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【書籍紹介】ファンを作る力 デジタルで仕組み化できる2年で25倍増の顧客分析マーケティング<前編>

プロバスケットボールの川崎ブレーブスサンダースの事業責任者に就任されたDNA藤掛直人氏による書籍。

DNA時代の経験を活かし、デジタルスキルを駆使して顧客増、収益増、ファン化促進を実現。課題分析から、戦略立案、アクションプランの詳細まで、わかりやすく解説されています。

具体的なSNSの使い分け、KPIの置き方、モニターの仕方から、NFTの取り組みまで余すことなく開陳。

スポーツマーケティング従事者の方は必読。スポーツマーケティングのみならず、ファンマーケティングに携わっている方全般に役立つこと間違いなしです。

■ファンの定義

ブランドやプロダクトの個性を支持し、意識的にリピートし続けてくれる人。

■ファンづくりの3箇条

  • 個性の定義と体現

  • 体験価値の最大化

  • 体験人数の増加

■スポーツビジネスの4大収入源

  • チケット収入

  • スポンサー収入

  • グッズ飲食収入

  • 放映権収入

■来場者数を増やすことがキードライバー

スポーツビジネスでは常識。来場者数が増えれば、チケット収入とグッズ飲食収入も伸びる。露出が増えることで間接的にスポンサー収入と放映権収入にも影響を与える。

■集客戦略における3大重要指標

  • リピート率

  • 新規顧客数

  • キャパシティー

■真のキードライバーはファン数

来場客数は会場キャパシティーの制約を受ける。サンダースの場合は5,000人。会場には来れないけれど、必ずYouTubeを視聴してくれる方。インスタやTikTokのフォロワー。選手がテレビに出たら欠かさずTwitterに投稿してくれる人。商品購入時にスポンサー企業の商品を選んでくれる方、等々。

ブランドやプロダクトを応援し、様々なアクションをしてくれるファン数こそが真のキードライバー。来場者数には上限があるが、ファン数には上限がない。

■ファンの行動がファンを呼ぶ

ファンが「好き」と発信することにより、価値観の近い人に伝播し次のファンを生み出す可能性が高い。

■サンダーズの個性の定義

  • 事業(興行などのサービス面):Exciting Basket Park

  • チーム(選手やスタッフ等競技面):Be Brave

■データの取得の心得

データの取得にはコストと工数がかかる。従って、取得前に以下を明確にしておく。

  • 何の為に取るのか?

  • その先にどんなアクションを想定するのか?

  • その為にはどんな切り口のデータが必要なのか?

■販売データの一元化

販売データの一元化をする為に、「Bチケ」というBリーグクラブ横断の販売所(共通プレイガイド)に販売を集約。ローチケやチケットぴあ等、大手のプレイガイドから引き上げるという決断を断行。

一次的に販売は落ち込んだが、分析精度が上がったことで、すぐに回復。その後の大幅伸長に繋がった。

■3種のアンケートで販売データを捕捉

  • 年次アンケート:様々な切り口から詳しくヒアリング。今後のターゲット層の選定に活用。1万件超のアンケートを回収。

  • 試合直後のアンケート:毎試合後に実施。工数を少なくする為、QRコードからスマホに飛ばし回答。試合直後のお礼メールを起点にすることで、20~30%と高い回答率(無報酬)を実現。

  • デプスインタビュー:核となる価値の理解を目的に不定期に実施。深層面接法により、表層的な感情だけでなく、その感情に至った理由や、その裏側にある深層心理や生活習慣まで掘り下げることが可能。

デプスインタビューにより「応援の一体感」が観戦満足度に大きく影響してることが判明。

毎試合ごとに、その時点でのチーム状況を反映したテキストを入れた新たなムービーを用意し、低音を響かせるウーファーで観客を揺らす。演出の力で選手の背中を押すような一体感を作って、最初のプレーに向けて7分間で最高潮の盛り上がりを作る演出を意識しています。

■顧客セグメント毎に体験を最適化する

初めて来た観客と毎試合来ている観客。それぞれに最適化した体験を設計し、全員が楽しめる状態を実現する。

■ファンクラブ

様々な体験設計の中で欠かせないパーツ。ファンクラブ会員向けサービスとして、選手のトレーディングカードを来場特典としてプレゼント。トレーディングカードに複数のランクを設定し、ランク上位のカードは下位ランクのカードを組み合わせることで入手可能とした。

これにより、全試合見に来るようなファンの方々は、ウルトラレアのカードを全種類入手するために、ファンの方同士でお互いのカードをトレードして、コミュニケーションを深めていく。

中編に続く






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