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マタ・ハリで見た百名ヒロキさんの話

<大阪公演> 梅田芸術劇場メインホール
2018/1/21(日) ~ 2018/1/28(日)
<東京公演> 東京国際フォーラムホールC
2018/2/3(土) ~ 2018/2/18(日)
作曲:フランク・ワイルドホーン
訳詞・翻訳・演出:石丸さち子
出演:柚希礼音 加藤和樹
佐藤隆紀(LE VELVETS) 東啓介/西川大貴 百名ヒロキ(東京のみ)/
栗原英雄/和音美桜/福井晶一 ほか
※敬称略

今更ながら。
私含めみんなもう遠い記憶になりつつあるんじゃないかと思うんだけど、実はこれ、今年の話なんですよね。だから2018年のうちに書いておかないとと思って。
マタ・ハリでの思い出&いわゆる沼落ちブログってやつです。
沼落ちブログと言う割に、またキツいことばっかり書いてしまいますのでもし万が一これを見つけても百名さんご本人は見ないでね~!w多分これ、古傷の記憶だろうし。
しっかしこれを書くために日程とかキャストとかの文字情報をコピペで持って来たけど、よくこの中に入れた…というか、改めて石丸さんの無茶ぶり凄いなwww
もちろんジャニーズ退所したばっかりで話題性あったし、集客力期待されてたのが大きいと思うんだけど。

演劇の世界は申し込みが早いし、100naさんで申し込んだ時には私はまだ彼の俳優としての姿を見たことがなくって、とりあえずトークショーの日1回だけだった。
ところが、GANTZで予想以上にしっかりした座長姿を見せてくれたし、演技も他の俳優さんと比べても結構いいんじゃない?と思ったこともあってこの時沼の淵に足をかけていた感じはあった。
とりあえず百名さん的初日の日をプレガで買って、千秋楽の日も譲って頂いた。あと、ダブルキャストと言うと比較されてアレコレ言われてしまうのではないか?という心配もあって、勉強の為に西川ピエールの回をまず1回見に行った。
結果ピエールとしての出番はそう多くないのでおそらく大丈夫だろう、とその時は思っていた(今思えばこれは甘い考えだったのだが)
マタ・ハリは音楽がとてもかっこよくて好きな感じで、暗い話なのになぜか爽やかな気分で最後終われる、とてもいい作品だなと思った。

GANTZが終わった後、百名さんは全くネットに姿を現さなかった。ブログも、ツイッターも。たった一言頑張ります、も言えないくらいに追い詰められていたのだろうなぁ。
百名さん的初日の幕が開く数時間前、共演者の石井マサトゥさんが写真を上げてくれた。その時はもの凄く素敵だと思ったし、わー!フランス人ぽい!と思ってテンション上がったけど、よくよく見ればこの写真、顔面蒼白ではないか^^;

いよいよ自分がステージに立つ訳でも無いのに胃を痛くしながらマタ・ハリの幕が…、私が沼に転がり落ちる為の扉が…、開いた。

不覚にも、1曲目の「生きろ」で途中まで百名さんを見つけられなかったw
友達から西川先生の出番を元に出て来る位置を聞いていたのだけどそれがどうやら間違っていて、照明暗かったし、私はB席から双眼鏡を覗いていたので。
何とか途中で見つけたのだけれど、うん。もうなんかそこにいるだけで凄いなと思ったし、私も決して観劇慣れしている訳ではなかったので、フルオーケストラと合唱の迫力に圧倒されていた。
この曲、ワンフレーズだけソロもあったけど、初回は見失っていたこともあってどこを歌ったのか分からなかった。

その後、アンサンブルとしてちょこちょこ姿を現し、いよいよ1番大事なピエールの場面。
正直に、覚えている記憶を書きますとね。
台詞の一部、それから「英雄の歌」ソロ部分。あまり聞こえなかった。マイクを通しても、彼の声は3階B席までは届いてこなかった。
「綱渡りの命」でも芝居歌のソロがあったけど、これもほぼオケにかき消されていた。歌が上手い・下手とか語れるレベルではなかった。だって聞こえないんだもの、評価のしようが無かった。
後で他の方の感想も見たけれど、凄く良かった!と褒めるばかりで、私は自分の感想とあまりに乖離していることにどうしても首をかしげてしまった。
まずどこの座席で見たのかという違いがあって、それとは別に、
長年ジュニアとしての彼の姿を見て来た人と、俳優になってからの姿しか知らない人は当然視点が違うのだし、当時グループとしても決して推されているわけでもなくその中でもさらに後列にいて、きっと当時の担当だった方は歯がゆい思いをずっとして来たのだから、ああやって大きなステージで目立つ役が貰えるというだけで凄く嬉しかったんだろうなと。

ただ、歌は大問題でも、彼の見た目の美しさ・透明感・異世界から舞い降りた妖精のような浮世離れした感じ、についてはもの凄く目立っていたし、不思議な輝きがあった。
今思えば、あれはまだ彼が俳優としての身の置きどころが分からず『浮いていた』だけなのかもしれないし、年齢が若いせいもあったと思うが、アンサンブルの1人として並んだ時にとにかくステージ上で圧倒的に美しい青年であることには間違いなかった。

公演終了後、別の席で見ていた友達と合流した時、「何で笑ってるのw」と指摘された。私はなぜか1人でニヤついていた、言い方を変えると自然と百名さんのことを考えると顔がほころんでしまうというか。
そう、見た目が綺麗なだけで歌は素人と一緒レベルの、あの時の百名ヒロキさんに私は落ちた。
結局落ちた理由は何だったのか、自分でもよく分からなかった。ただ、この人が成長する過程を見てみたいと思ったのは確かだと思う。
そもそも、あのラスト帝劇で彼の姿を見つけた時から実はもう落ちていたのかもしれない。命の炎が燃える輝きが見える…そう思った時から。
マタ・ハリで見た彼の姿は見た目こそ美しいものの、あまりに頼りなくてかつて見た炎は見えなかったが、だからこそこのままで終わる訳が無いとも思えた。あの帝劇で見た輝きは絶対に本物だったから。
私は一応人を見る目というのはあるつもりだし、だからこそ2005年から藤ヶ谷担なんて名乗っていたのだしw

マタ・ハリという作品・楽曲がとても私好みであったことや、とんちゃんさんの歌が素晴らしかったことなども手伝って、それから時間の許す限り・チケットが見つかる限り劇場に通うことになった。初演の演目はミュヲタの皆さんもみんな様子見しつつチケットを買うようで、東京公演開幕したばかりの頃はまだ結構プレガにも残っていた。その後は当時の勤務先のすぐ近くで譲り先を探しているおじさまに出会ったり、当日券に並んでみたりして。
沼に落ちた以上は当然もっと近くから見たい欲が出て来るので、3階前方のA席、2階、1階といろんな場所から見た。
2階・1階であれば百名さんの歌も聴こえた。聴こえたが、その分どれだけやばいのかということを痛感したw
マタ・ハリより前に「終わらない世界」でも一応彼の歌は聴いていたが、あれと1000人クラスの会場&フルオケで歌うグランドミュージカルでは全く求められるレベルが違うというくらいのことは分かる。そもそも終わらない世界の歌だって決して上手くは無かった。踊りながら歌うような曲調だったので、動きによって何となくかっこいい感じにはなっていたと思うけど。
気になって、ジャニヲタでない人の感想も調べてみた。皆、言及するのは演技のことだけで歌について触れている人は全くいなかった。
そもそも彼がジャニーズ出身であることを知っている人は少なく、「あぁジャニーズだったの…(含み)」みたいな目で見ている人はいなかったが、それにしてもあの時の彼の歌は触れちゃいけないレベルだったということだろう。

やはり辞めジュからミュージカルなんて無理があったのでは…そもそも石丸さんはなぜこんなでかい作品にいきなり彼を起用したのか…?このままでは生き残れない…いくら顔が綺麗でもそれは若いうちだけだし…とか、勝手に心配して青くなっていた。
ただ百名さんの歌は、確かに少しずつ少しずつ牛歩のようにゆっくりと進化はしていた。声量は足りなかったが、少なくとも音程については段々と改善して行った。
途中で休演日があってそこで久しぶりにブログも更新されたりして。特に、その休演日明けてから4日間の最後の追い上げは目を見張るものがあった。おそらく1日休みが入ったことで力が抜けたのか。あるいはGANTZと並行で稽古するという無茶なスケジュールのおかげで単純に時間も足りなかったのだろう。
演技も最初は膝をついて弱弱しく泣きそうなピエールだったのに、やがて西川先生が演じていたような、ちゃんと兵隊らしい愛国心もありつつでも死ぬのが怖いと葛藤する感じに変わって行った。
歌は確か、前楽の日の昼あたりでこれなら大丈夫!と思えるくらいになっていた。

いよいよ千秋楽。百名さんは全てにおいて調子が良く、今までの最高の仕上がりだったwもうこの頃から千秋楽補正はありましたね。カーテンコールでは私服のままステージに登場した西川先生とWピエールでおどけてみせたりもした。
私が1番グッと来たのは、最後の最後に捌けて行く時、きっと色々お世話してくれたのであろう石井マサトゥさんが、百名さんの肩を抱いてポンポンしてくれたこと。「よく頑張った、お疲れ」という声が聞こえた気がしたよ。

かくして沼にドボンした私は、彼の過去のブログや、見ていなかったボクハレや終わらない世界の頃の取材記事、あるいはドリグレやアンダースタディのパンフなんかも手に入れて読み漁った。
全部は無理でも、多少昔のことも知っていた方がいいだろうと思って応援屋やPZのDVDを買ってみたり。私が沼に落ちて行く様子をニヤニヤしながら見守っていた友達は、まだHDDに残っていた分の過去の少クラ映像をダビングしてくれた。
沼というのはですね、いつどこにあるかも分からないし、落ちる時は勝手に落ちるんですよ。

勝手に自分で落ちた私を、百名さんはさらに沼の奥深くまで沈めにかかって来た。あの伝説のwマタハリの後しばらく経ってから書かれた超ネガティブなブログ!!!

今改めて読み返してみて、ネガティブだけどパワーには溢れていて。
自分の不甲斐なさや悔しさ、単純になんでこんなスケジュールやねん!みたいな八つ当たりも含めて、とにかく勢いが凄い。
私はこれを読んでさらに推す気持ちになった。こんなエネルギーを持っている人ならと。

そして今、2018年の年末。マタ・ハリの後、不徳の伴侶・宝塚BOYS・タイタニック・ダブルフラットとさらに4つの公演を終えて。
ダブルフラットの感想はもちろんまた後で書きますが。
私は。
百名ヒロキはやがて大スターになると確信しました
いや、とりあえずそれは置いといて、それとは関係無く。
残りの私の人生、全て彼に捧げてもいいくらいの気分。

……嘘です。そんなことを軽率に口にしてはいけない。
出来ない約束はしない主義。そしてヲタクは永遠ではない。現実世界は推しへの愛だけで生きて行ける訳ではないから。

とんちゃんさん主演の5DAYSでトークショーゲストに呼ばれた時のことを思い出す。まだ若く、ある意味少し気遣いが足りないとも思われるがw、その分素直な感想を伝えてくれたとんちゃんさん。
「あの時のヒロキくんは、本当に線が細くてですね~。消えてしまいそうで守ってあげたくなる感じだったんです」
今なら分かる。線が細いというのは、身体の線のことではなかった。痩せているとか筋肉が足りないとかそんな話ではない。
線というのはおそらく、俳優としての輪郭のようなもの。
あの頃の百名さんは本当に消えそうな輪郭をしていた。何かの拍子にフッと消えてしまうんじゃないかというような。だから浮世離れして、現実味の無い存在に見えたんだろう。
今の百名さんは。

…うん。ちゃんと生きてる。そこに存在している。実体を持って、骨と筋肉があって脈々と血が流れている。
あぁ、生きてるわ!!!
私がいつかの帝劇で見た、命の炎が燃える輝きがちゃんと見えるよ。
消えそうだった輪郭をはっきりとした線にして。
まだまだ先は長いけど、私には百名ヒロキ第二章がスタートした感じがするよ。
おめでとう。また新しく生まれたね。

#百名ヒロキ #マタハリ #沼の向こう側


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