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④警察官ではなく客として彼女の店へ。少しの勇気が人生を大きく変える

前回のnote↓


「うちの店には母の日のプレゼントにいい物もあるのでぜひ見に来てくださいね」

と言って帰って行った彼女

本当に行っていいものかどうか少し迷ったが、私は次の非番日にお店に行ってみることにした

お店に行くのは交番警察官として被害届を受理した時以来だ

今日はもちろん制服ではない。

仕事帰りのスーツ姿で、警察官ではなく客として来店する

店の前まで来たが、この前と違ってお店に入るのに少し勇気が必要だった
「社交辞令で言ったのに本当に来ちゃったよ」などと思われたら恥ずかしい。
やはりこのまま帰ろうか

気になる女性に対してはいつもネガティブ思考で臆病になる。

暴力団に立ち向かう方が勇気を必要としない

お店の前で数分ウロウロ迷った後、思い切ってお店の中に入ってみた

いた
彼女だ

彼女は向こうを向いて商品の服を整理している。
このまま後ろ姿を見続けていたら私は不審者だ
早く声をかけた方がいい

「こんにちは」

と声をかけると

一瞬キョトンとした表情でこちらを見返してきた

あーダメだ
この表情はやっぱり「本当に来ちゃったよー」の方だ

来たことを後悔したが、
次の瞬間あのかわいい笑顔に戻り
「あーもしかしておまわりさん?
うれしい本当に来てくれたんですね。制服じゃないので一瞬誰だかわかりませんでした。母の日のプレゼントですか」

ホッとした
本当にホッとした
全焼火災現場で死体が出なかった時と同じくらいホッとした
さっきのキョトンとした表情は一瞬私のことがわからなかっただけなのだ
そういえば彼女とは警察制服でしか会ったことがなかった

しかも!私は聞き逃さなかった

「来てくれて嬉しい」って言った!

私がこの店に来たことを嬉しいと言ってくれた!
もうこの一言だけでニヤニヤが止まらない
一睡もできない夜勤が続いても耐えられそうだ

彼女は私の母の年齢など必要な情報を聞くと、オススメを2つ3つチョイスしてくれた

全部買ってもよかったのだが、私はここでいいことを思いついた
彼女にこう言った
「母の服のサイズがはっきり分からないので、それを確認してまた後日改めて買いに来ますね」

我ながら素晴らしいひらめきだ
これでもう一度この店に来る正当な理由ができた

母の服のサイズなんて大体わかってる
でも今日買ってしまったらもうこの店に来る理由がなくなってしまう

一度でも多くこの店に来て彼女と話をして、彼女の笑顔を見たい

そうするために素晴らしい口実を思いついたもんだ

彼女「そうですね!サイズを間違えないためにもそれがいいですね、商品は取っておきますから」
とかわいい笑顔で快諾してくれた

さらに
「母の日にこんなにプレゼント選んであげるなんて優しいんですね。」
「あ、この前は質問に答えくれてありがとうございました。帰ってさっそく母にも話して……」
など、けっこう会話が弾んで、10分くらい楽しく話せた。

「ではまたのご来店お待ちしておりますね。ケイさん」
来た時は「おまわりさん」だったのが、帰る時は名前で呼んでくれていた。

フワフワ夢心地の中で帰った

来てよかった
自分が傷つくのを恐れて行動しないより、やっぱり失敗を恐れずやってみた方がいい。

そして次の休日

約束通りもう一度お店に行った時、私たちは交番警察官と被害者ではなくなった。

それは次のnoteで↓


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