腰痛治療を実施するために、最初に解剖や機能解剖について記述した。続いて、これらの知識を基本とした評価方法と、運動療法の実施方法について解説する。

この続きをみるには

この続き:19,859文字/画像33枚

腰痛疾患の評価と運動療法

運動と医学の出版社

1,500円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

5

体幹

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。