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ヴィクトリア女王 〜最期の秘密〜

「ヴィクトリア女王 〜最期の秘密〜」を鑑賞してきました!
観てきた!じゃなくて、鑑賞と、きちんとした言葉を使いたくなる内容。

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これはまず第一に、晩年のヴィクトリア女王が、推しを見つけたーーっ!
わたしいま、生きてる…! っていうお話なのですよ。

在位50周年を迎え、式典続きで、もううんざり。この世はたいくつ、女王の重責に耐えてきたけれども、領土を拡大してきた大英帝国の君主として世界から憎まれてもいる。早くダーリン(アルバート公)迎えにきて…!状態で、周囲…特にバーティー(後のエドワード7世)も「母上はそろそろお迎えが近い…ウヒ」とかなっている頃。

ぐったりしていたヴィクトリア女王は、背が高くハンサムで、優しくサービス精神に溢れたインド青年アブドゥルと出会い、急速に輝き始めます。まさに推しの現場に生き生きと通う友人の輝きをロイヤル版にした状態。

あなたが女王様(68歳)だとして、突然松潤が(松潤でなくてもいいです)いきなりあなたの眼前にあらわれ、敬愛に満ちた表情でじっとあなたをみつめ、あなたのドレスのもすそにキスをしたら……

この場面、クイーンのトックン…という心臓のときめきの音が、聞こえましたよ。年齢は関係ない。いや年齢が高いからこそ、推しが必要。

持ち前の好奇心と活発さを取り戻した女王は、間もなくアブドゥルを、従者からインドについて学ぶ師匠に抜擢します。

彼からウルドゥー語(ヒンドゥ語の一種)を学び、ダンスをし、水を得た魚のようにぴちぴちしていく老女王さまの愛らしいこと魅力的なこと!

撮影はワイト島やウィンザーの宮殿で行われ、長い長い廊下を式典の広間まで、軍隊行進か?という人海戦術で料理を運ぶフットマンたちや、長い裳裾をひいた貴婦人たち、豪華な王室ライフのライブ感を堪能できます。

中でもワイト島での場面は、実際に女王が執務に使った部屋が使用され見応えがあります。

私も20年近く前にワイト島に行ったことがあります。当時、お城の内部は撮影禁止だったため、写真は外観のみですが、アルバート公が女王のために建てたイタリア風の明るくかわいらしいお城です。


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(「コルセットに翼」あとがきコミックより)


オズボーンハウスには、もちろん、アブドゥルの肖像画もありました。

〜が、当時はヴィクトリア女王が寵愛したインド人という程度の説明しかなありませんでしたし、その後ヴィクトリア女王について色々と調べた際も、アブドゥルの情報は得られなかったため、この映画は本当に新鮮なときめきと、初めて知ることの連続で(映画の冒頭で、ほぼ事実と解説があります)、なぜ!わたしは!こんな素敵な歴史を知らなかったの!?と、臍を噛んだのでした。

しかし、知らなかったのも当然で、アブドゥルについての英語での記録は、ほぼなくなっていて、残っていたのは、女王とアブドゥルによって、英国では他の誰も読めなかったウルドゥ語で書かれたものだけだったのです。それらが解読され、英国で出版されのは2010年のこと。

それをもとに今回の素晴らしい映画が作られました。

監督はスティーヴン・フリアーズ、「ヘンダーソン夫人の贈り物」や「マダム・フローレンス」「クィーン」(エリザベス女王)など名作を生み出した人。撮影監督は「英国王のスピーチ」などのダニー・コーエン。

主演は、もうこの人しか晩年のヴィクトリア女王を演じる方はいない…という、ジュディ・デンチです。

ヴィクトリア女王の晩年と、彼女を輝かせたアブドゥルの美しい物語を、ぜひご覧いただきたいなと思います。

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