TRPG ダブルクロス The 3rd Edition「陰日向」その12

この小説は、掲載不許可が発行した「初海乃書」に掲載されている「TRPG ダブルクロス The 3rd Edeition 陰日向」を、以前プレイさせていただいた経験を元に製作されています。

「陰日向」というシナリオ作者のきなり様には許可をいただいきました。

また、掲載不許可所属、サリ様にも協力していただきました。

とても感謝しております。

つたない文章力ではありますが、お楽しみいただきましたら、とても嬉しいです。

尚、ダブルクロスというTRPGを知っているという上で書かせていただきますので、わからない用語などあるかもしれません。少しは説明を入れる予定ですが、進行上省かせていただくこともございますので、ご了承くださいませ。

それでは、前回の続きから。




「ふー、おなかいっぱい。」

檜山さんの食べっぷりに驚いたり、

「うぅ、服に染み付いちゃった。」って、驚いた拍子に佐野さんの真っ白な服にカレーが付いたり、結構楽しんだ。

「あとで、しみ抜きしてあげるよ。佐野さん。」私は、佐野さんが何だか可愛そうになって、約束をした。

そろそろ本当に、約束の時間だ。


待ち合わせ場所に向かう途中、檜山さんのところにいた事務所の方が、ものすごい勢いでこちらへ向かってきた。

「あ、支部長。やっと見つけましたよ。」息も荒い。そんなに急いでどうしたんだろう?と私は思った。

佐野さんや朝比奈さんを見ると、どうやら嫌な予感がするみたいで、顔を渋くしていた。

「すみません、迎えに行った少年なんですが・・・。」

「何があったんですか。」淡々と檜山さんが投げかける。ただ、檜山さんもまた、何かを悟ったように顔を渋くしている。

「ちょっと目を離した途端、居なくなってしまって・・・。」

そこで私は直感的に「田辺が?」と聞いてしまった。

「えぇ、その少年は、えっとえっと、はい。」

「落ち着いて。」全てを悟った檜山さんの声が、少し怖い。

「すみません、まさかこんなことになるなんて。」膝に手を置きながら、申し訳なさそうに頭を下げている。

「いえ、今それを責めても仕方がないでしょう。うん、そうですね。まずは、芦谷さんのほうを確認しましょう。ナナちゃんが迎えに行くことになっていましたし。」

「結衣ちゃん!」私は、途端に結衣ちゃんも心配になった。

時間を見間違えたせいで、結衣ちゃんとの待ち合わせも、だいぶ迫っていた。

「もちろん、君たちも着いてきてくれますね。」

「了解!」佐野さんは敬礼。

「はい!」朝比奈さんはコクッと頷く。

「うん!結衣ちゃんが心配!」居てもたってもいられなくなった私。

「君は、少年をどこかで見てないか、いろんな人に聞いたり、探してきてー。」佐野さんが事務所の方にお願いをした。

先ほどまで息を切らしていた方も「はい。わかりました。」と、また駆け足でその場を去って行った。


それから急いで、私たち4人は結衣ちゃんとの待ち合わせ場所に向かった。




次回へ続く。