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【DaVinci Resolve Monthly SAMPLER Vol.1 】DaVinci Resolve プロダクトマネージャー ピーター氏を囲む会に参加!

【DaVinci Resolve Monthly SAMPLER Vol.1 】Exchange meeting with Peter Chamberlain

Blackmagic Design主催 DaVinci Resolve プロダクトマネージャー ピーター チェンバレン氏を囲む会に参加!Blackmagicでは今後こういった会を定期的に行うようです。

ピーター氏は5/22-23日に東京 秋葉原で開催されたAfter NAB Show期間中に来日。その合間を縫って日本のユーザーに向けたデモンストレーションです。

ピーター氏を囲む会

このミーティングは招待制。集まった面々はポストプロダクションのResolveユーザーやエンジニアといった方々です。

まずは冒頭「DaVinci Resolveのデモリール」

もはやグレーディングだけで無くVFXショットも盛りだくさん。もちろんハリウッドのメジャー級の映画も。

Co3(Company3)の担当するリールが多いように感じました。

Co3は古くからResolveを愛用するポスプロ。グレーディングに定評があり、多くのカラリストが在籍。日本ではデジタルガーデンと提携しリモートグレーディングなどを行なっています。

ピーター氏曰く「これはシンガポールバージョンですが来年は日本だけでこのようなリールを作りたいので、皆様是非ご協力ください!」との事。

ピーター チェンバレン氏はDaVinci Resolveのプロダクトマネージャー。

Blackmagic Desionに買収される以前のダヴィンチシステムズからトータル15年近くResolveに携わっています。その前職はエンジニアだったり現場ベースの方です。

複雑なDaVinciのシステムをまとめ、膨大なユーザーの声も真摯に聴いて答えてくれる御大です。

新機能の紹介

そんなピーター氏がResolve一押しの新機能を紹介。新機能だけで200個くらいあるので、もちろん時間内に全ては紹介しきれません…。

まずは「アップデートのチェック機能」

Davinci Resolveメニューからアップデートをチェックできます。

更新があればここからダウンロード可能。もちろん勝手にはインストールされず、自分のタイミングで好きな時にインストールできます。

カットページ

続いてカットページ。

編集のためのエディットページは以前からありましたが、機能を強化していくうちに年々複雑化。

エディットページを再デザインする事もできたそうですが、あえてページを分ける事を選択。

カットページの目的は「極力シンプルに。いかに速く編集するか。」

編集ページではタイムラインのズームやキーコンビネーションを使うケースが多く、これらの動作を単純化し、なるべく少ないキーで操作できるように開発されています。

2つのタイムラインは両方とも同じ。上は全体、下は再生ヘッド周辺を表示します。

上のタイムラインは動的に変化して全体を表示するので、ズームを使う必要がありません。

一番下のトラックは常にリップルモードで動作。クリップの追加や削除で全体の長さが変わり、その上のトラックはベーストラックを元に独立したクリップとして配置できます。Final Cut Pro Xの接続クリップのような感じです。

ビデオに付属したオーディオはビデオクリップと一緒に表示。音楽やナレーションはオーディオトラックとして別に配置できます。

トリムも簡単。

編集キーボードでは一番近い編集点を自動で選択。キーやダイヤルでクリップを長くしたり短くできます。タイムラインでも同様に操作可能。

マルチカムクリップの編集も簡単。

素材のタイムコードが同一だと、ベースのタイムラインに編集点を打たなくても編集可能。ソースにイン/アウト点を指定して「ソース上書き」ボタンを押すだけ。

同期再生しなければ、マルチカムクリップを作成する必要も無し。インサートショットを簡単に差し込みできます。

タイムラインの「ツール」メニューでサイズと位置を変えれば、すぐにピクチャインピクチャの出来上がり。

「ソーステープモード」を使うと大量にあるクリップを見つけるのも簡単。ビンの中のクリップを1本で表示します。ファストプレビューで長いクリップも素早く再生可能。

AIを使った効果

次はResolve ニューラルエンジンの紹介です。AIを使った顔認識を使いクリップを分析すると、人物ごとにフォルダ分けされます。

もう一つはオプチカルフローを使った速度変更。新しい「スピードワープ」が追加されました。

例えば、通常は25%の速度にすると3フレームは同じコマになります。その動かないコマを自動的に生成する機能。オプチカルフローは以前からありますが品質が向上しています。

ResolveFX

「オブジェクト削除」はいらないオブジェクトを消す機能。

カラーページでオブジェクトをウインドウで囲み追いかけ、別のノードにマスクとして入力してエフェクトを適用。

解析を実行した後にクリーンプレートを生成して削除するオブジェクトの穴を埋めます。

「アナログダメージ」は古いアナログテレビをシミュレートする効果です。プリセットで年代順に選ぶ事ができ、古いVHSがお気に入り。

他にも「カスタムタイムライン設定」でフレームレートの違うタイムラインが作成できたり「調整クリップ」で下のトラックにエフェクトやカラーの効果を適用できたりと便利な機能が山盛り。

Fusion

FusionはGPUで高速化。今までは一部OpenCLしか対応していませんでしたがMetal、OpenCL、Cudaに対応。3D系は今までの5-10倍高速になっています。

カラーページの新機能

新しい「GPUスコープ」が追加。以前のスコープより多くのオプションが使えます。カーブでもオーバーレイでヒストグラムを表示。

あまり知られていないのが、カラーページの「クリップ」ボタンの隣にある矢印!

これはフィルタリングのメニューです。使ってない人は是非使ってくださいとの事。選択できるフィルタリング項目も増えています。

ギャラリーもリストビューで表示可能に。

Fairlightの新機能

イマーシブオーディオや新しいサラウンドの対応が目玉。NHKの22.2chもサポート予定。

もう一つは「弾性波オーディオ」。ピッチを変えずに長さを調節します。ラウドネスは様々な国際基準に対応し、日本の基準もあります。

デリバーの新機能

他のページから直接書き出しできる「クイックエクスポート」を搭載。デリバーページでプリセットを作成できます。新しいコーデックも追加され、Panasonic SHV8KをサポートしてP2デッキで…。

その他新機能の詳細はこちらをご覧ください。


さて、お待ちかね「Q&A」の時間です。

Q. Fusionにはまだ足りない機能がたくさんあるが…。

FusionはResolveに統合されて1つのソフトウェアになったが、これは劇的な変化。従来のユーザーから見てソフトウェアの機能が足りない事は認識している。

統合された事で動画サイトには以前の100倍ものFusionの動画がアップロードされ、新しいユーザーが増えているのも事実。

私達にはどちらのユーザーも大切な存在。そのため単体のFusion Studio Betaもリリースした。

開発ではプライオリティをどこに置くかという課題があり、現状では「GPU最適化」がベストだという結論に達した。

実際には5人のエンジニアが18ヶ月前から取り組んできた。他の項目を優先すれば別の結果が得られたかもしれないが最優先課題としてあえて選択。徐々に対応できるようになるだろう。

新しいバージョンではビルトイン版と単体で同じコードで動くように設計したいと考えている。相互でバランスを取りながら開発していく。

Q. 過去のバージョンとのコンパチビリティ。機能は維持できる?

ACESを見てわかるように、現在は1.1のみをサポートしている。新しいバージョンでは、あえて古いテクノロジを使おうとは考えていない。

ACESの0.9を使いたいときはResolveの12.5をダウンロードして使う事になる。

ただし、必要な機能は互換性を保つために残している場合がある。(速度変更のモーション補間など)

Q. 古いOSで新しいソフトウェアを使いたい。(他のソフトやハードウェアで制限があるため)

常に最新のGPUテクノロジを使用するように設計しているので難しい。

Ver.16ではWindows 10、macOS High Sierra、CentOS 7 をサポート。これはGPUの技術的な制限とマザーボードの対応によるもの。

正式版のVer.16ではこれらのサポートは保証されるが、ドットバージョン以降は新しいGPUテクノロジの出現するタイミングによって、もしかしたらさらに上がるかもしれない。

Q.顔認識の精度ってどれくらいなの?

500ショットとかあると凄く時間がかかる。ビッグコンピュータで解析すれば速く正確に検出できるが、普段使うPCはラップトップとかなので最適化が必要。

開発では、その最適化のためアルゴリズムを書いて8週間かけて検証しての繰り返しの作業を行なっている。

現在は顔の前にiPhoneなどがある場合など一時的に見えなくなるときでも障害物を無視して認識するような設定を開発している。

時間はかかるが徐々に良くなるだろう。

Q. FairlightでNetflixのダイアログゲートに対応しているか?

まだ対応していないが、サポートする予定がある。

Q. EDLやAAFってカットページでは処理できないの?

EDLやAAFはエディットページを使用する。カットページとエディットページで開いているタイムラインは完全に同じなので読み書きの後にどちらのページで作業しても結果は同じ。

カットページは素早く編集するために追加されたページ。

Q. カットページのソーステープモードでスマートビンを使って並べたい

カットページは1月から開発を開始したので、まだ機能的には不十分。この状態でNABで発表するのか?という声もあったが、あえて発表して6ヶ月のベータテスト中にフィードバックを受けて完成させる。

そのため、先日リリースされたBeta3でもショートカットなどの機能が追加されている。

Q. Titan VとRTXのどちらがいいの?TensorFlowには対応してるの?

Tensor Flowにはすでに対応済み。単純なCudaのコアで見るとTitan Vの方が多いが、Titan VのGPUメモリーが12GBなのに対しRTXは倍の24GB。

DaVinci Resolve 16で出るGPUメモリーのエラーはこのメモリーの量に起因するので多い方が良い。

Titan Vの方がRTXより価格が高いので、コスト的にもRTXがオススメ。

Q. デリバー ページのネットワークの最適化って何?使うと落ちるんだけど。

デリバーページの「ネットワークの最適化」はMP4、Quicktime H264、VP9などで表示され、通常と違うやり方でデコードプロセスを行う。

メディアファイルを最適化して、ネットワークでダウンロードが完了する前に再生できるようにするもの。

ネットワークに接続したステーションなどで使うものなのであまり気にせず、通常はオフで構わないし気にする必要もない。

デリバーページでは再エンコードをバイパスする機能も追加され、今後も対応するコーデックを増やす予定。コーデック側がSDKを提供していれば。

Q. Frame.ioにレンダリングするとき「単一のメディア」しか選べないんだけど。

直接書き出しはできないが、Frame.ioに登録してログインした時にメディアファイルブラウザに現れるFrame.ioのボリュームに書き出せば良い。

このボリュームはFrame.ioのアカウントの最上位の階層でローカルディスクで指定した場所と同期する。

例えば、ResolveでFrame.ioのボリュームをメディアファイルブラウザ見るとプロキシデータでプレビューできる。

メディアプールに登録すると、オフラインメディアになるがネットワークで接続されている環境では自動でダウンロードして同期する。

Frame.ioの開発者によるとDaVinci Resolveとの連携が一番いいという。開発には2年半かかっている。

さらに追加情報!

Q WindowsのProRes出力ってできないの?

多くのユーザーが求めているのは理解している。Apple社と協議中。

Q ProRes RAWに対応してほしい

多くのユーザーが求めているのは理解している。Apple社と協議中(ニヤリ)。

Q マルチレイヤーOpenEXRの扱いについて

こちらの問題は把握している。徐々にサポートは広げていきたい。

Q Fusionページでタイムラインの下のレイヤーのクリップを参照したい

リクエストは理解できるが実装が難しい。今のFusionではビューワーに表示できるのはノードの内容だけで、そこにエディットページのタイムラインの他のクリップの情報を参照する機能はない。

カラーページのMix/Unmixボタンみたいにできればいいが、実装はそこまで簡単ではなさそう。

現時点ではFusionクリップを使ってほしい。

Q CIEスコープの表示枠を選べるようにしてほしい

CIEスコープはまだ導入されたばかりの機能で、今後機能が拡張される可能性がある。例えばオリジナルとグレード適用後の比較など。

現在はDaVinci YRGBの設定だとタイムラインカラースペース、DaVinci YRGB Color Managedの設定だと出力カラースペースでCIEスコープに表示される枠の指定ができる。

Q オーディオのリサンプル処理

96kHz、192kHzのハイレゾオーディオに今後対応予定。デリバーページでそれらを選択可能になる。

今年はベータが外れるのは7月ごろを予定しており、それまでにはこのハイレゾオーディオへの対応を実現できると考えている。

Q Fairlightページでのクロスフェードエフェクト

現在はFairlightページで、Editページのようなやり方で、
クロスフェードがかけらなれないが、今後実装予定。

Q プロジェクトマネージャーでのユーザー選択を復活してほしい

データベースでユーザーを新しくオプションは数年前に廃止したが、これはコラボレーション機能を実装するために不可欠だった。

あのオプションを戻すにはコラボレーション機能を捨てる必要があり、それはもうこの段階まで来てしまうと不可能である。

現在はOSのユーザーが異なれば、異なる状態でアプリケーションを使用できるので、出来るだけユーザーはOSレベルで分けてほしい。


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