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BONINという言葉に秘められた小笠原のあるべき姿。

今、小笠原諸島からの帰りの「おがさわら丸」の中でこの記事を書いている。
小笠原は良く耳にする割には行った人というのは数少ない。それは東京都でありながら本州から約1000km離れていて、空港が無いために船で行くしかない。このおがさわら丸で片道24時間揺られないと辿り着けない。(ちなみに私は風に揺さぶられたロケハンの行きと、八丈島近くに梅雨前線があった本番の帰りと計2回、吐くくらいの船酔いを経験した)しかも、小笠原諸島の父島に着いたら2日間は停泊したままなので船で往復2泊、島で3泊の最低でも5泊6日の行程を強いられる。(夏の繁忙期はもっと短い行程もあるらしい)
こういった理由が、小笠原が海外旅行よりもハードルの高い国内旅行と言われる所以だろう。

今回はロケハンで5月末に5日間、本番で6月末に10日間滞在しました。内容については公開時に詳しく書きますが、この短期間でかなり濃い小笠原体験をさせてもらいました。

その間によく聞いた言葉「ボニン」。
アルファベットでboninと書き、ボニンブルーとかボニンアイランド、のように使われるが、これはムニンのアメリカ訛りらしい。このムニンもムニンシラガゴケやムニンツツジなど、小笠原固有種の植物に着くことが多い。ムニンは無人の事、つまり、手つかずの青、手つかずのツツジ、といった意味合いだろうか。無人→ムニン→boninと変化していった。

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もちろん今は父島、母島合わせて約2000人(内、母島は約500人)が住んでいるので無人島では無いが、その他の30近い島々は未だ無人島のままだ。

この撮影日程で、その中のひとつ南島に行くことができた。南島ツアーも人気なので、行ったことのある人もいるだろう。ただ、1日に100人以内、滞在時間2時間以内、決められたルートのみ入る事が出来る、ガイド無しでの上陸は出来ないなどの制限が設けられている。

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これらの無人島は、人の通り道などは作られてはいるが、ほとんど手つかずの状態のままだ。上記の条件もそれを維持しながら人間が拝見させてもらう最低限の条件なのだろう。

亜熱帯の無人島というと、無秩序なジャングルのような景観を想像してしまうが、これが絶妙にデザインされた究極の庭園のような美しさを魅せてくれる。
真っ青で透き通った海水、白い砂浜、広大に広がる緑の広葉樹。それらが見事に配置され美しいバランスを保っている。
そして、そこに立っている自分達だけが異質に見える。

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自分たちがイメージする密林のジャングル的なものの多くは、人類が開発しようとして開墾したは良いが、その後放ったらかしになって雑木林と化したものが殆どらしい。父島や母島の一部にもその傾向は見受けられる。
本来、自然の摂理に添えば、人間以外の動植物が作り上げる景色が完璧なデザインなのではないか?と思ってしまう。

自分は無神論者なんだけど、このバランスを作り上げたのが大いなる力なのだとしたら、ここまで完璧な世界を作り上げおいて、なんで人間という異質な存在を作ってしまったのかと厨二病的な妄想に入ってしまったりもする。もし、その創造主の存在を意識させるために(畏敬の念や感謝の想いを表現する存在として)人類を作ったのだとしたら、その主はかなりのエゴイストだ。

ちなみに小笠原諸島が世界自然遺産に認定された理由は、その景観ということではなく、一度も大陸と陸続きになったことが無く独自の固有種の動植物が多く確認されてることが登録の決め手になったようだ。その中でも特殊なカタツムリの存在が一番の要因とは意外だ。

今回撮影した映像は10月以降に公開になる予定です。
また、その時にはどういった形で公開になるかなど詳しくアナウンスしますね。

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