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シネマトグラファー小林基己の「予定調和の足音」

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ムービーカメラマン小林基己が、映画やドラマを見て気づいた感想、また自作についてのライナーノート的なものを書き連ねていくマガジン。撮影技術に関しても公開していきます。不定期更新です。
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2019年2月の記事一覧

映画「トラさん〜僕が猫になったワケ〜」着ぐるみに泣かされるとは思ってもみなかった!

先日、渋谷の劇場で「トラさん」を観てきた。今まで数多くの作品を撮らせてもらっている筧昌也監督で、撮影が同じ事務所の黒石信淵ときたら観ないワケにはいかない。 Kis-My-Ft2の北山宏光扮する執筆休止中の漫画家、高畑寿々男とその妻、奈津子(多部未華子)二人の子供、美優(平澤宏々路)の3人はギャンブルにあけくれる父親に呆れながらも幸せに暮らしている。それがストーリー序盤で寿々男の交通事故死により一転。寿々男はバカリズム演じる死後の世界の裁判長なるものに1ヶ月という期限つきで家

映画「バリー・シール/アメリカをはめた男」の予告編と映画本編が全く違うトーンだった!

押しも押されぬ大物俳優トム・クルーズ。彼が主演の「バリー・シール」をAmazonプライムビデオで観た。 実は期待していなかったのだが、冒頭から映像がもの凄いカッコいいのである。当時のニュース映像がコラージュされて違和感なく本編へと移行して行く。クラシカルながらもかなり魅力的なトーンで、カメラワークも俺好みの絶妙なハンディワーク! でも、こんな冒険的なトーンは冒頭だけでタイトル後にはいわゆるトムクルーズらしいトーンに戻るんだろうなと思っていたら、、、そのまんま突き進んで行く

映画「ビューティフル・デイ」にラムジーが仕組んだ難問。

だいぶ前、松竹試写室で「ビューティフル・デイ」を観た。カンヌで脚本賞と男優賞を受賞した今作品。“21世紀のタクシードライバー”というコピーが示す通り、オジサン+少女+暴力という「レオン」にも通じる映画萌えアイテムを揃えている。 主演のホアキン・フェニックス扮するジョーは退役軍人で警察や探偵には頼めない厄介な案件を暴力的に解決する事で金を稼いで、老いた母親と暮らしている。そんな時、政治家の娘ニーナを捜してほしいとの依頼が舞い込む。このニーナが「レオン」の頃のナタリーポートマン