【note毎日更新チャレンジ17日目】探し物は無いですか稲川語り
どうにも物がなくなってしまうことってありますよね?
探せども、探せども、どーにも、見つからない。これは神隠しにあってるんじゃないかって思うんです。
あれはー・・・私が学生時代、就職活動のころの話なんですけどね?
ワンルームのちーさい部屋ですよ、そこで一人暮らししていたんだ。
その日は、風が強かったなぁ。ビュー、ビューと風の音がなり、窓ガラスもガタガタガタガタとなってる。
そんなに新しくないアパートですからね、えぇ。夕暮れ時になり、子供達の声も、車の音も聞こえなくなる。聞こえるのはビューという風の音だけですよ。
それがどことなくもの寂しげな雰囲気なんですねぇ。
不思議な事が起こるのは決まってこういう時なんです。
っでー、あたしは、その日Yシャツをたくさん干していた。就職活動中ですからね、ええ。窓のガタガタという音でふっと気づいた。
いけない、Yシャツが飛んでしまう。ガタガタなる窓をツーッと開けると案の定、物干し竿ごと洗濯物が落ちてたんだ。
何だよー、また洗濯しなおしかよーなんて落ち込みつつ物干し竿を戻したんですがね?
ないんだ。
Yシャツがない!
落ちた洗濯物を1枚、2枚と数えてみても数がたりない。
あー、これはアパートの外へ落ちたかなぁ、なんてみて眺めるが、どーにも見当たらない。
仕方がないので、外へ出ることにしたんだ。扉のギィィィィという音がいやに耳に残った。
辺りは薄暗くて嫌ーな雰囲気ですよ。目の前の空き地を「ずっずっ」って歩きながらですね?
そういえばこの間子供の誘拐事件があったなぁ。嫌だなぁ・・・怖いなぁ・・・なんて思って探してたんだ。
そこでー、もう腐葉土に近い枯葉が溜まってるところで発見したので、埋もれてやないかと漁ってみた。
がさっ、がさっ、がさっ、何かある。
ごそっ!と取り出してみると
うぅぅぅわっ!!
下着だ。女性用下着が3、4枚も出てきたんだ。
えぇ、ブラジャーですよ。
これに気づいた時あたしは、ぞーーーーっ てしましてね。
いけない。これはいけない。
あたしは子供の頃かどーいうわけか親にも犯罪者の目つきをしてるといわれてましてね、ええ。
こんなところを見られては生きては帰れないぞっとなりまして、ナンマンダブナンマンダブ助けてくだせぇ助けてくだせぇって、ブラジャーを元に戻したんだ。
もうダメだ、早くここを去らなきゃいけない。心の中ではそう思ったんですけどね、私の意思とは関係なくYシャツを探してしまうんだ。
あたりはどんどん暗くなりもう夜になった。しーんと静まり返り気づいたら風も止んでいる。
この時、あたしは帰っていればよかったんだなぁ。
・・・
突然「こんにちは。」 って声が聞こえた。
おかしい、この空き地に人なんているはずがない。
「こんちには。」
ああ、警備員の霊だ。これは誰にも見つけられなかったブラジャーが警備員の霊を呼び寄せたんだって思いましたね。
それに気づいた瞬間冷汗がぶわーーーっと出ましてね?
胸がぐーーーっ締め付けれ、呼吸が苦しくなる。はぁーはぁーはぁー。
心の中ではナンマンダブナンマンダブ。許してくだせぇブラジャーは埋葬しました。ナンマンダブナンマンダブ。
もうあたしは「こんにちは。」って返すのが精いっぱいだった。んでー、意識が遠くなってふっと気が付くと・・・警備員がいなくなっていた。
危ない、もうダメだ、こんなところにいてはいけない。重い体を引きずって部屋へ帰ったんだ。
部屋に戻って、水を飲むと呼吸も落ち着いてきた。さぁ、どうしようか、Yシャツが無ければ就活ができない。あー、弱ったなぁ、参ったなぁなんて思ってたんだ。
もう一度ベランダに出て、よく見てみる。あれ?何かおかしいぞ? 何か違和感を感じるんです。
そうだ、室外機の裏を探してないんだ。
いや、もしかしたらあたしは無意識に探してなかったのかもしれない。
あんなことがあった後に、室外機の裏を探すなんて普通は考えられないですよ?でも、不思議とあたしの腕は室外機の裏に手を伸ばしてたんだ。
がさっ、がさぁっ、確かな手ごたえのあと、思い切ってその服を出したんです。
Yシャツだった。何だ、こんなところにあったのか、私はほっとしましてね。もう一枚もあるのかなぁーと奥の服を取り出した瞬間
ぎゃああああああああああああああああ!
違う!これはYシャツじゃない。
どす黒い緑色のポロシャツだ!!!
きっとあたしの住んでた部屋で若いカップルが心中したんでしょうね・・・そんな不幸な霊が助けを求め警備員の霊も呼び寄せたのでしょう。こういうことってあるんですね。
というわけで、今年も9月に稲川淳二ライブに行ってきます。ちなみに霊うんぬん以外は実話です。外でブラジャー拾ってたらそれは見回りの警備員さんは声かけますよね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?