【書籍紹介】本を出したい 佐藤友美 箸
「ライティング系でお薦め本を紹介して欲しい」と言われたら、以下の2冊を紹介します。
1.考える技術・書く技術 問題解決力を伸ばすピラミッド原則:バーバラミント箸
「ピラミッドストラクチャー」という手法で伝達内容を構造化することで、わかりやすい文章となる。文章術というより、その上流工程であるロジカルシンキングに着目した著作。古典的名著ですが、翻訳本なので若干読みにくいところが難点。
2.書く仕事がしたい:佐藤友美 箸
いわゆる「文章の書き方」を指南したものではなく、ライターとはどういう仕事で、どういう能力や準備が必要で、どうすればライターになれて、どのくらい稼げるのかを解説した書籍。
以前、私のnoteでも紹介しています。
今回ご紹介する「本を出したい」は、「書く仕事がしたい」の続編的な位置づけ。ライターのなり方はわかった、では、どうしたら実際に本が出せるのか?を解説しています。
本書では、以下の疑問が解決します。
そもそも誰が本の企画を考えているのか
誰がOKすれば本が出るのか
本を出せる人と出せない人は何が違うのか
本が出るまでにはどんなプロセスがあり、どれくらい時間がかかるのか
著者の仕事範囲はどこまでなのか
印税はいくらもらえるのか
売れる本と売れない本の違いは何なのか
本が出たあとに、何をすればいいのか
「自分の名刺代わりに本を出したい」という話をよく聞きますが、そういう人は商業出版ではなく、自費出版(キンドル等)でもしたら良いと戒めています。
■本になるのは「著者主導」か「テーマ主導」のどちらか
旬な人、例えば大谷翔平選手の書籍であれば、発売前から一定数売れることが見込めます。
一方、一般の人は、そうはいきません。「テーマ主導」で時流に乗って、世の中に求められているテーマに対し、独自価値を提供することで書籍化を狙うことになります。
出版社がテーマ軸で企画を考えた際、その分野の専門家として「発見される」ことが重要。業界での評判や、ブログ・SNS等での発信等。インタビュー記事や講演なども出版社の目に留まりやすい。
タグがしっかりついている人は。自ら売り込まなくても編集者から見つけてもらえる。
■出版社から声が掛かる人
① その人の文章にファンが多くついている場合
② 課題解決のメソッドが斬新で、かつ再現性が高そうな場合
③ その人のプロフィールが課題解決する人として最適な場合
■本を出せる人
①その課題を抱えている人がたくさんいて
②その解決法がこれまでなかった新しい解決法で
③誰でもできる再現性の高い方法
逆に、課題を抱えている人が少なくてニッチすぎる。誰もがすでに知っている解決法であったり、一部の選ばれし者にしか実行できない解決法の場合、出版には至りません。
■伝えたいことを格言にする気持ちで書く
端的でインパクトのある短い文章、まさに「格言」に整理して、ストックを持っておく。著者の処女作を例にすると以下の通り。
シャンプーで髪を洗ってはいけない
毛先の10cmより、前髪の1cm
帰国子女は飲み会で3回髪型を変える
髪には賞味期限がある
女性の知性は後頭部に宿る
■出版社との接点の作り方
単に出版社・編集者に見つけてもらうのを待つだけでなく、自らアプローチする方法も紹介されています。
①ツテ(知り合いの著者等)で編集者と繋がる
②出版社に企画書を送る
③出版スクールからデビューする
⓸出版プロデューサーに依頼する
①はそもそも周りにそういう人が居ない。また、紹介者の信用に関わるので、紹介者のお眼鏡にかなわなければ紹介してもらえない。②は成功事例はあるにはあるが、かなり確率は低い。
③⓸は、お金がかかるというのと、自分に合うスクールやプロデューサーを見つける難易度が高い。
等が障壁となります。
■企画書に必要な要素/企画書例
出版が叶うかどうかは企画書次第。更に、企画書は2つのハードルをクリアする必要があります。
①編集者に興味を持ってもらい、企画会議にかけてもらえること。
②出版社の企画会議を通り、出版を認めてもらうこと。
本書では、企画書に必要な項目や、実際に著者が書いた企画書例も紹介されています。
更に、著者が提出した企画書を編集者がリライトし、実際に企画会議に出した企画書も掲載。これは、かなり貴重ではないでしょうか?
■企画の切り口
① 「自分が日本で一番」と言える市場まで課題のサイズ感を下げる 。
② すでに類書がある市場に斬新な課題解決法を投下する。
③ まだ書かれていないジャンルを開拓する。
③に関しては「ニーズがないから書かれていない」可能性も大きいので、①と②が主流。
■本を書く醍醐味
これ以外にも、装丁の話、プレマーケティングの話、発売後の販促の話、印税の話(含むブックライターとの配分の仕方)等、興味深い話が盛りだくさん。
出版、特に商業出版を目指している方は、是非、「書く仕事がしたい」を読んだ後に、「本を出したい」を読み、実際に出版企画書を書いてみることをお勧めします。
私の塾生にも商業出版希望者が居るので、本書をテキストにして、企画書をブラッシュアップしていきたいと思います。
いつもお読み頂きありがとうございます。サポート励みになります。皆さまとの交流をどんどん広げていければと思います。