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見渡す限りの卑怯者で見た百名ヒロキさんの話

2019/3/19(火) ~ 2019/3/24(日)
会場: あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター) 
[作・演出]古川貴義 
[出演]百名ヒロキ / 大森博史 / 伊達暁 / 永宝千晶 / 矢吹世奈 / 谷川聖 
※敬称略


※※※いつも以上に気持ち悪い内容となっております※※※




権田陽介きゅんと付き合いたい。

あ、いや、多分権田きゅんは普通の恋愛は出来ない人だと思うので、付き合うというよりも養いたい、あるいはお世話したい…?
精神的疾患があるというところを除けばどタイプ過ぎてしんどい。ううん、別に多重人格でもいいわ。そんなの大した問題じゃない。
もちろんあんな人はこの世にいないだろうし、もしいたとしても芸術を生業にしている人となんて出会う機会は無いんだけどね~
まぁ何というか、私が妄想する二次元的な好みのタイプそのまんまだったんですよ権田きゅんは…。

っていうか、百名さんいったいどうしたの…?
あの船が出航する前に興奮して走り回ってた14歳のベルボーイは。あるいは、無邪気で鈍感でちょっと頭の悪いお兄ちゃん大好きベル君は。
あるいはエロ動画見て勃起してた童貞玄野は。みんなみんなどこに行ってしまったんだ。

くっっっそエロかったんですけど(死)君はいったいどこから来たの!!!???
いやね、「エロい」という単語はあまり適切ではない。そういう俗っぽさとか、決して卑猥な感じではない。
静謐で透明で痛々しいのに性的な感じ??伝わる???
なんかフランス映画で性に未熟な美少年が醸し出す雰囲気みたいな???
あのお姉さんを後ろから抱きしめる場面、「かっこよかった!」「ヤバかった!」とかみんなそれっぽい感想を述べてたけど、
「非常に性的な感じがして興奮しましたしその先を想像しました」って正直に言おうよ。ねえ、言おうよ。
「もう疲れちゃった…」と甘えながらお姉さんの首元に腕を回し、その後お姉さんの腕の下からお腹に手を回し、そこで終わったけど、
あのまま服の裾に手を突っ込み始めるんじゃないかと思って、正直初日はヒヤヒヤしたわい。
そして毎回毎回あの場面は固唾を呑んで会場が静まり返るw

開幕前にこんなアホ予想をしていたけれども、本当に脱ぐ展開になったらどうしようかと。これあくまでネタですから。
何かの舞台でその方の推しが舞台上でラブシーン始めたことに発狂して途中退出したヲタクの方がいたらしいのですが、私はもしそんな場面があったら双眼鏡使って毎回じっくり観察しますけどもね。
しかしさすがに実のお姉さんと近親相姦の関係で、時と場所を選ばず首絞めながらのセックスが好きなんてそんなシチュエーション急に持って来られてもね?
ほら心の準備ってものがさ???

近親相姦て衝撃的な言葉だけど、卑猥・エロいというよりもなんだか痛々しいじゃないですか。
結婚は出来ないし当然子供も産むことは出来ないし、そもそも人間には本能的に近親相姦を避ける性質があるらしいのだが、その本能がかけるストッパーがおかしくなって姉と弟で愛し合うっていうのはさ、何か過去にその原因となるような事件が必ずあると思うんですよ。
よく漫画とかで、愛した人は実は腹違いのきょうだいでしたみたいなのあるけど、あの2人はおそらく両親とも同じ姉弟でしょう。
権田姉弟の場合、弟が22~25歳くらいで姉が25~28歳くらいだと思うんだけど、その若さで両親がどっちもいないということは、幼いうちに捨てられたのか、もしくは亡くなっているのか。亡くなっているのならば病死や事故死ではなく殺されたのかもしれない。
美月先生が坂東先生の人格にちょっと触れた時に、めちゃくちゃ拒否反応を起こしてたけど、おそらく権田きゅんは姉さん以外の女性には触れられたくないのだろう。
逆に姉さんは性に関しては奔放な感じがする。首を絞められるのが好きだから弟にお願いしたけど最初は断られた、ってことはその性的趣向は弟以外の男性との行為の中で発見したものだろうし。
いずれにしても過去の何らかの事件がきっかけで、あの姉弟はそういう関係になってしまった。

多分あの透明感と痛々しさのある性的な感じというのは演出家の方も狙ってたと思うし、百名さんはきちんとそれに応えてみせたんだと思っている。
あれが研究の末に醸し出されたものなのか、今まで隠していたものが引き出されたのかは分かりませんけどね???

ということで、推しがとてつもなくエロかった話はここまでにしておきます。

この舞台は色々な要素が盛りだくさんで、見る人によって何がひっかかるのかというところが全然違うと思う。
ただ見ているだけのクセに、あれこれ文句言う奴らを殺したいとか。あれは多分ツイッターを始めSNSに対する皮肉かな。
絵に対する正当な評価が貰えず、ただ消費されるだけとか。芸術=演劇と置き換えて、表現したいものと売れるものが違うというのはどうも演出家の方が過去に悩んでいたところらしい。
何が「正常」「異常」を決めるのかとか。治療の為に患者をこちらの型に押し込んでいいのかと悩む医者とか。
勝手に周りの目が気になってあれが出来ない・これが出来ないと言い訳するのは自分のせいじゃないのかとか。

私はとにかく、リアルに精神病患者である実の姉のことを思い出した。
権田きゅんが患者という設定なのに、あのお姉さん明らかにおかしかったじゃないですか。まるでAIロボットみたいに、無表情でしかし妙に明るく喋りまくるのがなんか怖い。
私の姉の病名は「非定型精神病」というらしい。興味ある人はググってください。躁鬱の躁の状態になった時の姉が、権田きゅんの姉さんのあの感じと似ていて。外見も若い頃の姉と少し似ていたし。
きちがい、という言葉は差別用語として使わないというのが常識らしいのですが、まぁ言い換えても頭がおかしいってことなので。
姉が発病したのが16歳で、私はまだ9歳だった。
私は病気とは関係なく、姉のことが心底嫌いで。多分世界で1番嫌いな人間なのですが。なぜそうなったかを説明すると長くなるので割愛しますが、
何か様子が変だと思っているうちに行方不明になって、警察に保護されてその後すぐに精神科へ入院した。

まぁ色んな治療法あると思うんですけど、ガチな病気の場合薬は必須ですよ。タマちゃんの言うこと正しいと思う。夜寝ないで喋りまくる頭のおかしい人をおとなしくさせる為には、強い安定剤と睡眠薬が必要だしさ。
で、その手の病気は結局完治?はしないらしくて、数年おきに入院と退院を繰り返して、結局今は障害年金をもらって母親の退職金を食いつぶして働かずにダラダラと暮らしているはず。もう何年も会っていないので今の詳しいことは知らないけど。
これ舞台と何も関係ない話ですねwでもそういう思い出したくないことを思い出させられたということで。

最後にこちらがお姉さんだと思っていた人が実は権田きゅんが生み出したもう1人の人格だと分かった時に、え、じゃあお姉さんて権田きゅんの妄想が生み出した人で実在しなかったの?だからあんなにロボットみたいだったの?と思ったけどさすがにそれは無いかなと思い直して。
じゃあ物語冒頭で投げかけられる謎の答えとして、権田きゅんが首を絞めた人はお姉さんで、殺してしまったの…?だから自分で代わりにお姉さんの人格を生み出したのかと次に思ったけど、それも違うかなと。
それだと途中で権田姉弟の特殊な性的趣向が明かされた時に、すぐにピンと来てしまうのでなんだか安直だし、そもそも医者とお姉さんの会話は明らかに多重人格を相手にしたものではないことがあった。
少なくとも「弟さんとお会いになってみませんか?」と言われた時の姉さんは本当の姉さんだったはず。
なので、あのお姉さんは実体のお姉さんと権田きゅんが生み出した人格のお姉さんが両方いたのでは、と最終的には思いました。

他にも、ラストシーンの人格のお姉さんが「この体が私だけのものになるならそれもいいと思ったけど、まさか殺されちゃうなんて」という気になる台詞を言っていたけど、冒頭のお姉さんは言っていないし。
どうもこの演出家さんは見ている側の心理の逆側を突くのが好きらしいので。
看護師だと思っていた女性は患者だった
乱暴な人だと思っていた院長は優秀な医者だった
お姉さん・坂東先生だと思っていた人は多重人格のうちの1人だった
ならば
多重人格のうちの1人だったと思った姉さんは実は本当に姉さんだった
実体の姉さんの首を絞めたと思ったら実は人格の姉さん、つまり自分の首を絞めていた
お姉さんは医者に対して怒っていると思ったら実は弟が離れて行ったのが寂しくて八つ当たりしているだけだった
絶望的な終わり方だと思ったら実は希望を持たせるものだった
というのもアリかな~と。
まぁこのへん正解は分かりませんので妄想ですが。

ちなみに、この「見渡す限りの卑怯者」というタイトル。
卑怯者はいったい誰なのか…と探してみても、登場人物には特にいない気がするんですよ。
権田きゅんは心が弱いしちょっと子供っぽいけど、別に卑怯ではない。お姉さんも性的趣向は変わってるし確かに頭は足りないっぽいけど、むしろ正直に生きてる人だと思う。
坂東先生は人格の1人だし、恵村さんは患者さん。
美月先生はやる気が空回りしているけど信念はきちんとあるっぽいし、タマちゃんは言葉は乱暴でも医者としては優秀で、絵筆を持って錯乱している権田きゅんを抱きしめてやるところなんかは慈愛を感じるし。
てことは。
最後の権田きゅんからの一言「何見てんだよ」から推測するに、見渡す限りの~とは客席のこと。つまり客席とは世間のこと。かな。
人間はみんな卑怯ってことで。

他に気になったところ。
百名さんの冒頭の出番はいきなりコンテンポラリーダンス。ジェットラグ公式が思わせぶりに匂わせていたのはこれだったのかとw
確かに毎回動きは違ったようだけど、最後に坂東先生の後ろで両手に玉を持ったみたいな感じで高く掲げるポーズで終わるのは毎回同じだった。
あととにかく表情が必死に何かをもがいている感じだった。だからやっぱり権田きゅんの人格は死んではいないと思う。
この時にかかるBGMが好き。曲はこの1曲だけでこの後も何度か出て来るけど、歌詞は無いのに不思議と耳に残る。
実はコンテンポラリーダンスの明確な定義はよく分からないのだけどw、素人が見ても百名さんの体の動きというのは本当に凄いと思うので、初めて見た人がまずダンスの感想を口にするのも当然かなと。それだけ突出した武器があるということは良いことです。
こういう曲に合わせて踊るというよりも、表現の1つとして体を使うというのはこれからもまた見たいですね。
力強くて美しかった。

黙っている時の顔の良さ。
序盤で坂東先生と奥さんが過去の振り返り芝居をしている時の権田きゅんは、無表情にじっとそれを見ているのだけれども、その感情の無い顔がめちゃくちゃいい。
あとは、終盤の見せ場で恵村さんが発狂しているところ。その時の権田きゅんも黙ってその様子を見ているけれども、今度は序盤のような無表情ではなく、心配するような、痛々しいものを見るような、憐れむような顔で。
その物憂げな顔がまた素晴らしく良い。千秋楽は双眼鏡使って目が乾くほどじっと見つめてやった。
本人もこの作品が好きだと言っていたが、あの表情からしても上手く入り込んで演じているのだろうなぁと。
というか、演じるとか役を生きるとかもはやそういうレベルじゃなくない…?
私は権田陽介きゅんの半分くらいは百名ヒロキそのままではないかと思ったよ。
魂の在り方が同じというかさ。

実は最初にこの仕事が発表された時、正直不安だった。
同じジェットラグ主催の終わらない世界がイマイチよく分からないお話だったし…、純朴なトモルくんのかわいさと大和悠河さんの美しさ、女でも見惚れるくらいセクシーな美脚しか記憶に無いもんw
それに主演はまだ早いのではないかと。
GANTZの主演はジャニーズ辞めたばかりで話題性があったし、勢いで任された感じがあって。もちろん勢いだけじゃなくて、そういう器であることを
期待されたんだろうし、それは光栄なことだと思いますが。
ただ色々見れば見るほど、俳優としてはまだまだなんだろうなというのはこちらも分かるし。
何となくお金になりそうだと思われて、これくらいの小劇場なら…ってことでチャチャッと使い捨てにされるような感じだったらどうしようかと。

また主催の対応が何とも微妙でw
ほんとにね~、ツイッターとか使うなら、しっかりビジネスとして運用して頂かないと困りますね。
見に来るのは演者のファンが多いとは言え、普通に演劇が好きな人だって来るし、お友達じゃないんです。
途中で観劇マナーの問題があって、客のマナーが悪いと作品の価値を下げると言われてたけど、主催者がどういう運営したかっていうのもその作品のイメージに直結しますよ。
あ、この文句は権田きゅんがお怒りだった「見ているだけの奴」にはあてはまりません。
だって私チケット買ったお客だもん。傍観者じゃない、当事者ですし。
私はやはり推しに早く出世して、もっと大きなところが主催する舞台に出れるようになって欲しい。
使い捨てにされるような感じではなかったし、推しが気に入られて大事にされていそうな感じはしたけど、やはり運営についての問題って大手だったら発生しないもん。それってすごく余計なものだしさ。

とは言うものの。
作品自体はとても良かったし、さすが再演するだけあるなと。いつもより抑えめに買って、トークショーの分を後から追加したりしたけれども。
今回も百名さんはこちらの期待を裏切らなかった、というか、良い意味で裏切ってくれた。
後ろの空席を見るのは心が痛かったけどね^^;まぁ仕方ない。
集客力をもっとつけなきゃね、と思ったけど、あの内容の舞台にあまり今をときめく華々しいスターとかは起用しづらいと思うし。
今しか出来ない役だったかもしれない。

権田陽介きゅんがもしも実在して、私の身近にいたら。
貯金とか保険を解約して彼を養う為に全財産捧げて、家族も友人も捨てて世間からドロップアウトして、姉代わりでも恋人でも友人でもない不可思議な関係を続けているうちに権田きゅんの容態が回復して行って。
いつか普通に彼が社会と折り合いをつけて生きれるようになって、彼女が出来たりして、
やがて私は捨てられて廃人になって死ぬ運命だったかもしれない…!
だから実在しない人で良かった!


あーーーーーあの透明でしかし性的で恐ろしいほどに美しい権田きゅんは実在しないのかーーーーー(大の字)


#百名ヒロキ #見渡す限りの卑怯者 #沼の底で溺死したので自力で浮上出来ません

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