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Netflix「ブラックミラー」を観て思う、リアリティの力強さ。

Netflixのオムニバスドラマ「ブラックミラー」を全話見終わった!1本1時間前後の1話完結ドラマでコメディからシリアスなものまで多様だが、共通してるのは近未来のテクノロジーと人間の関係性を皮肉混じりに描いていることだ。
プロデューサー曰く「私たちが不器用であるならば、私たちの今の生き方、そして私たちが生きるであろう10分後を表している」と表現してるように、今のまま何も考えずに生活しているとこういった未来が待ち受けてるかもしれませんよ。という社会風刺を効かせた作品が多い。

古くは「トワイライトゾーン」、日本だと「世にも奇妙な物語」を思わせる短編群は、もともとイギリスのChannel4が製作していて、シーズン3からNetflixの製作になった。現在はシーズン5までで22話配信されている。私はシーズン4から観始めて、どんどん遡りながらシーズン1まで見て、最近、シーズン5を観終わったが、揃いも揃って傑作揃いだ。
このクオリティコントロールの高さは企画と製作を担当し、殆どの作品の脚本を担当しているチャーリー・ブルッカーに依るところが多いのではないだろうか?
このブルッカーなる人、イギリスではコメディアンとして活躍してるらしい。意外にもコメディアンシナリオライターとしても才能ある人が多く、私もバカリズムさんの脚本で「素敵な選TAXI筧昌也監督)」を。ラーメンズの小林賢太郎さんの「机上の空論小島淳二監督)」を撮影させてもらっている。両作品とも素晴らしいシナリオだった。

さて、「ブラックミラー」はそんな荒唐無稽なストーリーに反して、描写はいたってリアリティーを貫き通している。
まず、シーズン1第1話の「国歌」にそれが顕著に現れてる。国民に人気のあるイギリス王妃を誘拐した犯人から首相脅迫ビデオが届く、その内容はなんと首相自ら豚と性交してるところをBBSなど主要TV局で放送しろというもの。しかも、その映像はYouTubeで世界に流されてしまっていた。これだけ聞くと英国特有のブラックジョークに思えるが、徹頭徹尾、現実に立脚して展開していく。首相の反応は?側近はどう対応するのか?TV局の対処は?国民の捉え方は?全てが実際にこんなことが起こったらどうなるんだろう?というシミュレーションを丁寧に描写していく。そして、犯人の意図もこの「ブラックミラー」を象徴するようなメッセージ第1話として強烈な印象を残す。そしてラストカットも静かだが強烈なリアリティを残す。

この第1話国歌」は、今、現実にあるテクノロジーを使って、いつ起きてもおかしくない狂気を描いているが、他の多くの作品はこれから現れるであろうSNSの未来系AIの進化形のようなものを題材にしている。そんなSF的世界感の作品も一貫してあるのは感情のリアリズム。これが徹底してることで人類への問題提起が際立ってくる。

話しは変わるが、シーズン2第1話ずっと側にいて」は個人的にかなり気になった作品。というのも、チャーリー・ブルッカーが「美女缶筧昌也監督)」を観ているんじゃないか?と思えたこと。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭でグランプリを獲り、「世にも奇妙な物語」で妻夫木聡臼田あさ美主演でセルフリメイクされた「美女缶」(「世にも奇妙な〜」版は私が撮影させてもらってます。)その後ベストセレクションなどで何度か再放送されているので観ている方もいるのでは?この「美女缶」と酷似している設定やシーンがいくつか見受けられるのです。両方とも基本はファンタジーラブロマンスなのだがコミカルな「美女缶」に対して「ずっと側にいて」はシリアスに展開する。俺的には「美女缶」のアンサーストーリー的な捉え方しちゃうんですけど、思いすごしですかね?

22話もあるとシーズン1から見るのか?一番新しいシーズン5から見るのか?悩みますね。物語の関連性は無いので(ちょっとした小道具などでの共通するお遊びは有りますが)ちまたの噂ではハズレ無しと言われているのがシーズン4。そこから観始めるのがオススメかな。私もシーズン4から観て嵌りました。
ともかく、イギリスには良い作家が多いなぁ〜、と思っていたら殆どブルッカーかいっ!ってツッコミ入れたくなる程、一人の作家が書いているとは思えないバラエティに富んだラインナップなので、ひとつ見て判断せずに3本くらい見てもらえると嬉しい。連ドラと違って続きが気になって眠れない。ということは無いのでご安心を!

ただ、全部観終わった翌日にうちのTVが明滅してモニターが点かなくなった。6年使ってて、最近、うちの2歳児が叩いたりBlu-rayのトレイを壊したりして動作が安定しなくなってきたがこのタイミングとは、、、
因みにブラックミラーとはモニタータブレットスマホなどの電源が落ちている時に黒い鏡面のようになることに由来していると言っていた。今、正にブラックミラー。。。新しいTVの到着待ちです。。。

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小林基己 シネマトグラファー

CM、ミュージックビデオ、映画、ドラマなどの撮影監督。MV:スピッツ、ウルフルズ、椎名林檎、SEKAI NO OWARI、ets。映画:「夜のピクニック」「パンドラの匣」ets。ドラマ:「素敵な選TAXI」ets。2017年紅白歌合戦のグランドオープニング映像を撮影。

Cinematographer小林基己の 雑記ノート

ムービーカメラマン小林基己の新作、旧作にかかわらず、映画やドラマを見て気づいた感想を書き連ねていくマガジン。 基本的には関わりの無い作品の感想ですが、撮影作品の舞台裏などを書くことも。不定期更新。
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